こんにちは。まだ5年くらい車を買い換える予定は無いのに無駄に次の車候補が既に3車種くらいに絞り込まれてる10maxです。
その中のひとつがホンダの新型FL1シビック、通称「爽快シビック」です。前回とりあえずCVT車を試乗したのですが、それが好印象だったため余計MT車が気になり、ついに先日MTシビックの試乗車がある横浜のホンダ店まで遠征してきました。
そして、CVTとMTの両方の新型FL1シビックに乗ってみて個人的に確信に至りました。このシビックという車、もしMTが選べる状況であればMTを選んだ方が爽快かつ幸せになれます。その理由は主に2つです。
- シビックのエンジン、シフトフィール、足回りの良さはMTでこそフルに引き出せる!
- ADAS等のおかげでMTでもズボラに運転できる(笑)
ではMTの新型シビック(FL1)のドライブフィールを中心に試乗インプレッションを詳しくお届けししたいと思います。
なお、CVT車の試乗インプレッションについては下記記事をご覧頂ければと思います。
SONY ILCE-7C, (48mm, f/2.8, 1/250 sec, ISO100)
新型シビック(FL1)の低いフォルムはMTでこそ光る
今回の試乗車は有償オプションカラーの「プレミアムクリスタルブルー・メタリック」。この色もスポーティでカッコいい!何となくですが、シビックのカラーってGR86とかBRZあたりのような、ソリッドですっきりしたスポーツカーの様なカラーラインナップを意識してるような気がするんですよね。
ただ、欲を言えばもう少しラインアップを増やしてほしい気もするな~。今後に期待ですね。
SONY ILCE-7C, (40mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)
ライバルの中でもロー&ワイドが際立つ新型シビック
今回新型シビックとは約1か月半ぶりに対面した訳ですが、そのフォルムに関する第一印象はやはり前回と同様「低い!」というものでした。それこそBRZ(全高1,310mm)のように、とまでは行きませんが、通常のハッチバックよりもスポーツカーの領域に近いように感じます。
実際にライバルと思しきCセグメントハッチバックおよび先代FC/FKシビックと比較しても、新しいFL1シビックの全高は最も低くなっています。また、全幅に関しても他社のライバルよりワイドになっていることが分かります。
FL1シビック | FC/FKシビック | インプレッサ | マツダ3FB | カローラスポーツ | |
全長mm | 4,550 | 4,520 | 4,475 | 4,460 | 4,375 |
全幅mm | 1,800 | 1,800 | 1,775 | 1,795 | 1,790 |
全高mm | 1,415 | 1,435 | 1,480 | 1,440 | 1,460 |
Cセグメントハッチバックというと通常Bセグメントと並んで最量販商品に位置付けられる事が多いですが、ホンダの場合は「ホンダスポーツの象徴」として、凡庸なフォルムに収めたくないといった拘りがあるのかも知れません。
SONY ILCE-7C, (47mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)
MT操作にこそシビックの低い着座位置がフィット
その低いフォルムについて、乗り込んでみて改めて妙に納得しました。前回のCVTの試乗記でもお伝えした通り、この低いフォルムに合わせて着座位置も非常に低く設定できるのですが、これがMTの3ペダルを踏もうとした時に実にしっくりくるのです。シートを低くセットして足を遠くに放り出してクラッチペダルを踏む感じ・・・CVTの時よりもフィットするんですよね。
いや、トラックの運転手だってMTで運転してるんだから別に低い着座位置のほうがMTの操作がしやすい、という合理的な理由がある訳ではないんです。ただ、「やっぱりスポーツカーってこうだよね」「ホンダさん分かってるね」っていうだけの話です(笑)
まあ、筆者が個人的に初めてのマイカーがマツダRX-8だったから、というのも大いに影響しているのでしょうけど、恐らく多くのスポーツカーファンにとっても大なり小なり当てはまるんじゃないでしょうか。
SONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO125)
ただ、着座位置が低い事の弊害として、後部座席に座った時には爪先が前席のシート下に入らないため若干窮屈さを感じました。ただしこれは身長178cmの筆者に運転席を合わせて筆者自身が後部座席に座った時の感想です。あと、この時は前席を一番低くセットしていたので、もう少し上げればつま先が入るのかも知れません。
新型シビック(MT)のドライブフィール
ではいよいよ試乗に出かけます。AT車と違ってMT車は発進の瞬間からお互いの相性を確かめ合うような緊張感が漂いますが、この緊張感が、所有した暁には乗る度に愛車と会話を交わすような楽しみに変わるのかも知れませんね。
あれ・・・?安心してください!買いませんよ・・・まだ(笑)
SONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO100)
新生L15Cエンジンの出力特性 – 先代FKシビックとの比較
と、ドライブインプレッションに入る前に、FL1シビックのエンジンの出力特性について予習しておきましょう。
新型FL1シビックに搭載される1.5L直列4気筒VTECガソリンターボエンジン「L15C」は、ユニット名自体は先代FKシビックから変わっていないようですが、少しだけ出力特性をチューニングしているようです。また、参考比較のためにフォルクスワーゲンのゴルフ8に搭載される1.5L TSIエンジンも掲載しておきます。
FL1 | FK7(MT/HB) | ゴルフ8 1.5eTSI | |
最高出力ps/rpm | 182/6,000 | 182/5,500 | 150/5,000-6,000 |
最大トルクNm/rpm | 240/1,700-4,500 | 240/1,900-5,000 | 250/1,500-3,500 |
上の表の通り、最高出力と最大トルクの数値自体は同じですが、最高出力はより高回転側で、最大トルクはより低回転側で発揮されるように特性を変えてきているようです。VWの1.5LターボTSIはより低回転側でトルクを発生させるタイプの様です。では実際のドライブフィールを見ていきましょう。
ファーストコンタクト – 分かりやすいクラッチミート
さて、その相性を確かめるべく、初めてクラッチを繋げるファーストコンタクトです。第一印象として、クラッチミートポイントがとても分かりやすいと思いました。そもそもMT車なんて片手で数えるほどしか乗ったことが無いので比較対象は大してある訳ではないのですが、実は先日試乗したスバルBRZではあまり上手くミート出来なくて、つい吹かしすぎてしまったりしてイメージ通りの発進が中々出来なかったんです。
後日ブログ仲間のアキタローさんが同じ新型BRZに試乗された際のレビューで、クラッチミートポイントが分かりにくかった、と書かれていたので、ある程度間違っていないのではないかと思われます。
一方この新型シビックでは、クラッチペダルを上げていくとあるところで割と明確に「ククッ」と反力が足の裏に伝わってきて、初めて乗った車なのに試乗の半ば頃にはある程度意のままの発進が出来るようになりました。先代シビックとは乗り比べ出来ていないので正確な事は言えませんが、より低回転側から最大トルクを発生する特性に改良されたのも乗りやすさに繋がっているかも知れません。
なお、先代FK8タイプRのレブマッチ機能(トヨタのiMTみたいに回転数を自動で合わせてくれる)が新型FL1のノーマルシビックにも搭載されたらいいな~と期待していたのですが、残念ながら搭載されませんでした。でもこのクラッチミートのし易さならレブマッチ無くても全然大丈夫かも。
カチッと決まるショートストローク
噂には聞いていましたが、シフトが実に気持ちよくカチッと入ります。ストロークも実際に先代シビックよりショート化されていて、シフトストローク(縦方向)が5mm、セレクトストローク(横方向)が3mm短くなっていて、手首でコクっと操作出来る感じです。それに加えシフトフィールも、やや硬め(重め)ではありますが、カチッと遊びがなく入る感じが非常に気持ちいいです。
この点も実はBRZでは少し気になっていて、BRZでは薄いゴムの板が一枚挟まっているかのようなムニュっとした感覚があったのです。
これは好みの世界なのかもしれませんが、個人的にはホンダの「スコン」と入る感じの方が好きですね。以前の愛車のRX-8もかなり気持ちのいいシフトフィールでしたが、それを思い出しました。
上記のクラッチミートの件含め、BRZ(6MT)の試乗インプレッションは下記をご参照ください。
SONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO250)
爽快に吠えるVTECエンジンはMTでこそ幸せになれる
さて、いよいよ1.5L直列4気筒VTECターボエンジンのお味を堪能していきます。
ディーラーを出て片側1車線の道を流している限りにおいては、エンジン音がほとんど聴こえないと言っても過言ではないほどの静粛性です。この辺り、エンジン始動からやる気にさせるゴルフGTIあたりとは対照的なキャラクターです。まあそういうのはタイプRに任せようって事ですかね。個人的にはもうちょっと迫力があっても・・・
まあまあ焦らず、やがて幹線道路へ出て前方が空いたところでいよいよ踏み込んでみます。
「フォォォォォォ・・・・オオオオオン!!!!」
あれ!?おたく、てっきり物静かなジェントルマンかと思ったら結構吠えますね(笑)
営業さん曰く
「はい、ちゃんとサウンドが響くようになってます!!」
と自信たっぷり(笑)
ワイド&ローなフォルムと低い着座位置を持つだけあってちゃんと抑えるところ抑えてますね。しかもターボなのに自然吸気エンジンの様にフォーーンとフリクションなく上まで息切れせず伸びていく感じ。1,700-4,500rpmという非常に広く高回転寄りの回転レンジで最大トルクを発生する出力特性も効いているのでしょう(ゴルフ8の1.5TSIの最大トルク発生回転数は1,500-3,500rpm)。これは気持ちいい♪
このシビックの伸びの良いエンジンを、CVTで効率の良い回転域だけを使って受動的に走っていたら実に勿体ないと思うんですよ。エンジンと対話しながらクラッチを繋ぎ、心地よいサウンドと共にスピードに乗せ、減速時は「フォンッ!」と一声上げさせてからシフトダウンする・・・この一連のプロセス全てに幸せを感じるための爽快VTECターボなんじゃないかと思えて仕方がありません。
油圧のようにしっとり正確なステアリング
山がちな横浜の山の手はステアリングフィールを試すにはおあつらえ向き。そのステアフィールも実に好印象でした。
シビックは従来より「デュアルピニオンEPS」と呼ばれる、ステアリング操作を伝えるピニオンギアと電動アシスト力を伝えるピニオンギアを独立して設けた機構を採用しているため、不自然なアシストフィールを排除した油圧パワステの様なしっとりかつ正確なフィールを実現しています。
実際のシビックのステアフィールについては前回のCVT車のインプレッションをそのまま引用させて頂きますが、この試乗の後でデュアルピニオンEPSという機構の存在を知り、「なるほど道理で」と妙に納得しました。
最初の一瞬、「少し重いかな?」と感じるのですが、すぐに「単に重いわけではない」と気付きます。ぬる〜っと滑らかに、しっとりと回るんです。伝わるかな・・・
ステアリングは、個人的に重すぎても軽すぎてもダメで、さらに言えば、重さ以外の感覚が大事なんですよね。しっとりと適度な反力が大事なんです。重すぎる、あるいは反力が強すぎると回すのに疲れてしまうし、軽すぎる、あるいは不自然にアシストが強すぎると固定するのに腕力が必要になってしまう。ビシッとラインを微調整できるフィーリング。決して万人が回せないほど重いわけではなく、反力の出し方がスポーティで上手い。
BRZもそうですが、最近日本車でもステアリングフィールで外す車は少なくなってきたな~と感じますね。
引き締まった足回りは峠でスポーティに操りたい
先日のCVT車は都内の幹線道路だけだったのであまり分かりませんでしたが、今回のまるでワインディングのような横浜の山の手の道を縫っていくと、新型シビックの足回りは結構しっかりしてるな、と感じます。
段差を超えると割と「ドスン」という感覚。かといってガチガチに固く突っ張った脚のように不快だとかお尻が痛いだとか言う事はありません。脚はちゃんと動いていて路面を正確に捉えて離さない感覚。
これ、「現代に求められるスポーツカーの脚をものすごく極めたらこうなった」っていう事なのかも知れません。いや、スポーツカー乗りじゃないので分からないんですけど、そう考えるとしっくり来るんですよね。だって、こんなに路面追従性が高くてしっかりしてるのに、乗り心地が悪いとか跳ねるとかいう感覚が殆ど無いんですから。
この、まるでワインディングを駆け抜けるために作られたに違いない脚は、爽快なエンジンの性能を引き出しつつぜひMTでスポーティに操ってみたいなと思わせます。
一方、シビックでもタイプRには電子制御ダンパーが搭載されるはずなので、そちらのセッティングも気になりますね。ゴルフ8も、ノーマルは電子制御無しでGTIには電子制御ダンパーDCCが装備されますが(オプション)、GTIで一番驚いたのは電子制御ダンパーDCCによる乗り心地の良さだったのです。
SONY ILCE-7C, (34mm, f/2.8, 1/1000 sec, ISO100)
新型シビック(FL1)のMTはズボラ運転も楽勝
さて、ここまでは新型シビックの気持ち良いエンジンや足回り、シフトフィールをフルに引き出すにはMTがおすすめ、というインプレッションでしたが、ここからは、一見敷居が高そうなMTでも新型シビックなら意外と楽勝で乗れますよ、というお話です^^
電子パーキングブレーキで坂道発進も余裕
MT車で一番肝を冷やすのってやっぱり上り坂での坂道発進だと思います。でもシビックには電子パーキングブレーキが付いているので、その心配は全く要りません。車が後ろに下がってしまう不安を忘れてクラッチミートだけに集中できます。
しかもオートブレーキホールド機能付きなので、停車したら自動的に電パが作動してくれるので、もう執事が隣にいてブレーキと坂道発進という面倒な作業を勝手にやってくれているかのような楽勝さです(笑)
エンストしても自動で再始動
しかもこの新型シビック、仮にエンストしてもクラッチを踏めば自動的にエンジン再始動してくれます。アイドリングストップ機能との連携でしょうね。
まあ別にエンストしても「よっこいしょ」とエンジンスタートボタンを押せば良いのですが、自動で再始動くれるとなると、もう「エンストしましたが何か?」ってな感じでやり過ごせます。
回転落ちが穏やかでギクシャクしない
MTでは通常1速のままでアクセルオフしたりするとギクシャクしますよね。なので教習所では「1速は不安定だからなるべく早く2速に上げる」と教わりました。
しかしこの新型FL1シビックではそういう挙動を見せません。実は一部のレビューでは「回転落ちが遅い」という点が欠点として評されていて、それは確かにそうなのですが、実はそれがこの「低速でギクシャクしない」メリットに繋がっているんだと思われます。
なのでこの新型シビックではMTなのに極低速でのコントロールにあまり気を使わなくても大丈夫なのです。これだけでもだいぶ楽ちん。
アダプティブクルーズコントロール&レーンキープアシスト
そして極めつけはアダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシスト等の先進運転支援システム(ADAS)です。シビックはMT車でも「時速30km以上」かつ「シフトポジション2速以上」の条件下でACCが使用可能です。
使用方法は簡単で、上記の条件で走行中にステアリングスイッチの「RES/+/SET/-」スイッチを上か下に押すだけで、その時点での速度を上限として前走車を追従し始めます。上限速度の変更も同じく「RES/+/SET/-」スイッチで行います。
また、時速65~120kmの範囲ではレーンキープアシストも使用可能なので、ACCと合わせれば幹線道路や高速道路などでは大いに運転操作の負担を軽減できます。実際に幹線道路でACCを使用して走行してみましたが、時速40~60kmくらいである程度流れている状態であればずっと4速に入れっぱなしでズボラ運転が可能でした。
時速30km以下でアラート音
ではACC走行中に速度が下がるとどうなるかというと、知らない間にACCがオフになって前車にぶつかりそうになる、ということはありません。ACC作動中に時速30kmを下回ると「ピー」というアラート音とアラート表示が現れ、ACCがオフになった事を知らせてくれます。これなら安心ですね。
まとめ:爽快シビックはMTでこそ真に爽快なり
ということで、CVTとMTの両方のFL1シビックに試乗した結論は、やはりこういう事になるかと思います。
新型シビックの爽快さを満喫したければMTに乗るべし!
別にCVT車がダメだというお話ではありません。CVT車だって想像以上に好印象だったのです。ですが、「爽快」かというと・・・なんですよね。
ロー&ワイドなフォルム、気持ち良いサウンドと共にNAの様に伸びるエンジン、スポーティな足回り、それらを低い着座位置で、スコスコ決まるシフトで操る・・・それでこそ真の「爽快シビック」を堪能できるってもんじゃないかと、CVT、MTの両方に乗ってみて強く感じました。
もう一回乗りたいなあ~。
あ、買いませんよ・・・まだ(笑)
SONY ILCE-7C, (42mm, f/2.8, 1/320 sec, ISO100)
コメント