空と緑のロングツーリング | パサートオールトラックと行く初夏の川場村・谷川岳温泉旅

キャシャドゥルン・・・

 

心地よい振動と共に2リットルTDIエンジンが目を覚ます。

シリンダー内で目一杯圧縮された空気が燃料と混合し、まさに「爆発」する。

ガソリンエンジンの様にスパークプラグで火花を添えてやる必要はない。

ディーゼルエンジンの力強さの証。

以前は中々好きになれなかったディーゼルエンジンだが、今ではこの頼り甲斐の証明の様な鼓動が、これから向かう旅先への期待と共に感情を穏やかに盛り上げる。

VW フォルクスワーゲン パサートオールトラック PassatAlltrack 内装 インテリアOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (38mm, f/3.9, 1/320 sec, ISO200)

練馬インターから関越へ

出発時にはご機嫌斜めだった空も、新座料金所を過ぎ埼玉県へ入る頃には雲間に笑顔を覗かせ始めた。

県間の移動規制が解除され、こうしてコンクリートジャングルから広い青空を求めに逃避行する事が許される様になった有り難みを噛み締め、僕たちは引き続き配慮ある新しい生活様式を心がけなければならない。

そう、今日はこの白いステーションワゴンが我が家にやって来て3ヶ月、ようやく実現した一泊のロングリーリングだ。

 

一方、新しい生活様式などにお構いなく、パサオことパサートオールトラックは納車後初めてのロングハイウェイドライブに嬉々としているようだ。

これも初めての、高速道路での家族4人フル乗車により本来の荷重を得たMQBシャシーは、さらにロングホイールベースを味方に付けて魔法の絨毯の如くフラットにアスファルトの上を滑っていく。

鶴ヶ島ジャンクションを過ぎた辺りでアダプティブシャシーコントロール「DCC」をノーマルからコンフォートに切り替える。

一部のレビューで「GTIの冠を付けたくなる」と評される程の強靭な足回りは、DCCの制御によりわずかに頬を緩め、段差を「スタッ、スタッ」とより柔らかくいなしていく。

この方が元プジョー乗りには懐かしい味付けだ。

しかしそれでもボディが必要以上に揺れる事を決して許さない。

加減速や車体の傾き、ステアリング開度などをセンサーで常時監視しつつ、電磁アクチュエーターにより最適なダンパー減衰力を瞬時に生み出す。DCCとはそんなスーパークールな黒子なのだ。

(それにしてもトーションビームでそれに近い味を出してのける隣国の猫足も驚くべき代物だ。)

 

力強く頼り甲斐のあるTDIエンジンも、一度巡航速度に乗ってしまえばハイウェイ上ではやはり黒子だ。

陰でそっと舞台を支えるように、家族の会話を妨げぬよう澄まし顔で1.6トンのボディと乗員とラゲッジを運び続ける。

追い越し車線で法定速度を多少超えた速度域に入ったところで涼しい顔だ。

フォロロロロ・・・と乾いたサウンドを遠くの方で響かせながら「はいよ、これでいいかい」と軽く答えてくれる。

もっとも僕が家族に向かって

「どう?パサオ、静かだろう?」

と言ってみたところで彼らにはさして関心事では無い様で、これから行く宿の食事がバイキングだったか否かについて論じている。

それでいい。

僕は一人で静かなクルージングに悦に入る。

 

悦に入りながら、そう言えば今履いているコンチスポーツコンタクトのモビリティ(ランフラット)タイヤ、少しロードノイズが目立つかな?なんて思う。

それがタイヤのせいなのか、エンジンが静かなためなのかはよく分からない。

何年かしたらまた、308SWにも履かせて気に入ったトーヨーのプロクセス辺りに変えて違いを楽しんでみよう。

時速300kmのクルージングをもこなすタイヤにロマンは感じるが、もう少しコンフォートなタイヤもスマートな選択だ。

そう言えば308SWもコンチスポーツコンタクトを履いて我が家にやって来たんだったっけな。

パサートオールトラック ロングツーリング 高速道路
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/2309 sec, ISO25)
助手席の妻撮影

気づけば空はすっかり満面の笑みを取り戻していた。

真っ青な青空に、赤城山や妙義山の初夏の緑が映える。

沼田I.C.で降りて川場方面に向かう。

途中、さくらんぼ狩りの看板を何度か見つけ、さくらんぼの好きな次男が興味を示す。

「女子は狩り物が好きなんだよ」

と主張する妻が乗っかってくる。

一方僕に似て種を出したりするのが嫌いで横着な長男は狩り物にあまり関心を示さない。

決まった。明日は妻と次男がさくらんぼ狩り、僕と長男はその間田舎道をドライブだ。

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, (50mm, f/3.9, 1/200 sec, ISO200)

そんな話をしているうちに宿に到着する。

源泉かけ流し温泉もある定宿だ。

部屋へ荷物を運び込み、子供たちと卓球を楽しんだ後、僕は妻との晩酌用の酒やつまみを買い出しに道の駅・川場田園プラザにパサオと共にひとっ走り。

 

ひとっ走りついでに、川場村の風景と共にパサオを撮影する。待ちに待った時間だ。

実は、パサートオールトラックのカラーにホワイトを選んだのには理由があった。

それは、アウトドアの緑や青に最も映える色なんじゃないかと思ったからだ。

新型コロナウイルスの影響で遠出が出来なかったパサオをついに溢れんばかりの緑の元に連れてくることが出来た。

しかも梅雨だなんて信じられないほどの青空というオマケ付きだ。

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, (60mm, f/5.6, 1/2000 sec, ISO200)

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (28mm, f/5.6, 1/1600 sec, ISO200)

僕の考えは間違っていなかった。やっぱりホワイトのパサオには自然がよく似合う。

もっとも、何色にしたって僕は同じことを言っていたに違いない。

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/5, 1/1000 sec, ISO200)

宿に帰ったら早速温泉だ。

源泉かけ流しの温泉は内湯と露天があるが、露天に直行する。

眩しいほどの緑を浴びにここへ来たのだから、迷うことはない。

もっとも、温泉業界のお約束で内湯はぬるめで露天は熱めなので子供たちはすぐに内湯に行ってしまう。

子供たちの声が遠ざかり、聞こえるのは森の葉擦れとせせらぎの音。

贅沢な時間。

 

地元の食材をふんだんに使った夕食の後は、部屋でバラエティ番組を見ながらまったりと過ごす。

普段あまり子供たちとテレビを見ないので、彼らは宿泊旅行のテレビの時間を心待ちにしているのだ。

そんなチビたちを横目に僕は妻と晩酌。

地酒と地ビール、それから群馬名産のこんにゃくのおつまみに舌鼓を打つ。

川場村 地ビールOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (32mm, f/3.8, 1/60 sec, ISO1600)

目覚めると部屋には僕と子供たちだけだった。

妻は朝風呂に出かけたようだ。

昨夜、僕も行けたら朝風呂行こう、なんて話をしていたのだが、これは間違いなく地酒妖怪の仕業に違いない。

これもいつものお約束だ。

そもそも本気で朝風呂に行こうと思った事なんて無いんでしょ、と妻に言われる。

いやいや、いつも夜の時点では本気なんだよ。

 

いつもはビュッフェ形式の朝食は、今回はソーシャルディスタンスということで固定メニューだった。

往路で妻と子供たちが議論していた件は正解者無しに終わったわけだ。

OLYMPUS E-M1MarkII, (12mm, f/8, 1/250 sec, ISO200)

宿を後にする。

昨日に続き今日も快晴だ。

そんなに普段の心がけを良くしていたつもりもないのだが、せっかくなので満喫させて頂こう。

昨日往路で話していた通り、妻と次男をさくらんぼ狩りの農園に下ろし、僕と長男はドライブを楽しむことにした。

川場村の道の駅が「田園プラザ」と言うだけあって、この辺りでは長閑で開放的な田園風景とその向こうの赤城や武尊の山並みを一度に楽しむことが出来る。

素晴らしい風景を見つける度に、長男は車内からその風景を、僕は車から降りて愛車と共にその風景を収める。

パサートオールトラックのクリーンなエクステリアはどんな風景をも邪魔しない。

都会の風景においてならもう少し押し出しが強くても良いかも知れないが、自然の風景となら水を得た魚のように一体化する。

シャッターを切る回数がどんどん増えていく。

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, (12mm, f/8, 1/1000 sec, ISO200)

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (17mm, f/3.1, 1/3200 sec, ISO200)

東京生まれ東京育ちの長男は田舎の風景が好きだ。

何故か分からないが、好きなのだという。

でもこの目映いばかりの緑と青を見ていたら、理由なんて要らないことに気付く。

僕たちの生まれた世界は、本来こういう色をしているんだ。

この色を僕たちは忘れてはならない。

これは、僕たちが帰るべき場所なんだ。

パサートオールトラックと共に、もっと沢山の青と緑を子供たちに見せに行こう、と思う。

 

さあ、妻と次男を迎えに行こう。

今頃さくらんぼをたらふく食べてお土産でも選んでいる頃だろう。

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリング 川場村OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/2.8, 1/6400 sec, ISO200)

パサートオールトラック 温泉旅行 ロングツーリングOLYMPUS E-M1MarkII, (60mm, f/4, 1/3200 sec, ISO200)

道の駅・田園プラザで昼食を摂り、沼田I.C.から関越道に乗り、水上I.C.へ向かう。

最後の目的地は谷川岳ロープウェイだ。

天神平からの絶景を頂戴して帰る目論見だが、少しだけ空模様が怪しくなってきた。

水上I.C.を降りてちょっとした峠道を心持ちペースを上げて登っていく。

 

2リットルTDIエンジンはようやく本領発揮とばかりに回すほど軽やかに歌い上げる。

シャシーと足回りはまるで姿勢を低くした野生動物のように路面に張り付いてコーナーを駆け抜けて行く。

ただしピークトルクを発生し始める1900rpmを下回ると少しだけもたつきを見せる。

DSGのシフトレバーをコクっと倒してスポーツモードに入れてやると、気持ちのいい回転数をキープするようになる。

ドライバーと車とがシンクロする。

シフトノブ, パサートオールトラック, DSGOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (17mm, f/3.1, 1/60 sec, ISO320)

「午前中は天気が悪くて向こうの山も霞んでたんですよ。天気良くなって良かったですよ〜。」

ロープウェイ乗り場のお姉さんが教えてくれた。

やはり山の天気は読みづらい。

迷ったら行ってみるのが吉であるようだ。

 

天神平は冬季はスキー場になるのだが、夏季も登山客や観光客に開放される。

ロープウェーとリフトを乗り継いで登ってこられるのは標高1,500mまでだが、雄大な絶景と山岳植物を楽しむことが出来る。

6月終わりのこの時期は鮮やかな黄色のニッコウキスゲが見頃を迎えていた。

雪の谷川岳を見たのはもう10年以上前のことだろうか。

夏もいいが、雪化粧をまとった谷川岳はそれ以上に幻想的だ。

パサオとともに再び冬の谷川岳を訪れたいと思った。

谷川岳 天神平 ロープウェーOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/8, 1/250 sec, ISO200)

谷川岳 天神平 ロープウェーOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/8, 1/800 sec, ISO200)

谷川岳 天神平 ロープウェーOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (40mm, f/3.9, 1/1000 sec, ISO200)

谷川岳 天神平 ニッコウキスゲOLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (60mm, f/4, 1/1250 sec, ISO200)

水上温泉で疲れを癒やし、関越で東京を目指す。

距離にして約180km、時間にして2時間半、ハイウェイに乗ったTDIエンジンは再び黒子に徹する。

主役になるのはむしろ先進運転支援システムだ。

アダプティブクルーズコントロールの上限速度を設定すれば、後はレーンキープアシストが正確に車線をトレースしてくれる。

ステアリングホイールに軽く手を添えているだけで、僕たち家族を目的地まで連れて行ってくれる。

加減速のマナーもステアリングの介入も非常にスムーズなので、まさか僕が殆ど何もしていないなんて家族は思いも寄らないだろう。

 

ただし一つだけ問題がある。

もしもそんな安楽な運転をしている事実を家族に知られてしまったなら、これまでの様に帰宅後に

「あ〜、お父さん運転疲れたからちょっと休むわ」

なんて言い訳をしながら横になるなんてことが出来なくなってしまうので要注意だ。

 

最後に燃費の話をしておこう。

往路の平均燃費は16.5km/L。

復路の平均燃費は17.8km/L。

JC08モードでのカタログ燃費は17.3km/Lなのでスペック上の燃費はきちんと叩き出している。

もっとも、今回は関越で一度も渋滞が無かったので、ピークシーズンでどうなるかはまた試してみたい。

 

ようやく実現することが出来たパサオとのロングツーリング。

4月にパサオを家族に迎えてから、ずっとモヤモヤしていたというのが正直なところだ。

新型コロナウイルスの影響で近所と首都高くらいしか連れ出せず、車庫に収まるツーリングワゴン。

荷室には殆ど空気以外のものを載せてやることが出来なかった。

この車を迎える必要があったのだろうか?

 

しかし今回のロングツーリングで一気に霧が晴れた。

青空と緑の風景と一体化したパサオの姿と、家族の笑顔を見て、確信することが出来た。

やはりこの車となら素晴らしい旅を経験出来そうだ。

後は時間の問題だ。

改めて、これからもよろしくな、パサオ君。

パサートオールトラックOLYMPUS E-M1MarkII, (12mm, f/3.2, 1/8000 sec, ISO200)

 





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