こんばんは。2020年式パサートオールトラック乗りの10maxです。
昨年よりお伝えしている通り、2021年のフォルクスワーゲンは新型ゴルフ(ゴルフ8)の日本上陸のみならず、パサート、ティグアン、アルテオン(シューティングブレーク含む!)の改良型などモデルチェンジが目白押しです。
※2021年に上陸するフォルクスワーゲン新モデルの詳細は本記事末尾の記事を御覧下さい。
正直なところ以前は、ゴルフ8とアルテオンシューティングブレーク以外は地味なフェイスリフト中心のちょっとしたマイナーチェンジだと思っていたのですが、その地味なフェイスリフトに隠れて実は中身が大きく進化している事が分かってきました。
その目玉の一つが、より自動運転の世界に近づいた先進運転支援システム(ADAS)の進化。
この点について、ゴルフ8などの記事を中心に色々なところで断片的に触れられているのですが、曖昧でいまいち既存モデルとの違いが分かりません。本記事ではそのADASが一体どう変わるのか、現行B8パサートオーナーの目線で(自分用の備忘も兼ねて)整理したいと思います。
ゴルフ8についての公式情報おさらい
さて、まずはゴルフ8の先進運転支援システム(ADAS)に関する公式情報をおさらいしておきましょう。今回ゴルフ8予約受付開始に伴って報じられたニュースサイトの情報は基本的に公式ティーザー情報の域を出ないので、公式情報を見ていきます。
公式ティーザーリーフレットでは以下の2つの先進運転支援機能について触れています。
渋滞から高速走行まで幅広くサポート。同一車線内全車速運転支援システム”Travel Assist”
現行モデルでは時速60kmまでコントロール可能だったTraffic Assistの進化版で、ステアリングに軽く触れているだけで、時速210kmまでの速度域でアクセル、ブレーキ、ハンドル操作をアシストし、長距離ドライブの疲労軽減に大きく寄与します。
ドライバーに万が一の事態が発生しても安全に停止。緊急時停車支援システム”Emergency Assist”
ドライバーの状況を常にモニターし、意識を失うなど運転の継続が不可能だと検知した場合、同一車線上で緩やかにブレーキをかけて車両を停車させます。
しかし、この説明を読んでも、具体的に現行車種から何が進化しているのかいまいちピンときません。「時速60kmが210kmに?今だってACCとレーンキープアシストあるから時速60kmどころか高速道路だってほぼ自動運転だし」などと思ってしまいます。ということで本記事では断片的に散らばっている情報を寄せ集めて、整理して紐解いてみたいと思います。
最新のADASを引っさげて最初に上陸するのは実はパサート
で、実は先日お世話になっているディーラーの営業さんからうかがった話では、この進化はゴルフ8に先立って日本にやってくるパサートやティグアンの改良モデルでもほぼ同じものが搭載されて来ることが分かっているそうです(末尾の記事リンク先参照)。なので、むしろ今回取り上げる進化版ADASを初めて搭載して日本初上陸するフォルクスワーゲン車は地味にパサートになるという訳なのです。
つまり、日本ではあまり話題になっていない新型パサートに搭載される機能を合わせて調べることで、ゴルフ8の進化版ADASの内容を読み解くことが出来るということですね。
ではここから、それらを踏まえて既存のADASと進化版ADASの違いを見ていきたいと思います。
ゴルフ8や新型パサートなど2021年上陸モデルと既存モデルのADASの違い
では進化したポイントを、現行2020年式パサートオールトラックを始めとする既存車種との比較を交えながらチェックしていきます。
「Traffic Assist」と「Travel Assist」、名前は似てるが結構な進化
一番の目玉は「Travel Assist」です。今までの「Traffic Assist」と名前は似てますよね。
しかも上の公式リーフレットを見ても、時速60kmから時速210kmへと対応車速が広がった、とありますが、正直よく意味が分かりません。
まず既存の「Traffic Assist」の説明をフォルクスワーゲン公式サイトから引用します。
“Traffic Assist”はドライバーがあらかじめ設定した間隔を先行車との間で保ち、走行レーンを維持するようサポートすることができます。この機能をオンにすると交通渋滞時やストップ&ゴーの多い状況において、システムは自動的にアクセルペダル、ブレーキおよびステアリングを制御します。渋滞の最後尾など、停止している車両の後ろで停車するまで減速し、先行車の動きを検知して再度発進します。
※作動速度範囲 60km/h以下 ※作動条件 ドライバーの両手がステアリングを握っていてハンドル操作に関与していること
簡単に言えば、時速60km以下の範囲でかつドライバーがハンドルを握っている条件下で、オートクルーズコントロール(ACC)とレーンキープアシストを組み合わせて、車線を認識しながら前車に追従し、完全停止から再発進まで行ってくれる機能、ということになります。
しかし、この機能を搭載した現行パサートオールトラックオーナーからすると、これを読んでも「???」なんですよね。なぜなら、ACCおよびレーンキープアシスト機能自体は時速60kmという制限速度は無いので、高速道路でも同じ様に自動的に加減速やステアリング操作を行ってくれるからです。この辺り、現状のADASで「時速60km以上と以下で何が違うのか」についてはディーラーにも訊きましたが、未だに判然としていません。
従って、今でも既に「時速60km」というしきい値に実効上の意味を感じていないのに、これが「Travel Assist」になって制限速度が時速60kmから時速210kmに拡大されました、と言われても「何が違うの?」と思ってしまう訳です。
しかしTravel Assistの真価はここからです。
ACCが「プレディクティブ・オートクルーズコントロール」に進化
「Travel Assist」の一番の目玉機能は、オートクルーズコントロールが、「プレディクティブ(予測)オートクルーズコントロール」に進化することです。つまり、従来は前の車との車間距離制御のみ行っていたACCが、VW純正ナビであるDiscover Pro(や恐らくカメラ)などと連動し、制限速度やカーブ、ランナバウト、交差点などに対応して車速を自動的に調整してくれるようになったのです(日本でどこまで検知してくれるかは不明ですが)。
これは言われてみれば自動運転に近づくために無くてはならない機能ですね。現行では、前に車がいなければ急カーブであっても減速せずに突っ込んでしまいます。また、当然赤信号だってお構い無しです。あくまでも「前の車に追従する」ことしか出来ませんからね。さらに言えば、前の車でも赤信号などで「始めから止まっている車」には反応しないので注意しないと突っ込んでしまいます(突っ込みそうになったらエマージェンシーブレーキが作動するんでしょけどあまりお世話になりたくない機能です・・・)。
渋滞時は運転していても楽しくないので結構これらの機能を使ってるんですが、実際これでヒヤッとしたことが何度かあります。生半可に「自動的にやってくれる」ために、システムの「仕様」や「癖」をよく把握していないと逆に危険だったりするんですよね。
そうしたケースでも安心出来るようになるとすれば嬉しい話です(もちろん「レベル2自動運転」の範囲を超えないのでドライバーが常に操作を主導している必要はありますが)。
こうして考えると、上の方で現行「Traffic Assist」について「時速60km以上と以下で何が違うのか分からない」と書きましたが、実は思い起こしてみれば現行でも低速時、特に渋滞追従時には「前車と一定間隔を保つ」だけではなく、もう少し自然な距離まで前の車に近づいてくれて、停止時にはピッタリ後ろに止まってくれます。そうしたきめ細やかな制御を含めて時速60km以下では特別に「Traffic Assist」と呼んでるとすると、新しい「Travel Assist」は時速60kmを超えてもそうした「前の車と一定距離を保つだけではないきめ細やかな制御」(=カーブで減速したり)を行ってくれる、という事なのかも知れないと勝手に解釈しています。
もしこの辺りの正式な情報をご存じの方がいらっしゃったらご教示下さいm(_ _)m
レーンキープアシストが車線以外も認識
「Travel Assist」ではレーンキープアシストも大きく進化しています。車線だけでなく道路脇の空間も検出可能になるようです。これも言われてみれば非常に重要な進化です。
現行では割と主要な幹線道路でもレーンキープアシストが有効にならないシーンが意外なほどに多いんですよね。一番多いのは、左側の端を認識しないこと。特に片側一車線だと、幹線道路でも左端に車線が無い、もしくは現れたり消えたりする道路が多いんですよね。筆者の近所だと世田谷通りなんかではほぼずっとこの状態でほぼレーンキープアシストが使えません。
まだ想像ですが、Travel Assistに進化することで道路脇の空間を検出してくれればこの問題がかなり解決されて、より多くのシーンで半自動運転が可能になると思われます。
静電容量式タッチセンサー式ステアリングでより「自動運転チック」に
今回導入される「Travel Assist」はじめとする部分自動運転機能はあくまでもドライバーが主となる「レベル2自動運転」の範囲内ですが、従来は「Traffic Assist」などの動作条件として、能動的にステアリングを「回す」必要がありました(一定時間その動作をしないとアラートと共にADASが解除される)。
しかし今回、静電容量センサー「キャパシティブステアリング」が導入される事により「触れているだけ」で良くなりました。つまり、よりドライバーに求められる運転操作が少なくなり、自動運転の世界へとまた一歩近づいたと言える訳です。
上の方で触れた通り、以上のTravel Assistに関する情報が2019年3月のジュネーブモーターショーで発表された新型パサートの記事で把握できたため、それと筆者が営業さんからうかがった情報を合わせる事で、ゴルフ8にもほぼ同じ機能が搭載されてくると逆引き出来た訳です。その記事をこちらに貼っておきます。
なお、全ての機能がそのまま日本市場に持ち込まれない可能性もあります。その辺りも最新情報が分かり次第お伝えしたいと思います。
まとめ
ざっくりまとめるとこんな感じですかね。
これまで:「前の車」と「車線」しか認識しない
これから:もっと総合的に周囲の状況を検知・把握する
ということで、ド派手にデビューしたゴルフ8や待望のアルテオンシューティングブレークだけでなく、地味なフェイスリフトかと思われた改良型パサートやティグアンなどについても中身は結構ド派手な進化を見せてくれることが期待できるので、実車に乗るのが楽しみです^^
余談:これからは「IQ.DRIVE」と総称するらしい
なお、2018年12月、フォルクスワーゲンは自動運転を含めた先進運転支援システム(ADAS)の技術全体を「IQ.DRIVE」というブランド名で推進すると発表しました。これは「ブランド名」とある通り特定の機能の名称ではなく、現在および将来的に実現されるレベル1~5の自動運転に関わるシステムの総称、とのことです。
これは機能そのものには関係ないとは思うんですよね。何でしょう、「ホンダセンシング」とか「トヨタセーフティセンス」みたいに「この冠が付いてれば最新の自動運転機能パッケージが入ってますよ〜って言えるようにしたいんですかね。確かに今までは「レーンキープアシスト」とか「オートクルーズコントロール」とかバラバラの機能名が並んでて分かりづらかったですからね。
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