【試乗】MAZDA3 e-SKYACTIV X (6MT) | 未完の官能スポーツユニット

e-SKYACTIV X、こいつはすごいパワーユニットだ・・・でもどう表現すればいいのか考えがまとまらない・・・。

それは花粉で頭がボーッとしてるせいかも知れないと思っている10max(@10max)です。こんにちは。

ということでゴルフGTIMTシビックGRヤリスと続いてきた次期愛車候補試乗シリーズ、今回はこの車です。

MAZDA3 e-SKYACTIV X (6MT)

※2021年の改良の際に、SKYACTIV-Xは「e-SKYACTIV X」と名称変更されました。

今考えている次期愛車の理想のパワートレインは「AWD×MT」なのですが、MAZDA3はそのラインナップを有する貴重なモデル。

今回はAWD&MTのe-SKYACTIV X試乗車は存在しなかったのでFFモデルでの試乗となりましたが、それでもMTとe-SKYACTIV Xの組み合わせは日本全国でも数台あるか無いかというレアな試乗車。

冒頭で書いた通り、今回の主役は完全にe-SKYACTIV Xというパワーユニット。端的に言えば、このe-SKYACTIV X、官能性とスポーツ性、それに環境性能というポテンシャルも秘めたスーパーなユニットであると言えそうです。

そのe-SKYACTIV Xの特性を最も引き出せると言われるMTでのインプレッションをご紹介したいと思います。

MAZDA3 e-SKYACTIV X MT ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (67mm, f/2.8, 1/640 sec, ISO100)

Sponser’s Link

MAZDA3 X Black Tone Edition (6MT)の内外装

今回の試乗車はポリメタルグレーメタリックのBlack Tone Editionで、フロントリップやリアスポイラー等のショップオプションが付いていました。

じわじわと惚れたMAZDA3のエクステリア

実を言うとMAZDA3のエクステリアについては、長い間自分の中では消化し切れないものがありました。端的に言ってしまうと、多くの人が高く評価する中、筆者自身は手放しで「カッコいい」とは思えなかったのです。

一つには、実用性を犠牲にしたデザインに対する抵抗がありました。現愛車のパサートオールトラック購入検討の際に比較したCX-8も同様で、マツダは全体的に機能性よりもデザインを重視する傾向があります。

次にMAZDA3の細かい意匠の話ですが、広大な面積を占めるCピラーと、ルーフからテールへのライン辺りがどうものっぺりし過ぎている気がして、アンニュイな印象を受けていました。後方視界を妨げるという機能面でのデメリットもあります。

MAZDA3 e-SKYACTIV X MT ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (37mm, f/2.8, 1/1000 sec, ISO100)

しかし、どうも不思議なことに今ではすっかり惚れ込んでいるのです。理由はいくつかあるのではないかと思っています。

一つは、次の愛車では家族4人でのキャンプやスキーといった用途は重視しなくても良いため、実用性に対する優先順位が下がった事です。むしろ積極的にデザイン優先の車選びをしようという心持ちになっています。そうすると、不思議なことに機能性を割り切ったデザイン、という思想にそこはかとない潔さと色気すら感じるようになりつつあるではありませんか。人の心理の何とまあ勝手な事か。

MAZDA3 e-SKYACTIV X MT ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (57mm, f/2.8, 1/800 sec, ISO100)

広大なCピラーについては、まず視界の問題は、今回の試乗車に搭載されていた360度アラウンドビューモニターが割と実用的である事が分かり、解決しました(と言ってもVWの360度ビューモニタの画質に比べると幾分劣りますが)。

次にCピラーとルーフからテール周りのデザイン面については、シグネチャースタイルやオートエクゼなどのリアスポイラーを付けると、そのアクセント効果で途端にかなり引き締まった見た目になる事に気付きました。加えて今回実車を改めてじっくり撮影しながら眺めるうちに知らず知らずに惹き込まれて行きました。

MAZDA3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプション リアスポイラーSONY ILCE-7C, (46mm, f/2.8, 1/1250 sec, ISO100)

ということで、気づけば今では一日に何度も自宅の棚に置いてあるMAZDA3のカタログを手にとっては眺めている自分がいます。

「MAZDA3のカッコよさに気付くのおせーよ!」という突っ込みが入りそうですが、過去の経験上、初見でカッコいいと思える車よりも、最初はアンニュイな印象だったものが実車を見るうちに徐々に惚れ込んでいくというパターンの方が愛着が持てる、という事を知っており、これは実にいい傾向だと言えます。

実際に、前愛車のプジョー308SWや現愛車のパサートオールトラックも同様のパターンでした。

MAZDA3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (59mm, f/2.8, 1/800 sec, ISO100)

「ポリメタルグレーメタリック」はいいぞ

そして今回特に惚れ込んだのがこの「ポリメタルグレーメタリック」というカラー。

この実車を見るまでは、MAZDA3を買うならマシングレーかソウルレッドかな、と何となく思っていましたが、このポリメタルグレーメタリックの実車を見てすっかり惚れ込んでしまいました。

これ、実は先日試乗したゴルフGTIの「ドルフィングレーメタリック」にも近い色で、マットな雰囲気も持ちながら、光の当たり具合で非常に綺麗な光沢とグラデーションを魅せてくれる、渋く美しいカラーなんですよね。

【試乗】ゴルフ8 GTI - 驚異的な乗り心地と刺激的な咆哮の間で必死に購入意欲を抑える
こんにちは。あと5年は車を買い換える予定の無い10maxです。 今年1月7日に国内発売となったばかりの8代目ゴルフGTIですが、筆者がお世話になっているフォルクスワーゲン正規ディーラーでも10店舗くらいで1台の試乗車を回しているとのこ...

MAZDA3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (75mm, f/2.8, 1/500 sec, ISO100)

MAZDA3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone Edition ショップオプションSONY ILCE-7C, (49mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)

幸福感に満たされるMAZDA3のインテリア

エクステリアではその良さに気付くのに時間を要しましたが、インテリアは逆にずっと前から大好物です。

今更詳しくレビューを書く必要はないと思いますが、一言でいえば「質感お化け」。倍以上の価格帯のプレミアムブランドにも遜色ない質感とセンスだと感じます。決してこれみよがしな装飾や奇抜なデザインではないのに、トータルでも細部でも非常にシンプルかつ計算され尽くした造形と素材が採用されています。

個人的に車選びではエクステリアよりもインテリアを重視するタイプなので、これは非常に得点が高いです。ドライバーズシートに収まるたびに幸福感を満たしてくれるでしょう。

また今回の試乗車であるBlack Tone Editionは、要所要所に施された赤いステッチが静かなスポーツマインドを醸し出してくれます。

MAZDA3 内装 MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO100)

MAZDA3 内装 MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (36mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO100)

MAZDA3 ドアトリム MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (38mm, f/3.2, 1/100 sec, ISO100)

MAZDA3 シート Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (36mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO100)

MAZDA3 内装 MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (33mm, f/2.8, 1/125 sec, ISO100)

なお、今回はBlack Tone Editionだったので黒基調ですが、以前映像クリエイターのパンプケンさんの愛車であるBurgundy Selectionのレッドレザーの内装を撮らせて頂いたので、そちらもぜひご覧下さい。ワインレッドのような渋みのある赤は惚れ惚れします(買うならこっちだな~)。

絶景ミーティング!紅葉のビーナスラインで日仏独ディーゼル試乗会 - ②「アルペン・シャトー」の絶品バーガーと美しきマツダ3
こんにちは、10maxです。 前回の記事↓に続き、11月上旬のビーナスラインにブロガーのUUさん、まこまちさん、そして映像クリエイターのパンプケンさんと4人で集ったオフ会レポート、本記事はパート2です。 パーカーがズボン...

低いポジションの包まれ感と上質さに頬がほころぶ

MAZDA3のドライバーズシートに乗り込みます。最も低い位置にシートを合わせると、まるでスポーツクーペのような包まれ感になります。ホンダシビックと同様、MAZDA3もスポーツマインドを満足させてくれる設計思想となっています。

しかもシビックと比べても、全体的なデザインの調和性が高いためか、より静謐なコックピットの空気感を感じさせます。シビックのインテリアデザインもかなり改善されましたが、全体的なバランスと調和という点ではまだマツダに一日の長があると、筆者個人は感じます。

【試乗】新型シビック(6MT, FL1)| 爽快シビックを味わうならMTに乗るべし
こんにちは。まだ5年くらい車を買い換える予定は無いのに無駄に次の車候補が既に3車種くらいに絞り込まれてる10maxです。 その中のひとつがホンダの新型FL1シビック、通称「爽快シビック」です。前回とりあえずCVT車を試乗したのですが、...

MAZDA3 内装 MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (32mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO100)

MAZDA3 内装 MT Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (29mm, f/2.8, 1/100 sec, ISO100)

また、マツダ車はインフォテイメントなどの操作性も大事にしている印象です。

スポーティな乗車姿勢を取るとインフォテイメント画面を触れるのが億劫になりますが、マツダのインフォテイメントはタッチパネル式ではなくこの手元のコマンダーコントロールで全て操作できるので、非常に操作性が良いです。画面の指紋汚れを拭かずに済むのも◎。

個人的にインフォテイメントの操作性に関してはこのインターフェースが群を抜いていると思います。当然のごとく物理スイッチとダイヤルを残してくれているエアコン操作部も満点。

MAZDA3 コマンダーコントロール ダイヤルSONY ILCE-7C, (53mm, f/6.3, 1/125 sec, ISO100)

視認性と安全性の高いメーター/ヘッドアップディスプレイ

メーターの表示もシンプルかつ視認性が高く、非常に美しいと感じます。

御存知の通り中央はフル液晶ですが、あからさまなデジタル感を感じさせない配色とコントラストで、実にスポーティです。

MAZDA3 メーターSONY ILCE-7C, (38mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO100)

表示モードは上のアナログメーター式に下の2種類を加えた3モードです。

MAZDA3 メーターSONY ILCE-7C, (38mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO100)

MAZDA3 メーターSONY ILCE-7C, (38mm, f/2.8, 1/60 sec, ISO100)

オートクルーズコントロールやレーンキプアシストの動作状況は、上のメータークラスタに加え、フロントガラスに投影されるヘッドアップディススレイでも確認することが出来ます。

レーンキープアシストの車線認識状況を視線移動無しで確認出来たりするのは嬉しいです。またMT車の場合クルーズコントロール(MRCC)が時速30kmを以下では解除されますが、これもHUDで常に把握できるので、知らないうちに解除されていて前車に衝突、といったリスクも軽減できます。

MAZDA3 ヘッドアップディスプレイSONY ILCE-7C, (75mm, f/14, 1/400 sec, ISO100)

後部座席は広くはないが頭上空間は意外と余裕

後部座席に座ってみます。運転席は身長178cmの筆者に合わせてあります。

MAZDA3 ファストバック 後部座席 Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (28mm, f/4.5, 1/30 sec, ISO200)

膝前は拳一個分と、何とか窮屈ではない感じ。まあ、前後共に大男が座るケースはあまりないでしょうから、十分実用的と言えるでしょう。

MAZDA3 ファストバック 後部座席 Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (28mm, f/5, 1/30 sec, ISO640)

意外だったのは頭上空間。大柄な筆者でも頭上に拳一個入りました。シビックほどの余裕はありませんが、アルテオンファストバックくらいはありそうです。

MAZDA3 ファストバック 後部座席 頭上空間Apple iPhone 12 Pro, (2.71mm, f/2.2, 1/17 sec, ISO800)

後部座席のドアトリムまで革張り&赤ステッチが施されており、細かいところまで抜かり無し。さすが質感お化け。

MAZDA3 ファストバック 後部座席 ドアトリム Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (32mm, f/4.5, 1/40 sec, ISO125)

荷室は最小限

MAZDA3の荷室容量は334Lと、Cセグメントハッチバックの中では決して大きい方でありません。上でも触れた通りやはりデザイン優先というのも要因でしょう。

MAZDA3 荷室 ラゲッジルーム ファストバックSONY ILCE-7C, (50mm, f/3.2, 1/60 sec, ISO100)

後部座席は6:4可倒ですが、完全にフラットにはならず、若干傾斜が残ります。

MAZDA3 荷室 ラゲッジルーム ファストバック 後席可倒SONY ILCE-7C, (34mm, f/8, 1/60 sec, ISO100)

床下はサブトランクと呼べるほどの余裕はなく、若干小物を収納できる程度。BOSEオプションをつけたらほぼ埋まりますね。

MAZDA3 ファストバック 荷室 床下SONY ILCE-7C, (28mm, f/8, 1/80 sec, ISO100)

荷室の後部座席下端までの奥行きは約84cm、後部座席を倒して前席を一番前に出した状態の奥行きは約176cmです。

対角線では190cm近くになるので、斜めになれば筆者のような大柄な男性でもギリギリ車中泊も可能かもしれません。

MAZDA3 荷室 ラゲッジルーム 寸法 奥行き ファストバックApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/80 sec, ISO320)

MAZDA3 荷室 ラゲッジルーム 寸法 奥行き 対角線 ファストバックApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/120 sec, ISO100)

Sponser’s Link

e-SKYACTIV Xの官能性とスポーツ性をMTで引き出す

前置きが長くなりました。いよいよ本題です。

この「e-SKYACTIV X」というパワーユニットが非常に奥深く、実に不思議な魅力に満ちていたため、ドライブインプレッションの9割方はe-SKYACTIV Xに関するものとなっています。

逆に言えば、ブレーキやステアリング、乗り心地など、その他の基本的な部分については気になるようなネガティブな点は殆どなく、この画期的なパワーユニットを集中して堪能する事が出来ました。

想定外の官能スポーティサウンドに戸惑う

「戸惑う」と書いてしまう程に意外だったのは、e-SKYACTIV Xのスポーティなサウンドでした。

始動音は「キャシャシャ、ドォウン」という圧縮着火を思い起こさせるものでしたが、アイドリングではディーゼルのようなカラカラ音はほぼ聞こえません。遮音対策としてエンジン全体をカプセル状に覆っている効果もあるのでしょう。

MAZDA3 e-SKYACTIV X エンジンルーム

SONY ILCE-7C, (28mm, f/7.1, 1/60 sec, ISO100)
エンジンカバーを取り外して中を見せてもらった

そして軽くアクセルを踏んで発進すると、想定外の野太いサウンドが低く響きます。まるでゴルフGTIのようではないか・・・。さらに踏み込んでいくと、3000rpmあたりから徐々に高音が聴こえ始め、4000rpmあたりを超えるとスポーツカーような快音に変わります。

e-SKYACTIV Xは低中回転ではディーゼルでお馴染みの圧縮着火を応用したSPCCIが作動し、高回転ではガソリンエンジンと同様の仕組みで爆発するユニット。そこから想像するに、低回転では火花点火と圧縮着火により、ディーゼルのような迫力のある重低音が生かされ、一方高回転ではガソリンらしい伸びのあるサウンドに切り替わるのではないでしょうか。

さらに高回転の快音は、少なくとも筆者が経験したマツダのガソリンユニットであるSKYACTIV-Gにも無い胸のすくようなスポーティさを備えていました。その理由はよく分かりませんが、e-SKYACTIV Xの燃焼室はSPCCIの実現のためにレーシングカーのそれに近い工作精度を実現していると言われていますが、その事も関係しているのかも知れません。

フェラーリにもマセラティにも乗ったことの無い筆者がこんな言葉で評してよいのか分かりませんが、大衆ブランドの量販価格帯の車としては十分「官能的である」と言いたい。

そしてマツダさん、SKYACTIV-Xの特徴としてこのサウンドについて、もう少し訴求してもいいんじゃないでしょうか。だってこんなに音が良いなんて知らずに乗って、本当に戸惑いましたから(笑)

試乗動画を最後にご用意しているのでそちらもぜひご覧下さい。

人によっては「低速トルクが細い」と感じるかも知れない

もう一つ意外な点がありました。それは「意外と低速トルクが細いな」という事です。

e-SKYACTIV Xはよく「ディーゼルとガソリンの良いとこどり」などと言われています。また、特にSPIRIT1.1の改良以降は全体的に力強くなったと言われています。しかし、では同じ排気量の2Lディーゼル並の低速トルクが期待できるかと言うと、そうではありません(スペックを見れば当然ですが)。

ここでは、筆者が何と比べてトルクが細いと感じたか、というのが非常に重要です。筆者の過去の愛車達と出力やトルクを比較してみましょう。

最大トルク/回転数最高出力/回転数エンジン
RX-8(STD/5MT)222Nm/5000rpm210ps/7200rpm1.3Lロータリー
308SW240Nm/1400-3500rpm156ps/6000rpm1.6Lガソリンターボ
パサートオールトラック400Nm/1900-3300rpm190ps/3500-4000rpm2Lディーゼルターボ
MAZDA3240Nm/4500rpm190ps/6000rpm2L e-SKYACTIV X

こうして見ると、現愛車のパサートオールトラックは400Nmという怪力なのでさておき、注目すべきは同じ240Nmの最大トルクを発揮するMAZDA3とプジョー308SWです。筆者の感覚では、この308SWと比べてもMAZDA3の出だしのトルクは細いのではないかと感じたのです。

その理由は両者の最大トルクの発生回転数を比べれば明らかで、MAZDA3の4500rpmに対し、308SWはアイドリング直後の1400rpmから最大トルクを発生します。これなら説明が付きますね。

つまり、ここ10年くらいの主流であるダウンサジングターボやクリーンディーゼルと比べると、低回転のトルクが細いと感じる可能性があるのです。

ドカンと速いのではなく、スムーズに速いのだ

しかし、では「遅い」と感じるかというとそんなことは全くありません。ディーゼルも含めたターボエンジンと比べ、唐突感なくスムーズかつリニア(直線的)に高回転までパワー感が上がり続けるe-SKYACTIV Xの特性により、気づけばかなりの速度が乗っています。

上の比較表で分かる通り、プジョー308SWやパサートオールトラックのようなダウンサイジングターボやクリーンディーゼルはその日常領域を優先した特性上、中回転域でトルクが頭打ちとなってしまいます。

それに対し、MAZDA3のe-SKYACTIV Xは1000回転上の4500rpmまでトルクが上がり続けるため、運転していて実に爽快です。ダウンサイジングターボやディーゼルとは「種類の違う速さ」と言えば良いかも知れません。

では往年のスポーツカーの様に高回転型の扱いにくい特性かと言うとそんなことはなく、NAガソリンエンジンと比べれば明らかに低速トルクは太く扱いやすいのです。実際以前の愛車であるRX-8と比べても、このe-SKYACTIV XのMAXDA3は圧倒的に扱いやすいと感じます。

そういう意味ではやはり「ディーゼルとガソリンのいいとこ取り」という表現は間違っていないのです。

MAZDA 3 e-SKYACTIV Xの0-100km/h加速は先代86並

では、「遅くない」というのは本当なのでしょうか。実際に0-100km/h加速を比較してみましょう(表中各車のパワーユニットは上と同じ)。

0-100km/h加速
308SW8.4秒(出典:Autocar.jp
パサートオールトラック8.0秒(出典:Autodata
MAZDA37.4秒(出典:automobil catalog
先代867.4秒(出典:INTERNETCOM

MAZDA 3 e-SKYACTIV Xの0-100km/hは7.4秒。なんとスタートダッシュの速い400Nmのパサートオールトラックを上回る比較結果となりました。遅くないどころではありません。

ではこの7.4秒という0-100結果、同じくらいのレンジにはどんな車が居るんだろうと調べてみたところ、何と先代の86と同じ数字でした(現行は6.3秒)。純然たるスポーツカーと同等なのだから立派なものです。

サウンドもスポーティで、低速から十分なトルクが有り、回しても気持ちよく、そして実際0-100km/hも速い。これは普及価格帯における「官能スポーツユニット」であると言っても良いのではないでしょうか。

MAZDA 3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)

Sponser’s Link

MAZDA3 e-SKYACTIV X (6MT)のドライブフィール

ではパワーユニット以外のドライブインプレッションを少しだけご紹介します。

小気味良いシフトストローク

シフトは軽い力でカチカチ決まる非常に小気味の良いものでした。MCでフィールが改良されたようですね。

シビックのシフトもカチッと決まる気持ち良いものでしたが、MAZDA3の方が力が要らない感じです。

MAZDA3 シフトノブ MTSONY ILCE-7C, (43mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO100)

スムーズなクラッチミートとシフトアップ

MAZDA3のe-SKYACTIV Xの特筆すべきポイントに、マイルドハイブリッドのモータによるアシストが挙げられます。

まず、発進時にはモーターが少しだけ回転数を高めてくれるので、クラッチミートから発進が非常にスムーズに行なえます。

また、シフトアップ時には逆に回生の仕組みを使って回転数を少しだけ下げてくれるので、不用意なシフトアップによるドンっという急加速を防いでくれます。

面白いのは、シフトダウン時には特に何もしないところ。トヨタのiMTなどではシフトダウン時に軽く回転数を上げますが、MT好きならシフトダウンこそ自らブリッピングを決めたいだろう、というのがマツダの考えのようです。流石、よく分かってますね。ON/OFFが出来ればいいのでは、という気もしますが、シフトアップや発進時のアシストまで全てOFFになってしまうのは残念なので、いい仕様だと思います。

運転支援で安楽MT走行も可

最近のMT車の例に漏れず、先進運転支援システムも一通り備わっています。

時速30km以上という制限はあるものの、マツダレーダークルーズコントロール(MRCC)やレーンキープアシストも使用できますし、オートブレーキホールドやヒルスタートアシストも備わっているので坂道発進も楽勝です。

また、エンスト時にはクラッチペダル踏み込みでエンジン再始動してくれます。

これだけ安楽に、MTでe-SKYACTIV Xの官能スポーツユニットを満喫できるとは贅沢な話です。

MAZDA3 内装 ステアリング MTSONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO100)

Sponser’s Link

まとめ:MAZDA3 e-SKYACTIV Xは未完の大器

どうも天の邪鬼なもので、みんなに格好いいだの画期的だのと言われて注目されると、敢えて避けてしまう性格なのです。もっと早く乗るべきだった。試乗前に思っていたよりも3段階くらい魅力的な車でした。

しかしこの車の事を改めて色々調べてみると、決して売れまくっている訳ではなく、実は案外地味な存在に留まっているらしい事が分かってきました。

ご想像の通り、その一番の理由は、e-SKYACTIV Xというパワーユニットの価値が分かりにくいことです。

様々なメーカーが挑戦してなし得なかった画期的な燃焼方法を実現した「夢のエンジン」と呼ばれる割には、パフォーマンスにしても燃費にしても飛び抜けたものがない。よってマツダ自身もe-SKYACTIV Xのアピールの仕方を煮詰めきれていない感があります。実際今回お邪魔した販売店の営業さんも「あまり売れていないんですよね」と漏らしていました。

しかしこのエンジン、まだまだ実力を発揮しきれていないようです。マツダのパワートレイン開発本部の末岡氏は取材に対して次のような発言をされています。

「スーパーリーンバーンの領域でも、理論上は1.5倍のトルクを引き出すことが可能です。また高回転化についても現在の1.5倍を目指しています」

出典:ITMediaビジネス

昨年のSPIRIT1.1でも大幅な改善を見ましたが、e-SKYACTIV Xはまだまだ本来の実力を出し切っていない「未完の大器」と言うことが出来るでしょう。

思えばロータリーエンジンでも、マツダは世界初の、そしてその後も誰も実現出来なかった市販車への搭載を実現しましたが、そのDNAはマツダの中にまだ受け継がれているようですね。

カーボンニュートラルの時代に向け、今の所BEVはライフサイクルアセスメントの観点では切り札になりえず、当面は内燃機関の効率化が鍵になります。その意味では内燃機関の飛躍をもたらすe-SKYACTIV Xはロータリーエンジンよりも画期的で重要な役割を背負っているのかも知れません。

今後のe-SKYACTIV Xの展開に大いに期待したいところです。

そして10max家の車庫にいつMAZDA3がやって来るのかも気になるところですね!

試乗動画

関連記事

【徹底比較】シビック vs. MAZDA3 | どう違う?美しくスポーティな国産ハッチバック対決
こんにちは。当分買う予定もないのに次期愛車候補探しの旅をしている10max(@10max)です。 特に最近試乗して気になっているのが、ホンダ・シビック(FL1)とMAZDA3。共通しているのはどこかヨーロピアンな美しさを持つCセグメン...

試乗車の主な仕様

車種MAZDA3 FASTBACK
グレードX Black Tone Edition
パワーユニットe-SKYACTIV X
全長4,460mm
全幅1,795mm
全高1,440mm
車両重量1,430mm
最低地上高140mm
最小回転半径5.3m
駆動方式FF
トランスミッション6MT
エンジン2L直列4気筒自然吸気
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
最高出力140kW<190ps>/6,500rpm
最大トルク240Nm/4,500rpm
モーター最高出力4.8kW<6.5ps>/1,000rpm
モーター最大トルク61Nm/100rpm
WLTC燃費18.5km/L
車両価格(税込)\3,245,000
主な装着オプションショップオプション(アンダースカート+リアルーフスポイラー):\311,158

MAZDA 3 e-SKYACTIV X ポリメタルグレーメタリック Black Tone EditionSONY ILCE-7C, (55mm, f/2.8, 1/500 sec, ISO100)

にほんブログ村 車ブログへ

コメント

  1. 日産&マツダファン より:

    ブログとYouTube含めて、大変参考になるインプレッションありがとうございます。私も最近色々と乗って、官能スポーツユニット、本当にその通りだなと感じました。MTも含めて、ほとんど同じ印象を持ちました。

    扱いやすくて燃費の良い新世代のロータリー或いはVTECという感じでしょうか。

    元RX-8乗りの方の意見としても大変参考になりました。
    形は違えどRX-8の再来という感じも受け、美しさと、実用性とスポーティーのバランスがとても良いと思います。

    スカイアクティブXはスポーツモデル、ホットハッチモデルとしてもっと分かりやすく魅力を訴求する、宣伝の商品改良をマツダさんには望みたいですね!
    (我々みたいなユーザーの口コミでじわじわ広げる作戦なのかもしれませんが…)

    ↓参考までに最近投稿した私のレビューです。どれかは一発で分かるはず(笑)
    https://s.kakaku.com/review/K0001159812/

    • 10max より:

      日産&マツダファンさん、コメントありがとうございます^^
      価格コムのコメントも拝見しました!
      まさに、ジェントルさとスポーティさの二面性を楽しめるユニットですよね。
      それをアシスト機能を生かして安楽に操れるMT、というのも魅力的です。
      燃費も微妙と言えば微妙ですが、これだけ回すタイプのエンジンでこれだけ出てれば十分な気がします。
      もっとも、燃費やトルクに関してはマツダもさらにアップデートするつもりでいるみたいですので、更に期待ですね!
      SPIRIT1.1でこれだけ進化したので、2.0あたりには相当期待したいです!
      宣伝をもっとうまくして売れてほしい気持ちと、知る人ぞ知る存在のままで居てほしい気持ちが絡み合ってます(笑)

  2. 日産&マツダファン より:

    早速ご返信ありがとうございます。
    そうですね、Spirit1.0に最初にエコ運転で乗った時は、静かだし、普通で退屈そうなエンジンだな、世界初とはいえ、これは買えないな~と思ってました。しばらく乗って、中回転以上で回してみると、あらいいじゃないの~という感じに変わったのが印象的でした。(1.0の車でも)

    仰る通り、spirit1.1でレスポンスや音が劇的に良くなってて、Zや、NDロードスター乗りとしても納得のレスポンスになったので、これからの燃費やトルクアップに期待大ですね!

    知る人ぞ知るというのは分かる気がします。開発主査の方もマツダを愛している上級者に買って欲しいというコメントもありましたし、日本ではあまり売る気がないのかもしれませんね。(欧州は売れてるみたいですがw)

    • 10max より:

      日産&マツダファンさん、こんにちは。
      NDやZ乗りの方が納得ということは間違い無いですね!
      思えばロータリーエンジンも、実に分かりにくい代物でした。
      トルクは細く、ものすごく速いわけでもなく、燃費は悪く、ただひたすら回転のフィールが気持ちいいと言う(笑)
      その雰囲気を、SKYACTIV Xはもの凄く感じるんですよね。
      昨日のCX-60発表で明かされた大排気量かつ多気筒エンジンなども、時流に流されない拘りを感じます。
      それもたぶん分かる人にしか分からないのでしょうけど、非常に共感できます^^
      あえて内燃機関を極めるというアプローチなど、ますます今後が期待できますね!

  3. 日産&マツダファン より:

    10maxさん、こんにちは。ありがとうございます。
    仰る通り、Xもロータリーエンジンみたいに回転フィール特化型な雰囲気がありますね!
    FC、FDよりはだいぶ乗りやすくなりましたが(笑)
    今後も刺さる人には刺さる、ニッチなポジションを維持しそうな気がします。
    期待のCX-60も含めて、今後も目が離せないですね!

    • 10max より:

      日産&マツダファンさん、いつもコメントありがとうございます^^
      はい、今後のマツダから目が離せませんね!
      日本向けCX-60では一旦見送られたSKY Xがどう展開されるのかも気になるところです。
      新しいトルコンレストランスミッション含め、実車に乗るのが楽しみです!