こんばんは。小型軽量な大口径標準ズームレンズフェチの10maxです。
現在筆者は、ソニーα7IIに「タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)」を常用レンズとして付けております。2018年に発売され、F2.8通しの大三元レンズ離れした軽量コンパクトさで話題となり今でも人気の一本です。
それから3年近く、フルサイズ向けコンパクト大三元標準ズームというセグメントはこのタムロンA036の独壇場でしたが、ついに先日シグマが「28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」を正式発表し、殴り込みを掛けてきました。しかもさすがに後発とあってかなり魅力的なスペックを引っさげてきています・・・。
これは黙って見ている訳には行きません。筆者のようなタムロンA036オーナーはもちろん、そうでなくともこの両者の比較に関心がある沼の住人はそこそこ居るんじゃないかと思うので、早速比較をしてみよう思います。本記事ではスペックやサイズ・重量感を中心に比較分析します。
シグマ28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryとタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)のスペック比較一覧
まずはざっと主なスペックや特徴を一覧表にしてみます。その後で一つ一つ詳しく見ていきたいと思います。優位な方に緑のマーカーを引いてあります。
シグマ
28-70mm F2.8 DG DN C |
タムロン
28-75mm F2.8 A036 |
|
全長 | 103.5mm | 117.8mm |
最大径 | 72.2mm | 73mm |
フィルター径 | 67mm | 67mm |
重量 | 470g | 550g |
焦点距離 | 28-70mm | 28-75mm |
最短撮影距離 | 19 (W) – 38 (T) cm | 19 (W) – 39 (T) cm |
最大撮影倍率 | 1:3.3 (W) – 1:4.6 (T) | 1:2.9 (W) – 1:4 (T) |
防塵防滴
(シーリング箇所) |
簡易◯
(マウント部のみ) |
簡易◯
(マウント、接合、可動部) |
スイッチ | AF/MF切替 | ✕ |
価格 | 定価110,000円
実勢最低89,100円 |
定価100,000円
実勢最低77,800円 |
※マウントにより異なる場合はEマウント用の情報を記載/実勢最低価格は執筆時点の価格コム最安値
こうして見ると、ざっくり以下のように言えるかと思います。
- コンパクトさ、軽量さ、AF/MF切替スイッチ有無ではシグマ28−70mm F2.8 DG DN Contemporaryが優位
- 焦点距離(望遠側)、防塵防滴、価格ではタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)が優位
最大撮影倍率についても多少違いますが誤差の範囲と言えそうです。
ではもう少し詳しく見てみましょう。
サイズ
フィルター径が同じなので、違いはほぼ全長のみと言えます。長さで約1.5cm、比率では12%ほど、シグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryの方が短くなっています。このサイズの差についてSonyalpharumorsにて具体的に画像で比較していたので引用させて頂きたいと思います。
(3月13日更新)その辺りの違いについて、早速店頭で実機をカメラに装着して比較写真を撮ってきました。たまたま店頭に筆者の愛機と同じα7IIが置いてあったのでそれに装着してみました。ただしTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)の方には保護フィルターが付いています。
Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/100 sec, ISO32)
サイズ的には多少小さいかなという感じはしますが、レンズ単体ではなくボディに装着すると、1割強もコンパクトな感じはしません。しかし、実際に持ってみた感じはやや違ったので、後で触れたいと思います。
余談ですが、これはいつものシグマとタムロンのお約束で、ズームリングの回転方向や、ズームリングとフォーカスリングの位置が逆になっていることが上の写真で分かります。
重量
次に重量です。こちらはレンズ単体で比較した場合、重さで80g、比率で15%ほど、シグマの方が軽くなっています。これはちょうどバッテリー1個分くらい軽くなる計算ですね。
一方ボディ(例:α7II)に付けた場合は、α7II+タムロン28-75mm F2.8(Model036)が1,149g、シグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryを付けた場合は1,069gとなり、割合では7%の差に縮まります。実際に手に持ってみたときの差については後で触れます。
同時にボディをα7系→α7Cに替えてみたら?
さてここで一つの仮定です。筆者は現在α7IIにタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)を付けていますが、仮にボディをα7Cに、レンズをシグマ28-70mm F2.8 DG DN Cに、と同時にサイズダウンしたらどの程度軽量になるか見てみたいと思います。というのも、筆者がα7Cには大変惹かれながらも買い替えに至らないのは、思ったよりも軽量化効果が大きくないためなのです。
ボディ | レンズ | 合計 | |
α7II+タムロン | 599g | 550g | 1,149g |
α7C+シグマ | 509g | 470g | 979g |
差分 | -90g | -80g | -170g |
軽量化効果は170gに広がります。これが実感としてどの程度なのか、早速実機で試してみたので後ほど印象をご紹介します。
ちなみにタムロンA036の場合、α7系ならボディのグリップで保持することは苦ではありませんが、α7Cの場合グリップがα7系より小さいので、タムロンA036を付けるとグリップでの保持は不安定となり、レンズを支える持ち方がメインになりそうです。その点シグマの28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryならどうかが注目ポイントです。
グリップの感触等α7Cの実機レビューはこちら↓
Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/50 sec, ISO80)
実機でのサイズ・重量感比較:スペックよりもコンパクトな印象(3月13日更新)
α7IIに装着した時の印象
さて、ここからは肝心の実機でのサイズ感、重量比較です。まずはα7IIに装着したところの写真を御覧ください。
筆者は成人男性としては一般的な手の大きさ(とりわけ小さくも大きくもない)ですが、こうして見るとTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)を付けた場合の方が手からのはみ出し量が結構多いことが分かります。
そして重要なのは重心の位置です。タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)の方が重心が先端に近く、一方でシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryは重心がボディに近いところにある感じがします。そのため、スペック上はα7IIボディと合わせた時の重量差は7%に過ぎませんが、実際にはそれよりもシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryの方がよりコンパクトに感じます。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)の場合、重心がレンズ先端寄りにあることでテコの原理が働き、右手のグリップで支える際により手指に掛かるのですが、シグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryのように中心寄りに重心があると手のひらの中に重量がかかるため手指への負担が小さく、より手のひらへの収まりが良い感じがします。
α7Cに付けた時の感触:シグマ28-70mm F2.8 DG DN Cなら小さなグリップもギリOKかも
次にα7Cに両レンズを付けて持った時のサイズ・重量感を比べます。
Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/100 sec, ISO40)
Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/100 sec, ISO40)
上で触れた通り、α7CにTAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)を付けた場合、グリップを右手だけで支えるのは結構手指に負担を感じます。
一方のシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryですが、やはりここでも手元に近い重心位置が功を奏してか、それほど負担を感じません。これならα7Cの小さいグリップでもギリギリ運用できるかも知れないなと感じました。
さらにα7II+TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)を付けた場合と比較すると、この中心寄りの重心のおかげでさらにコンパクトに手のひらの中に収まる感じは強調されます。しかしやはり惜しむらくはα7Cのグリップの小ささ。これが解決されればコンパクトな上に手指に掛かる負担もさらに軽く、気軽に持ち運べる存在になるかも知れないのですが・・・
Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/50 sec, ISO160)
焦点距離(70mm vs. 75mm)の差は問題にならず
広角端は両者とも28mmと同等です。最近主流の24mmという広角端焦点距離を割り切ったことが、軽量コンパクト化を実現する上でキーとなったと言われています。
一方で望遠側は、タムロンA036が75mmなのに対し、シグマの方は70mmと5mm分妥協しています。これは実際どの程度影響があるか、という点ですが、実質的にはあまり大きなマイナスではないと考えています。
画角で見てみましょう。
24mm | 28mm | 70mm | 75mm |
84° | 75° | 34° | 32° |
広角側の24mmと28mmの違いが画角にすると約11%の差なのに対し、望遠側の70mmと75mmは画角にすると6%の差に過ぎません。一般的に望遠側よりも広角側の方が焦点距離による画角への影響が大きいと言われる所以です。
しかも望遠が足りない場合はトリミングすることが出来ますし、70mmと75mmの差分のトリミングなら画質に影響が表れる程ではありません。
従って焦点距離の違いはあまり気にしなくても良いでしょう。
AF/MF切替スイッチはα7Cなら有用
シグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryのもう一つの優位点として、AF/MF切替スイッチが付いている点が挙げられます(タムロンA036にはスイッチ・ボタン類は一つも付いていない)。
筆者が現在α7IIのボディでタムロンA036を運用している限りでは、レンズ側のスイッチ・ボタン類が全く無い点は問題になりませんが、カスタムボタンの少ないα7Cで使用する場合、独立したAF/MF切替スイッチを持つシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryはかなり使い勝手の面で優位でしょう。
まとめ:シグマ28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryはバランスもよく実機は想像以上に軽量コンパクト
例え少しであってもより軽量・コンパクトであることは正義であり、かつ焦点距離の違いは問題にならず、AF/MF切替ボタンがついて価格増が1万円程度に抑えられている、ということを考えると、このシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporary、非常にバランスが良く魅力的な一本かも知れません。しかも実機でのサイズ感・重量感は、その重心位置の違いによりスペックよりも軽量コンパクトに感じることも分かりました。
もしもこれから両者のどちらかを購入するのであれば、(画質の違いを気にしなければ)タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)よりもシグマ28-70mm F2.8 DG DN Contemporaryを選ぶ方がメリットが大きいような気がします。画質については一般的にタムロンの方が柔らかく、シグマの方がシャープであると言われますが、どちらを選んでも評価は非常に高く後悔するような事はないでしょう。
一方筆者のように既にタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)を持っているという場合は非常に悩ましいですね・・・
え?この程度の違いで悩む理由が分からないって?
そう言われてみればそうかも知れませんね。これはもしかして沼というやつでしょうか?いやそんな場所に迷い込んだ記憶は無いんですけどね・・・迷い込んだのが昔過ぎて忘れてしまったのかな・・・。
いやはや、楽しい悩みは尽きません^^
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