前愛車プジョー308SWの時はそれはもう盛大なブレーキダストとの戦いでした。
そんな訳でホイールの汚れ落としが大変で、いろいろ試した結果中々優秀なホイール洗浄ブラシに辿り着いた訳なのですが、今年4月に我が家にやってきたパサオ君ことパサートオールトラックは何と意外にもほとんどブレーキダストが出ないのです。筆者の脳内イメージではフランス車もドイツ車もひっくるめてブレーキダストでホイールを真っ黒にする事が欧州車の勲章だと思っていたのに・・・
ということで、せっかくなのでツートンカラーになったプジョーのホイールをピカピカにしてくれる洗浄ブラシと、いつの間にかブレーキダストが出なくなっていたVW車、そして今後について少し語ってみたいと思います。
プジョー308SWのブレーキダストとブレーキパッド事情
さて、現愛車のパサオ君に対して前愛車のプジョー308SWの事をがっつりダメ出ししている様に読めますが、それは本記事がブレーキ回りに関する内容であるためです。下記プジョー308SWのレビュー記事でも述べている通り、全体として非常に素晴らしい車だったのですが、数少ない不満点がブレーキダストとカックンブレーキだったのです。
そんな前提で柔らかい目でお読み下さいm(_ _)m
お別れの日にT7型プジョー308SWをオーナーズレビュー的に振り返るの巻
タイヤ交換の時に黒ホイールかと思った
こちら、308SWのスタッドレスタイヤを初めてDIYで交換した時に撮ったものです。
OLYMPUS E-P3, (14mm, f/4, 1/100 sec, ISO200)見た瞬間に
「あれ、ホイールの裏側ってこんなグレーっぽい色なんだ」(表は普通のシルバー)
と思ったんですが・・・ちょっと擦ってみた直後に魔法が解けました。
OLYMPUS E-P3, (32mm, f/5, 1/60 sec, ISO250)うひょーー!!
全部、ブレーキダストでした(笑)
OLYMPUS E-P3, (14mm, f/5, 1/125 sec, ISO200)頑張って綺麗にしました!
この時の表側の写真を撮っていないのが惜しいのですが、表側もものすごい事になってました。そのまま走ってて人に見られたら、
「あいつ洗車サボってんな。そういうやつはきっと全てにおいてだらし無いんだぜ」
なんて思われそうなくらいです(笑)
月あたりの走行距離はせいぜい500〜1,000km行かないくらいだったのですが、それでも一ヶ月くらいの間ホイール洗浄せずに放っておくとそんな感じになってました。
一方その前のマツダRX-8の場合、洗車は月1くらいでしてましたがホイールなんて軽く洗うくらいで特に意識しなかったような気がします。
ブレーキダストよりも気になったのがカックンブレーキ
ブレーキダストはホイールを洗えばいいだけの話です。それよりも解決が難しかったのが、所謂「カックンブレーキ」。
結局上記のブレーキダストの原因でもあるのですが、プジョーを始めとする欧州車はその設計思想上、ハイスピード走行を前提としたブレーキの効きを最重視しています。それ故、ブレーキパッドも金属素材で作られていて、それをガッツリ削りながら制動力を引き出す訳です。
それはブレーキフィールやコントロール特性にもそのまま現れていて、初期制動からしっかり効く味付けになっており、普通に(日本車の感覚で)踏むと「ガクン」というブレーキングになります。
そこで踏み初めをなるべくソフトに踏むように心がけるわけですが、機械ではないのでどうしてもたまに「カクン」となってしまう。
その時のフィーリングが特に長男は気になるらしく、長距離かつストップ&ゴーの多いドライブではたまに車酔いをしていました。
なぜブレーキパッドを換えなかったのか
ブレーキパッドを換える事も考えました。やはり需要はあるらしく、ダストが少なく制動フィールも穏やかな特性になるパッドがサードパーティから販売されていました。
しかし、ブレーキパッドを純正以外に換えてしまうとディーラー点検の対象外となってしまうとの事だったので、面倒なので交換には至りませんでした。
冒頭でも申し上げた通り、本当にいい車だったのですがブレーキ周りだけは最後まで気になりましたね。
VWパサートオールトラックのブレーキダストとブレーキパッド事情
さて、上で書いたようなブレーキのダストやフィーリングは、フランス車だけでなくドイツ車も含めた欧州車共通の特徴かと思っていました(むしろアウトバーンチューニングのドイツの方が激しそうだなと)。
ところがそれは半分当たっていますが半分違っていたのです。
あれ?この車ブレーキダスト出ないの?と思ったほど
4月5日にパサオ君が我が家にやってきて、そのちょうど2週間後の洗車でこんなツイートをしています。
初洗車✨撥水の様子を見てニヤニヤするためだけの動画😆
地味に感動したのがブレーキダストの少なさ。730km走ってフロントホイールが殆ど黒くなってない!
308SWで泣き所だったカックンブレーキも無くなり家族も喜んでるし、このブレーキ(•∀•)イイ!!🤩
パサオすごいな!#パサートオールトラック pic.twitter.com/5UrDOqYW6u— 10max | 旅と写真と車とキャンプ (@10max) April 19, 2020
この頃は、とにかくパサオの運転が楽しかったのと、1,000kmの慣らし運転から早く開放されるために毎日のように首都高を走っていたので、たった2週間で730kmも走っていました。
少し緩いペースの時なら1ヶ月半くらいに相当する距離です。308SWで1ヶ月半も放置していたらもう「ブラックエディションか!?」って言うくらいダストに覆われていたはずなので、こんなに驚いたわけです。
下は先日の群馬県川場村・谷川岳一泊旅行で往復400km弱走ってきた直後(しかもその前は2週間ほど洗車してない)の前輪のホイールですが、こちらもやはり殆どブレーキダストが目に付きません。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO25)カックンブレーキの悩みから解放
また、こちらも上のツイートで書いていますが、パサオはカックンブレーキではありません。
感覚としてはマツダなどの日本車に近く、踏み始めはシュッと言う感じで制動力が効き始め、もう少し踏み込むとグーッとしっかり止まってくるという感じで、プジョーのそれに比べるともっと奥の方でコントロールする感覚です。
こちら、上のツイートに頂いた幾つかのリプライによると、VW車も以前はカックンブレーキだったものがある時から改善されたようなのです。
実際、308SWで特に気にしていた長男を始め家族からは非常に好評です。乗り換えて最も嬉しかったことの一つかも知れません。
もちろん前の308SWよりパサートオールトラックの方がハイパワー、ハイトルクで車重もやや上回りますが、効きが弱くて不安だと感じたことはありません(以前代車か何かで日本車を運転した時は慣れるまで如実に不安でした)。
VWはブレーキダストを課題として改善し続けているらしい
まず一般的には、ドイツ車についてもブレーキダストが酷いというのはやはり事実のようです。BMWやメルセデスについてはブレーキダスト問題に関するつい最近の記事が大量に出てきます。ところが少なくともフォルクスワーゲンについては以前はそうだったものの現在では必ずしも当てはまらないようだ、と言うことが分かってきました。
最初のツイートに頂いたリプライにある「最近のVW系は昔に比べてカックンしにくく」なったという話や、「僕は扱い易くなった後しか知らなかったです。以前はフォルクスワーゲンもだったんですね!」という情報を拝見するに、やはりかつては大量ダスト&カックンだったものがどこかのタイミングで改善されたと考えるのが正しそうです。
そこで先日用事があってディーラーを訪れた際にこの件を訊いてみたところ、営業さんが確認してくれました。
- 確かに以前はフォルクスワーゲン車はメルセデスやBMWと同様ブレーキダストは酷かった
- しかしフォルクスワーゲンではそれを問題視し、パッドの改善を進めてきた
- パッドは日本市場だけに特別なパッドを装着している訳でなく、パッドは世界共通
- ただしRについては制動力優先でダストの多いパッドが使われている
なんと、欧州車にとって真っ黒に汚れたホイールは勲章のようなもの、と半ば諦めのように受け入れていましたが、地道に改善を続けていたとは、さすがフォルクスワーゲン、真面目なメーカーです。
なお、下で触れますが、ブレーキパッドを環境問題と位置づけ、パッド以外にもダスト軽減の取り組みを行っているようなので後ほどご紹介します。
ホイール洗浄とブレーキダスト発生・固着防止について
さて、VW車ではRの様なハイパフォーマンスモデル以外ではさほどブレーキダストについて神経質になる必要は無さそうだという事は確認できました。とは言いつつ、せっかく308SWで欧州式ホイール汚れに揉まれてきたのですから、筆者なりのブレーキダスト対策やホイール洗浄のお供をご紹介したいと思います。
①3速くらいまで「緩やかに」エンジンブレーキを使う
これはそもそもブレーキダストが発生する量を減らそうというものです。
特にブレーキダストに悩むような欧州車の場合、オートマでもマニュアルモードが使える場合が多いと思います。その場合は、減速時にシフトダウンしてエンジンブレーキを使うように心がけることでブレーキパッドの摩耗を抑制する事が出来ます。
実際に筆者の場合、丸8年間、7万キロ超の走行距離で、ブレーキパッドは何とか交換せずに終えることが出来ました(正規ディーラー基準で)。
ただし、過剰なエンジンブレーキの使用は却ってATに負担が掛かるので注意しましょう。例えば2速や1速まで下げて盛大なエンジン音が響くようなレベルで常用してしまうと、トルコンATであればATFが加熱したりDSGであればクラッチに負担が掛かり、最悪の場合トランスミッションの故障に繋がってしまうかも知れません。また、あまりに激しいシフトダウンによるエンブレは同乗者にも心地よいものでは無いでしょう。
せいぜい3速まで落とすくらいが適当かと思います。
※なお、最近のAT車はエンジンに負担が掛かる様な回転数には上がらないように制御されているので、エンジンブレーキの多用によりエンジンそのものが故障するという心配はあまりしなくても良さそうです。
②ホイール洗浄の救世主、TARO WORKSのブラシ
それでもブレーキダストは出ます。走行距離にも依りますが、筆者のような週末オンリードライバーでも、最低でも月に一度、できれば二週間に一度くらいはホイールのブレーキダストを除去したいと感じる状況でした。
しかし、ホイールの汚れ落としってめちゃくちゃ面倒なんですよね・・・特に最近のホイールって形状が凝ってて細かい隙間が多く、普通のブラシでは中々取れません。
そこで色々試行錯誤して辿り着いたのがこのブラシでした。
プラスチックの棒にマイクロファイバー製のファーが付いていて、先端ほど細い形状になっているので凝った形状のホイールの隙間でも簡単に洗うことが出来ます。
また、マイクロファイバーのフサフサ部分は太いですが中心のプラスチック棒の部分は細いので、こうしてホイールの裏側へも簡単に潜り込ませて洗うことが出来ます。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO640)このマイクロファイバーは特に「ムートンファイバー」と呼ばれる柔らかい素材ですが、意外に汚れを落とす力は強く、水を掛けながら軽く拭くだけで汚れは十分落とせます。
また洗浄後ですが、非常に水はけのよい素材なのでブンブン振ってあげれば大方の水気は落とすことが出来るのも美点です。
千円足らずのブラシですが、これだけでホイールの洗浄やブレーキダストの汚れ落としが格段に楽になりました。
③ホイール洗浄をサボらない
汚れが付いた初期段階なら上のように水洗いだけでブレーキダストは落とせますが、洗浄をサボっていると、いつの間にやら固着してしまいます。特に欧州車の場合パッドの素材が金属メインなので、水洗いでは到底歯が立たなくなってしまうので、こんな除去剤に登場してもらう必要が出てきます。
こちらは、金属粉である欧州製ブレーキパッドのダストを溶解して除去する製品になります。通常のアルミや鉄製ホイールであればホイールに悪影響を及ぼすことは無いそうですが、なるべくならそこまで固着してしまう前にこまめにホイールを洗浄しましょう^^;
それから事前予防の策として、ブレーキダストの付着を防ぐための下の様なコーティング剤もありますが、筆者は使ったことがありません。
口コミを読む限りでは効果があったという情報もあるようなので、検討するのも良いかも知れませんが、基本は月に1〜2度程度洗車をする、というのが確実かと思います。
ブレーキダストの未来
さて、多くの欧州車オーナーを悩ませるブレーキダスト問題ですが、実は欧州では環境問題としても扱われています。一説には、ドイツでは年間1万トンものブレーキダスト粒子が発生していると言われています。
まあ、ホイールだけ見てもこれだけ短期間に真っ黒になっているのだから、それがアウトバーンのような高速道路で大量に大気中に放出されていると思えば、納得せざるを得ないと共に空恐ろしいものがあります。
しかし、そのような困り物のブレーキダストも、今後技術の進展により減っていく事が予想されます。
①メーカー各社によるブレーキダスト対策
まずはVWの取り組みに関するこんな記事があります。
以外なスクープ!? VWがブレーキダストの粒子フィルターをテスト中
VWでは、早速最新システムの導入を目指して「ゴルフ」でのテストを開始しました。ブレーキキャリパーの下に配置された粒子フィルターにより、ブレーキダストが周囲に漏れるのを最大80%防ぐといいます。このフィルターは、電気自動車を始め、ハイブリッド車、ガソリン車、ディーゼル車などあらゆる種類のパワートレインに採用が可能とあり、将来の自動車業界において、大きな意味をなしているようです。
実験が順調に進めば、2021年以降発売されるモデルにも採用が予定されていると伝えられます。
もしこのような事が可能なのであれば、VW以外の車にも採用されてほしいものです。
お次はBOSCHです。
ブレーキが「2.0」に進化するらしい ブレーキが大気汚染の要因って本当!?
ボッシュが開発したのが「iDisc」というブレーキディスク。(中略)このブレーキディスクがなかなか凄い。前述した大気汚染の要因になっているブレーキ粉じんの発生が、従来品に比べてなんと90%も削減できるという。(中略)
その秘密は「タングステン カーバイド コーティング」と呼ばれるもの。日本語でいえば「炭化タングステン被膜」なのだが、この被膜を一般的な鉄のブレーキディスクにコーティングする。
こちらはブレーキディスクに適用するコーティングなので、上のVWの対策よりも早期に出来そうな気もしますが、現状普及にはコストがボトルネックの様です。
②回生ブレーキによるブレーキパッド摩耗低減
ハイブリッド車やPHEV、EVで採用されている「ブレーキエネルギー回生システム」略して回生ブレーキによるストッピングパワーを活かせばブレーキダストは減っていくのでは、という話です。
一番わかり易いのは、ノートe-Powerなどで採用されているワンペダルドライブですね。ブレーキペダルを踏まずに停止まで出来るというあれです。ワンペダルとまで行かなくても、ブレーキパッドへの負荷は相当軽減されることが想像できますね。
ちなみにパサートオールトラックを含むVW車に搭載される「ブルーモーションテクノロジー」と称する一連の環境技術の中にもこのブレーキエネルギー回生システムが含まれていますが、減速時のフィーリングが一般的なエンジンブレーキより強いのかどうかはよく分かっていません。引き続き確認してみたいと思います。
まとめ
ということで、パサオに乗り換えてから気になっていた「欧州車=ブレーキダストじゃなかったの?何があったの?!」という驚きと疑問はある程度解消されました。Twitterで親切に教えて下さる皆さんに感謝です。
それにしても、粉塵問題という形で環境汚染に繋がっていると言うのは意外な観点でした。「欧州車の勲章」などと言っている場合では有りませんでした^^;
今後電動化や様々な技術の進展により解消されていく様子に注目したいと思います。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (38mm, f/3.9, 1/2500 sec, ISO200)
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