写真/撮影機材

ソニーα7C実機レビュー / 基本的な操作感は良好だがグリップの小ささは要チェック(タムロン28-75mm F2.8装着/動画あり)

先日仕事帰りに銀座辺りを歩いていたらたまたまソニーショールームがありましてね。

そうしたら、ソニーから発表された軽量コンパクトを売りにした新しいコンセプトのフルサイズ一眼、「α7C」がたまたま先行展示されているって言うじゃないですか。

しかも、何故かバックパックにはたまたまタムロン28-75mm F2.8を付けたα7IIが入ってるじゃないですか。

もうここまで偶然が重なったら、α7C実機レビュー、お届けするしかありませんね!運命ってやっぱりあるんですね!(笑)

と言う訳で本記事では注目の新モデル、α7Cの実際のサイズ感、操作性などの実機レビューをお伝えしたいと思います。

なお、α7Cのスペック上の特徴や既存製品であるα7IIIとの比較などは下記記事でまとめているのでそちらもご参照頂ければと思います。

ソニーα7Cとα7IIIおよびEOS RP、ニコンZ5との比較 | 単なる廉価版ではない「高性能フルサイズコンパクト」という新しい価値
※2020.9.22更新:製品名称に関する開発者コメント引用 ついにソニーのフルサイズミラーレス一眼、αシリーズに新たなデザインの製品ラインが加わりました。 α7の末尾にCompactを表す「C」の文字が加わった"α7C"。 APS-Cのα...

(2022年1月6日追記)その後α7Cを購入しました。α7 IVやα7 IIIと比較しつつα7Cを選んだ理由については下記記事をご参照下さい。

α7Cを購入した理由 - α7 IV、α7 IIIと比較して辿り着いた結論
先日α7Cを購入しました。α7 IVおよびα7 IIIと比較した上で最終的にα7Cを選んだ理由をご紹介します。なお、これまではα7 IIとオリンパスE-M1 Mark IIを使用していました。

なお、先行展示は先週金曜日に始まったばかりで混みあっており時間制限が行われていたため、本実機レビューでは予め気になっていた以下の点に絞ってお伝えしたいと思います。

本レビューの主なチェック項目
  • 現在のメインレンズであるタムロン28-75mm F2.8(Model A036)を付けた時の外観
  • 手に持った時の感触・グリップ感
  • シャッター音【動画あり】
  • EVF
  • カスタムキーの設定メニュー
  • AF-ONボタンによるリアルタイムトラッキングAFの動作【動画あり】
  • タッチシャッター【動画あり】

今後さらに実機に触れる機会があれば随時追加していきたいと思います。

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α7Cの外観(シルバーの色味 / α7IIとの比較 / タムロンA036装着例)

外観チェックでは、これまでネット上の写真で見る事の出来なかったα7Cの実際の印象を確認します。今回はシルバーとブラックの両方を見る事が出来ましたが、注目は今回αシリーズに初めて加わったシルバーです。続いて、手持ちのメインレンズ、タムロン28-75mm F2.8を装着した状態も見て行きます。

α7C+FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860)

まずはキットレンズを付けた状態から。

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO32)

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO40)

このシルバーですが、結構重厚感・渋みのある色ですね。むしろ「チタン」に近いと言っても良いかも知れません。

これまでにも他メーカーやAPS-Cのαなどでブラックとシルバーの二色展開はよく行われてきましたが、シルバーというとお洒落でどちらかというと初心者や女性にも受け入れられやすい、という狙いで展開されるケースも(モデルによっては)ありましたが、このα7Cのシルバーはより男性的なハイアマ以上のユーザーでも違和感が無いように配慮されている様な印象を受けます。

続いて、筆者のα7IIおよびα7Cのブラックモデルと並べたところです。

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/160 sec, ISO25)

どうでしょうか。ブラックはやはりより引き締まったメカメカしい印象を受けますね。個人的にはやっぱりベーシックなブラックかなあ。でもシルバーも明るさと渋さが入り混じっていて魅力的です。これは迷うなあ。

あともう一点注目は、α7IIとのグリップの深さの違いですね。α7Cのグリップ部はα7IIと比べると奥行方向に浅くなっているのがお分かり頂けると思います。これ結構重要なので後ほど手に取った感触にも触れます。

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/105 sec, ISO25)

α7C+タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)

お次に筆者が現在α7IIに付けっ放しにしているタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)をα7Cに装着した様子です。

ソニー α7C タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/180 sec, ISO25)

ちょうどAPS-C機のα6600辺りに少し長めのレンズを付けた様な感じですね。

α6600 E 16-55mm F2.8 G SEL1655G

Source : CAPA Camera Web

しかしパッと見で分かる差の一つが、やはりグリップ。α6600のグリップはα7IIやIIIと同じくらいの深さがあり、上のα7Cのグリップよりも大きい様子がご覧いただけます。

ソニー α7C タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO40)

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手に持った時の感触:グリップは小さめ

こちらも、キットレンズのFE 28-60mm F4-5.6とタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXDの2パターンで試してみました。

α7C+FE 28-60mm F4-5.6

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO25)

ソニー α7C FE 28-60mm F4-5.6(SEL2860) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO25)

いや、もう申し分ない軽量コンパクトさです。はっきり言うと今日たまたま(しつこいw)バッグの中にα7II+タムロンA036が入っていた状態だと、A036が大三元ズームにしては一つ抜けて軽量とは言え、家を出る前に一瞬躊躇する程の重さと嵩があります。しかしα7Cのレンズキットなら何も迷わずにバッグの中に放り込んで出掛ける気になります。

また、先ほどからα7Cのグリップの小ささを指摘していますが、この組み合わせなら何ら問題ありません。

α7C+タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)

問題はこちらです。

ソニー α7C タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO25)

カメラを構える際には上の写真のように左手でレンズを支える格好になるためあまり問題にはならないのですが、下の写真の様に右手だけでホールドしようとするとグリップが浅いため、筆者の手の大きさ(成人男性としては極端に大きくも小さくもない)の場合、α7IIやα7IIIに装着した場合に比べると右手指への負担が少し大きく、安定感に欠けます

なので、手の大きさによっては、今まで右手グリップでカメラを持ち歩いていたようなシーンでは、レンズを支える左手メインの持ち方に変えた方が良い可能性があります。そうするとグリップ上部の電源のON/OFFスイッチで即撮影体制に入れるという速写性のメリットが損なわれることになります。

ソニー α7C タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO25)

ソニー α7C タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO32)

ですので、もしキットレンズその他のコンパクトなレンズ以外の玉をα7Cに組み合わせての運用をご検討中の方は、ぜひ一度実機にレンズを装着した状態でグリップのホールド感をご確認されることをお勧めします

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シャッター音はあっさり系になった

シャッター音も結構変わりました。強いて文字で表現するなら・・・

α7II・・・「カチャン」

α7III・・・「カチャッ」

α7C・・・「カシャ」

・・・ま、とにかく聞いてみて下さい(笑)

どうでしょう?これまでのモデルに比べるとより軽快であっさりした音になった感じがしないでしょうか。α7IIの「カチャン」っていう余韻のある音も、いかにもシャッター切ってる感があって好きですけど、こちらもスッキリしてていいと思います。

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EVFについて

 

これまでのαより小さくなったアイカップ部とファインダー像について試してみました。

小さめのアイカップは意外と気にならない

ソニー α7C 実機Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO40)

α7II アイカップ EVF

Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO640)
α7IIの接眼部

まず外観ですぐ分かるのが、α7IIやα7IIIと比較すると接眼部のラバーのアイカップがこじんまりとしている事です。これに関して外部から光が入らないのかとか事前に少し気になっていましたが、結果的にはあまり気になりませんでした。ちなみに筆者はメガネを掛けています。

α7IIIより小さいEVFだが通常撮影なら問題無さそう

次にEVFの像面のサイズについてです。まずはα7Cと既存機種のEVFのスペック比較をおさらいです。

α7C α7III α7II
ファインダー

サイズ

1.0cm (0.39型)

約0.59倍

1.3cm(0.5型)

約0.78倍

1.3cm(0.5型)

約0.71倍

ファインダー

ドット数

2,359,296 ドット  ←

上記の通りドット数は同じであるものの、サイズと倍率が小さくなっています。これはα6600(0.70倍)などの最新のAPS-C機よりも小さいものです。

ですが、実感としてはα6600と同等程度に感じました。接眼部のEVFとの距離の関係でしょうか。理由は良く分かりませんが、普段α7IIを使っている感覚だと、さほど実用上大きく見劣りする様には感じなかったので、あまり気にしなくてよい部分かも知れません。

ただしマクロ撮影などピントをシビアに追い込む際には差を感じるかもしれないので、気になる方は実機でご確認ください。

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カスタムキーの設定メニュー

これも事前から気になっていた点、既存のα7シリーズに比べるとカスタムボタンが少ない事です。そこで実機ではどのボタンにどれだけの機能を割り当てる事が出来るのかを簡単にチェックしてみました。

まずカスタム機能を割り当てられるボタンの種類ですが、背面は下図の通り6箇所。

α7C 実機 カスタムボタン 設定

Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO80)
背面

次に上面のムービー撮影ボタン。

α7C 実機 カスタムボタン 設定

Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO64)
上面

最後に、レンズのボタン。これはレンズにボタンが備わっている場合のみですね。

α7C 実機 カスタムボタン 設定

Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO50)
レンズ

7つの各キーに27種類の機能割当が可能:実用上は何とかなりそう

以上の、レンズを除く本体の7つのボタンについて、それぞれ何種類の機能を割り当てられるか見てみたところ、全てのボタンに27種類全部の機能を割り当てることが可能になっているようでした(写真撮り忘れました)。

筆者の場合、ホワイトバランスや色味などは撮影時には調整せずオートで撮影し、それで不都合な場合は全てLightroomでRAWファイルを現像しているので、ムービー録画ボタンに他の機能を割り当てなくても現状α7IIで日常的に使っているカスタムキーについてはほぼカバー出来そうです。

ただし撮影時に細かく設定した上で撮影するスタイルの場合にはカスタムキーの多いα7IIIなどがベターかも知れません。

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リアルタイムトラッキングの動作模様

α7Cで備わった新しい操作上の特徴が、背面右上に新設された「AF-ON」ボタンによるリアルタイムトラッキングAFの即起動です。動きモノを撮影する際には非常に重宝しそうな機能です。

α7C 実機 カスタムボタン 設定Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/100 sec, ISO80)

そこで、動画で簡易的にリアルタイムトラッキングAFの動作模様を撮影してみました。真ん中の猫の人形を捉えた上でカメラを上下左右に振ってみましたが、たまに瞬間的に外すこともありますが基本的に非常によく食いついている事が確認できました。

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タッチシャッターの動作模様

最後に試したのはタッチシャッターです。背面液晶画面で被写体をタップするとそこに合焦してそのままシャッターが切れる機能です。マイクロフォーサーズのカメラでは10年以上前からお馴染みの機能で、子供撮りなどの場合には非常に重宝する機能ですね。APS-Cのαシリーズでは搭載済みでしたが、フルサイズのαシリーズでは初めての採用となるはずです。

こちらも、キットレンズのFE28-60㎜ F4-5.6とタムロン28-75mm F2.8の両方で試してみました。まずはキットレンズです。

お次にタムロン28-75mm F2.8。

いかがでしょう。キットレンズの方がやや早く、タムロンA036の方は若干行ったり来たりしている感じですかね。

いずれにしても、マイクロフォーサーズの「押した瞬間に合焦している」「タッチした瞬間に撮れている」という感覚と比較すると、タッチしてからピントが合い、シャッターが切れるまでのタイムラグの大きさは否めません。これだと、動きの激しく無いものであれば問題はなさそうですが、動きの素早い子供や動物だと歩留まりはマイクロフォーサーズ機に比べると劣るでしょう

これはタッチシャッターの問題と言うよりもAFそのものの遅さの問題なのですが、ソニーに限らずキヤノンやニコンも含めたフルサイズ機全般に共通の問題であり、レンズ玉の大きさなどの物理的な制約上仕方の無い事なのかも知れません。

メニュー画面のタッチ操作は出来ない

なお、タッチパネル関係でついでに気づいた点を参考までにですが、メニュー画面はα7S IIIのようにタッチ操作は出来ません。メニュー表示・構成自体もα7S IIIの新世代のものではなくα7IIIのものを受け継いでいます。

まあ、小さな画面を指でタッチすると誤操作してしまいそうなので、個人的にはダイヤルとボタンで操作する方が好みなので全く問題ありません。

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α7C実機レビューまとめ:最も気になるのはグリップの小ささかも

以上、基本的な性能はα7IIIを踏襲しているとのことなので、予め気になっていたポイントにフォーカスして見てみました。

総合的にはα7IIIの性能はそのまま小型軽量化しているという事で、期待外れな点は少なく非常に魅力的なのは確かなのですが、最も気になったのは上で申し上げた通り、グリップの小ささですね。何故せめてα6600などと共通のグリップにしてくれなかったのか・・・と言う点が惜しまれます。

もちろん中には「そもそもα7Cはそんなデカいレンズを付けて使う様なカメラではない」と言うご意見もあるかも知れませんが、筆者はむしろ逆で、フルサイズの魅力をより引き出せるF2.8通しズームレンズの大きさを、ボディの小型軽量化によって少しでも緩和して気軽に持ち出せる機会を増やしたい、と考えているので、このグリップのホールド性についてはもう少し悩むことになりそうです。

α7IIIが搭載するジョグダイヤルやカスタムボタンの多さ、EVFの大きさなどを勘案すると、α7IIIの価格下落を待つという選択肢も依然として残りますが、それでもやはりα7Cの小型軽量化の恩恵は大きい・・・

悩ましくも楽しい秋の夜長が続きそうです(笑)

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コメント

  1. pentaro より:

    グリップの小ささは、やはりネックですね。
    私はPENTA→FUJIですが、グリップがかなり小さくなったので大きなレンズではないのですけれども、MFしてる時とか左手が支える以外の事をしているときに安定性に不満がでます。

    じゃ、後付け、アルカスイスプレート付きグリップ…とか思うのですが、重くなるし、コンパクトさもなくなるし…で、まぁどこで妥協するかですよね。

    7Cは動画機能も強化されて…みたいな記事を見たのですが、動画しない私は、FUJIのAシリーズみたく、価格易くなりまっせ!の方を期待していました。

    別件ですが、Insta、アカウント変更(para.0205)しました。よろしくお願いいたします。

  2. 10max より:

    pentaroさん、お久しぶりです。
    マイクロフォーサーズ時代はレンズが軽かったのでグリップなんてあまり意識する必要が無かったですが、さすがにフルサイズになると非常に重要だということを実感しました^^;
    確かにMFの際などは右手でしっかり支えられないと厳しいですね。
    FUJIもグリップ小さいですもんね。
    動画機能、そうなんですよ。
    僕も動画をやらないので軽く小さく安く(でもスチルはしっかり)、だったら、もしかしてグリップもすんなり許容出来たかもしれません。
    インスタ、了解しました。が、すっかり休眠状態で、最近はもっぱらTwitterがメインになってしまっております^^;