【本記事の初稿は2017年2月ですが、三年半使った2020年7月に再度更新しました】
東京はいろいろな花の彩りが楽しめる季節になってきました。
それと時節を同じくして、筆者宅にも素晴らしい春の便りがやって参りましたよ・・・。
ドーーーン!!!
「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」
こちら、2月23日に発売されたパナソニックのLEICA銘、所謂パナライカの新しいマイクロフォーサーズ用大口径標準ズームです。
発売以来ずっと品薄が続いていて、こちらも注文から到着まで17日かかりました。筆者もそうですが、同じようなスペックのレンズをまさに待ち望んでいたマイクロフォーサーズユーザーはたくさんいたのでしょうね。
実際使ってみると期待通り、大口径なのに軽量コンパクトだわズームレンジ広いわちゃんとパナライカ画質してるわ寄れるわ・・・と言う感じで、筆者はこのパナライカ12-60mmをほぼ付けっ放しにしています。
さて、もう少し詳しく特徴をお伝えしていきましょう。
類似・ライバルレンズとの仕様比較
ではパナライカ12-60mm F2.8-4がどのような位置づけのレンズなのか、ライバルレンズとの仕様比較で見てみたいと思います。
LEICA DG VARIO-ELMARIT
12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S. |
M.ZUIKO DIGITAL ED
12-100mm F4.0 IS PRO |
M.ZUIKO DIGITAL ED
12-40mm F2.8 PRO |
LUMIX G VARIO
12-60mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. |
ズイコーデジタル ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD |
|
焦点距離 | 12-60mm | 12-100mm | 12-40mm | 12-60mm | 12-60mm |
開放F値 | 2.8-4 | 4 | 2.8 | 3.5-5.6 | 2.8-4 |
最大径×長さ | 68.4×86 mm | 77.5×116.5 mm | 69.9×84 mm | 66×71 mm | 79.5×98.5 mm |
重量 | 320g | 561g | 382g | 210g | 575g |
フィルター径 | 62mm | 72mm | 62mm | 58mm | 72mm |
レンズ構成 | 12群14枚 | 11群17枚 | 9群14枚 | 9群11枚 | 10群14枚 |
最大撮影倍率
※()内は35㎜換算 |
0.3倍
(0.6) |
0.3倍
(0.6) |
0.3倍
(0.6) |
0.27倍
(0.54) |
0.28倍
(0.56) |
最短撮影距離 | 0.2m | 0.15m | 0.2m | 0.2m | 0.25m |
実勢価格(2020/9現在) | 85,000円前後 | 150,000円前後 | 90,000円前後 | 40,000円前後 | 70,000円前後 |
標準ズームなのでどうしても比較対象が多くなってしまいました^^;
ついでなので同じ焦点距離と開放F値を持つ、マイクロフォーサーズ規格のズイコーデジタルED12-60mm F2.8-4にも登場してもらいました。
まず気づくのは軽量コンパクトさ。オリンパスの12-100mm F4PROより大幅に小さいのはもちろんのこと、フォーサーズのズイコーデジタル12-60mmよりもかなり小さく、焦点距離レンジの小さいオリンパス12-40mm F2.8PROとサイズはほぼ同等、重量はパナライカ12-60mm F2.8-4の方が軽量なほどです。
一方でレンズ構成はこの中で最も豪華な12群14枚。道理で手に持つとギュッと凝縮されている感覚があるわけです。
最大撮影倍率の0.3倍(35mm換算0.6倍)というハーフマクロ的性能はマイクロフォーサーズの標準ズームではお約束の特徴としてちゃんと実現しています。
最後に価格ですが、マイクロフォーサーズの高画質標準ズーム群の中では最も手軽な価格になっています。下回るのは廉価版のパナ12-60mm F3.5-5.6と、フォーサーズのズイコー12-60mmだけです。
ということで細かい画質はさておきスペックだけから総合すると、ライバルよりも軽量コンパクトなボディに贅沢なレンズ群を凝縮して高画質を実現、価格も求めやすい好(高)バランスレンズ、と言うことが出来そうです。
パナライカ12-60mmの主な特徴
ではそれらの特徴を踏まえつつ詳細に見ていきたいと思います。
広いズームレンジ
フルサイズ換算24-120mmになります。これはちょうどフォーサーズ用標準ズームの名玉「ZUIKO DIGITAL ED12-60mm F2.8-4.0 SWD」と同じズームレンジ。
広角側12mm始まりというのは最近の標準ズームとしては割と一般的ですが、14mm始まりと比べるとやはりこの2mmの差は意外と大きいことに気付きます。ここで手抜きをせず広角側12mmを採用してくれたのは非常に嬉しいです。
そして望遠側の60mmというのもまた非常に撮影の幅を広げてくれます。35mmフルサイズ換算120mmというのは中望遠の中でもかなり望遠寄り。本格的な望遠レンズには及びませんが、それでも結構圧縮効果を楽しませてくれます。
購入後3年半経ちますが、広角を活かした風景写真から圧縮効果を活かした表現まで非常に幅広い表現が可能なので、日常や旅行などで一本だけ持っていくなら今でも迷わずこのレンズを選びます。
F2.8始まりで星景撮影や室内撮影に重宝
このレンズはF2.8通しではありませんが、広角側だけでもF2.8というのは非常に便利です。
星景撮影では大体広角側なのでこれだけでこなせますし、狭い室内で子供などを撮る際にも広角寄りの使用頻度が高いのでこの明るさは助かります。
逆にF2.8通しにしてしまうと大型化・重量増になってしまうので、絶妙な選択をしてくれたなと思います。
大口径とは思えない小型軽量さ
F2.8始まりで望遠側でもF4.0という大口径なのにサイズ・重量的にはAPS-Cのキットズームを一回り大きくした程度の小型軽量さ(全長86mm、重量320g)であるため、常用付けっぱなしレンズとして使えます。冒頭から2枚めにパナソニックの便利ズーム14-140mm F3.5-5.6と並べた写真を掲載していますが、このコンパクトな便利レンズとほぼ変わらない大きさです。
また、これだけのズームレンジかつ大口径で、いつでも気軽に持ち出せると言うのは、フルサイズなどでは考えられない事で、マイクロフォーサーズならではの美点を最大限に活かした標準ズームの一つと言えます。
簡易マクロレンズとしても使える
寄れる!というか、超寄れます。最短撮影距離20cm、最大撮影倍率0.3倍(換算0.6倍!)ですから、簡易的なマクロとしても使えます。
時計やアクセサリーなどの物撮りはもちろん、花であれば「しべ」まで大写しに出来ますし、もちろんテーブルフォトなんかにも余裕で対応します。サイズ的に大きくないのでレストランなどでもそこまで威圧感はありません。
防塵防滴耐低温
どんな環境でも安心してある程度ラフに扱えるので、旅行先などで天候変化がある場合でも使いやすいですね。これを付けていれば「天気が悪くてシャッターチャンスを逃した」なんてことはありません。
LEICA画質
パナソニック製とは言え、ライカ銘に恥じない画質を提供してくれます。
同じパナライカで「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 ASPH. | 25mm」を使っていますが、これらは共通して非常に線の細い繊細な描写と柔らかく美しいボケを見せてくれます。下で本レンズでの作例をご紹介していますのでご覧ください。
また、パナライカ25mm F1.4のレビューと作例は下記をご覧ください。
このように、このズームレンジとF値(F2.8通しではなく2.8-4.0)、サイズのバランスは、望む人にとっては絶妙です。
所有欲を満たしてくれる外観と質感
大きさ的には右においてあるパナソニックの便利ズーム14-140mmとほぼ変わりません。
一方質感は(写真では伝わりづらいですが)プラスチック鏡筒の14−140mmと比べ、パナライカ12-60mmは金属鏡筒なので非常に高級感があります。持った感じも非常に重厚です。
サイズが小さいため、中身がぎっしり詰まった塊感があります。「パナライカ」という通称は時に揶揄を込めて使われることもありますが、ライカ銘に恥じない高級感を醸し出してくれていると思います。
外観:OM-D E-M1 Mark II+パナライカ 12-60mm
こちらはパナライカ 12-60mm F2.8-4.0をE-M1 Mark IIに付けた姿です。
非常にスッキリしています。実物は写真より金属らしい高級感があります。
付属のフードを付けた状態。。脱着ボタン付でカチッと遊び無くハマります。
向かって右側側面(構えたときに左手側)にAF/MF切り替えスイッチとPower O.I.SのON/OFF切り替えスイッチが付いてます。
オリンパス12-100mm F4 PROではなくパナライカ 12-60mmを選んだ理由
さて、昨年秋にパナソニックがこのスペックのレンズを開発しているという情報が出て、その後オリンパスから12−100mm F4 PROが発売され、悩まれたマイクロフォーサーズユーザーも多かったのではと思いますが、筆者はこちらを選びました。その理由の一例として筆者の考えをご紹介します。
これは本当に人それぞれの好みや事情によるので、どちらが優れているとかいう話ではありません。こういう考え方もある、というお話です。
- ある程度付けっぱなしにしてカバンに放り込めるものを望んでいたため、この小型軽量が必要だった。
→この場合、オリ12-100mmF4の全長116.5mm、重量561gというのはやや大振りになるのです。逆にそうでない方には100mmのアドバンテージは大きいと思います。
- 星撮りや室内の子供撮りもするので、ワイド端だけでもF2.8が欲しかった。
→星撮りや室内でレンズ交換するならオリ12−100mmF4でも良いのですが、ここはパナライカ12-60mmF2.8-4の汎用性を選びました。逆に子供が大きくなったら室内でのシャッタースピードはそこまで求めないし、レンズ交換の余裕もできたりして、この辺は変わるかも。
- むしろ小型軽量のためにはワイド端だけF2.8あればよく、F2.8通しにしようとして大型化してないところが素敵(これはオリ12-100mmとの比較ではないですが)。
- オリのテレ端100mm(換算200mm)は魅力的でしたが、ここは小型化とのトレードオフで妥協できる部分でした。というのと、望遠に関しては同じパナライカ銘の50-200mm F2.8-4があるので密かにそちらを狙っていたりします・・・
以上、繰り返しになりますが、考え方や求めるものに寄って全然変わるので、どちらかが絶対的に良い選択という事ではないと思いますが、これから検討される方の考え方の参考になればと思います(^^)
作例
作例というのもおこがましいですが、週末にユニクロにおつかいに行くついでに近所の緑道で試し撮りする機会があったので何枚かご紹介します。といっても全部絞り開放で、テレ端とワイド端しか使ってないので、詳しいレンズレビュー的なものは全く期待しないで下さい^^; 冒頭のユキヤナギも含め、全てボディはOM-D E-M1 Mark II、撮って出しJPEGです。
まとめ
ライバルとの仕様比較のおさらいにもなりますが、まとめるとこんな感じでしょうか。
パナライカ12-60mm F2.8-4はライカ認定の繊細な画質と広いズーム域mハーフマクロ性能を軽量コンパクトにまとめた非常にバランスの良いレンズ
フルサイズ換算24-120mmの非常に便利な焦点距離をカバーした上でF2.8始まり。
それに気軽に持ち運べるサイズと重量を兼ね備え、しかもちょっとしたマクロ並みに寄れる!
という事で、筆者のE-M1 Mark IIの付けっぱなしメインレンズの座は揺るぎない状況です。
旅行やスナップにもちょっとしたマクロにも非常に使いやすいので、他のレンズの出番があまり無くなってしまうというのが問題と言えば問題ですね(笑)
コメント
ウ~ン、ナイスチョイス !
これを選ばれたのはさすがですねえ。
実は私もとても気になっていたレンズです。
ライカブランドの標準系ズームというと思い出すのが「Leica X Vario」です。
レンズ交換はできませんがこのカメラのズームレンズはピーター・カルベ氏自ら太鼓判の優れものでした。
ズーム比が異なるとは言え、この12-60にもかなりのクォリティーを期待していいだろうと思っていました。
パナの販売力でライカの良いズームレンズを価格を抑えて市場に出してくれるのは本当に嬉しいことです。
お写真拝見して思いましたがこれは紛れもなくライカの遺伝子を受け継いだレンズだと思いました。
色味、ボケ味、ピント面・・・どれもいい味出てます。
今後の作品、目が離せなくなりますね。
naoggioさん、こんばんは。
なるほど、そう言えばm4/3マウントのライカ銘では
初の標準ズームレンズになるわけですね。
となると、気合い充分で出して来たと期待したいところですね!
正直私はライカレンズ歴も無ければ見る目もないので
ライカらしい描写なのかは自信が無いですが、
そう言っていただけるといい買い物をしたんだなと思えます(^^)
少なくとも、ライカらしいかはともかく、描写は気に入ってます。
おはようございます。
ようやくやってきましたね^^
そっか~ このレンズだったのですね。
大口径F2.8なのにこの重さ! 軽くていいですねぇ。
しかも防塵防滴耐低温 いいなぁ。
見た目も金属感がありかっこいいです。
撮影のライフスタイルに合わせてのチョイス
細かなとこまで考えて選ばれてますね^^
写りも立体感 背後のボケ味 いいなぁと思います。
フードが脱着ボタンってのもいいですね。
これからの撮影 また楽しくなりますね^^
はぴさん、こんばんは。
そうそう、これだったんですよ〜(^^)
サイズもスペックも機能も、全部入りみたいなレンズですよね。
しかも写りの良さは血統書付きですから(素人目には分かりませんが)(笑)
高い買い物なので、いろいろ考えちゃいますね〜
で、試し撮りに行ってみて、
こういうレンズが欲しかったんだー!っていう感じだったので
良かったと思います。
長く使いたいと思います(^^)
なんだかすごいレンズをご入手されたのですね!!
良いレンズとの出逢いは、その後の日々を何倍もの喜びで満たしてくれることでしょう!!
黄色いお花はオキザリスですね。
周りをミツバチがブンブン飛び交います(o^-^o)
ユキヤナギは蕾がピンクのものとか
花もピンクがかったものとか、あるみたい(^^♪
P☆
Sippo☆さん、おはようございます。
そうなんです!
お気に入りのレンズを見つけてしまいました。
撮影が楽しみになります(^^)
オキザリスって言うんですね!
ありがとうございます。
これでまた1つ花の名前を覚えました♪
ユキヤナギも、いろいろあるんですね〜
パナライカに逝かれましたか(笑)
なかなかいい写りですねぇ〜
私も欲しいかもです !
FTでは、ライカの発色が好きで、
一時期、全部手に入れました。
50-200ですか ?
FTのED50-200と同じスペックですね !
欲しいかもです(笑)
フォトンさん、おはようございます。
自身初のパナライカに逝きました。
フォトンさん、全部揃えられたとか、すごい!
でも、わかる気がします。
いい雰囲気出しますよね〜
ED50-200は名玉と言われてましたよね。
あちらはテレ端のF値が3.5なので
パナライカの方がややコンパクトかもしれないですが、
個人的にはその方が嬉しいです。
フォトンさんの購入報告も楽しみにしてます(笑)
むむぅぅぅぅ、これを見ると欲しくなる!! 以上!
と、終わりにしたいところですが、やっぱり終われません(笑)
とても良さげな雰囲気ですね。
自分のFT 12-60が、結局一番使われているレンズなので、
これをパナライカに置き換えたら絶対的なメインは確定なんですけど、先月、ZONDA、今月は息子の自転車とやってたら、、、カードの支払いが怖いことになり過ぎです(^^ゞ
でも、絶対欲しいですよ。うん、写りも良さげみたいですしね。
のぶっちさん、こんばんは。
もう、買わない手はないでしょう!
FT12-60使いののぶっちさんが同じ画角でパナライカに・・・
FT12-60も評判が高いのでどちらが良いとは言えないですが、
のぶっちさんの撮り比べを見てみたいです(笑)
うちもMark II買った翌月はカード残高がいっぱいになって
初めてのことだったのでびっくりしました(笑)
今は品薄で値段も安いのはすぐ売れちゃうので、
品数が落ち着いたらぜひぜひ〜♪
[…] 付けっぱなしレンズの真打ち登場 LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60MM / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.試写 […]
[…] 付けっぱなしレンズの真打ち登場 LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60MM / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.試写 […]