直噴ターボもダウンサイジングターボもディーゼルエンジンがルーツだった話【フォルクスワーゲンよもやま話】

今回は車ネタです。

4月に我が家にやって来たVWパサートオールトラックには「TDI」と呼ばれるフォルクスワーゲン/アウディグループで長年活躍してきたディーゼルエンジンが載っています。で、筆者のようなTDI初心者はこう思う訳です。

「TDI」ってなんだ?

ということで少し調べてみたら、色々と面白い事が分かってきたのでまとめておきたいと思います。車好きの方には「そんなのエジソンが偉いってのと同じくらい常識だ!」という内容かも知れませんが、少々お付き合い頂ければ幸いです。

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「TDI」の直訳はその名も「直噴ターボ」

そもそも「TDI」とは何の略かと思って調べてみました。

 

「Turbocharged Direct Injectionだそうです。

 

えーっと・・・

 

ディーゼルどこ行った?

 

・・・そうなんです。てっきり「D」はディーゼルの「D」かと思い込んでいましたが、ディーゼルのディの字も登場すること無く、なんと「直噴ターボ」の略だったっていう冗談みたいな話があります。

そうすると筆者のような素人は「じゃあガソリンの直噴ターボとはどうやって区別するのさ」と思ってしまうわけです。

そもそも筆者がなぜその様な疑問に至るかと言うと、「直噴=ここ10年ちょっとでガソリンエンジンで急速に普及してきた技術」だというイメージを持っているからです。筆者の前愛車のプジョー308SWもご多分に漏れずガソリン直噴ターボでした。

しかし、実はTDIという名称に「ディーゼル」という単語が含まれていないのは当然だったのです。

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「ディーゼル直噴ターボ=TDI」の歴史は直噴ガソリンターボよりも古かった

世界初の量産ガソリン直噴エンジンは日本人ならお馴染みのアレ

ところで個人的にガソリンの直噴ターボって言うと思い出すのが、「GDI!GDI!G!D!I!」という盛んな掛け声とともに三菱自動車がTVCMで盛んに推していた「GDI」エンジン。懐かしいですね。

で、調べてみたらなんとその「GDI」こそが世界で初めて量産化されたガソリン直噴ターボエンジンで、1996年にギャランとレグナムに載って登場したそうです。「GDI」は素直に「Gasoline Direct Injection」の略。

それより以前にもメルセデスなどがガソリン直噴ターボを作ったりしてるようですが、いずれも量産化に至る前にボツになったみたい。

ディーゼル直噴ターボはGDIの10年先輩(しかも意外なメーカー)

一方のディーゼル勢はどうかというと、なんとガソリン直噴ターボよりも10年も先輩で、1986年に登場したそうです。しかもメーカーが意外で・・・フィアットがクロマという車に搭載したのが世界で初めてのディーゼル直噴ターボの量産車だそうです。意外なんて言ったら失礼でしょうか(笑)

フィアット クロマ

FIAT CROMA(Source:MotorFan)

そしてその3年後の1989年、「Audi 100 2.5 TDI」がフォルクスワーゲングループ初のディーゼル直噴ターボを搭載して登場します。

話を戻しましょう。そう、この時点では市販自動車において直噴ターボといえばディーゼルしか無かったのです。なので、フォルクスワーゲングループがディーゼル直噴ターボユニットに名称を与える際に、あえて「ディーゼル」を名乗る必要は無かったわけですね。

さらに言えば、その時点ではフォルクスワーゲングループとしてもその数年後にガソリンの直噴ターボエンジンが市販される事は予想していなかったのかも知れません(予想していれば「ディーゼル」の名を冠していたのではないでしょうか)。そのような中でGDIを世に送り出した三菱はすごい!のかも知れませんね。

※余談ですが、もしGDIが出たあとにディーゼル直噴ターボが登場していたら、「GDI」のGをDに変えて「DDI」(Diesel Direct Injection)になっていたかも知れません・・・第二電電みたいでイマイチ!!よかった〜(笑)

Audi 100 2.5 TDI

Audi 100 2.5 TDI(Source:AutoData)

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ダウンサイジングターボはTDIから生まれた(らしい)

さて、このように直噴ターボという技術が自動車業界で日の目を見たのはガソリンよりもディーゼルが先だったわけです。それも考えてみれば当たり前で、技術的にもガソリンよりもディーゼルの方が過給に向いていると同時に、過給をしなければ非力すぎて乗用車のパワーユニットとしては使えないというのもまたディーゼルエンジンの特性な訳で、ターボに関する技術がガソリンよりも先に進化したのは当然の流れと言えるでしょう。

ディーゼルとターボ過給の相思相愛関係については以下の記事でもまとめています。

パサートTDIのターボラグ、そして「ディーゼルは本来低トルクである」という特性と付き合う | パサートオールトラックオーナーレビュー
これがドッカンターボってやつか。 パサオ君ことパサートオールトラックの心臓部は最高出力190ps、最大トルク400Nmを発生する、筆者にとっては宝の持ち腐れといっても過言ではない頼れる相棒だ。何しろ前愛車プジョー308Wの156ps・...

さて、フォルクスワーゲングループのTDIによってヨーロッパでは急激にディーゼル車が普及し、2000年代の初めには欧州市場の過半をディーゼル車が占めるに至ったわけですが、その理由は何だったんでしょう?

欧州におけるディーゼル人気の理由は「燃費」ではなかった

日本ではディーゼル車のメリットとしてよく「燃費」という概念が引っ張り出されますが、筆者はかねてからあまりしっくり来ていませんでした。ディーゼルは確かにリッター当たりの走行距離は長い。しかし、それで車両価格の差を埋めるには相当距離を乗らなければならないですし、まして軽油の価格が日本ほど安くない欧州においてはなおさらです。

しかも根っからのドライブ好きのヨーロッパの人たちが、車両価格の差を埋められるかどうか分からないほどの燃費をそれほど重視するとは思えません。

そう思っていたところ、まさに的を射る記事がありました。その記事にはこうあります。

(前略)低回転から高トルクを発生するディーゼルの走りが単純に楽しいから、快適だから、だという。確かにディーゼル・エンジンは燃費がいいし、軽油も安かったから、燃料費はガソリンに比べて圧倒的に少ない。ただし、最初の車の価格が高いから、長期間・長距離を走ってやっと元が取れるということで、ディーゼル車は高いから買わないという理由がなくなるだけ。一度、低回転高トルクのディーゼルに乗り慣れると、普通のガソリン車には戻りたくないのが多くのヨーロッパの顧客の感想なのだ。

(Source:Motor Fan

つまり経済性についてはプラマイゼロで、メインはやはり走りの楽しさだと言う訳です。その方がずっと納得感がありますね。

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TDIの走りを求めて生まれたダウンサイジングターボ=「TSI」

2005年に1.4L直噴ガソリンターボのTSI(TurbochargedStratified Injection)エンジンがゴルフに搭載されて以来、一気に業界に広まったダウンサイジングターボブーム。実はその背景にはTDIエンジンの人気があったようです。上の記事ではTSIの開発エンジニアへのインタビューに沿って以下のように書かれています。

ガソリン・エンジンのように回転数を高めないでも大きなトルクを使ってよく走る。エンジン回転数が低いので、加速時も静か、エンジン回転が高まることなく加速する気持ちよさをエンジニアは実感した。特に高速道路を走るとエンジン音が静かで快適だった。それまでの高回転まで伸びるフラットトルク信仰が崩壊した瞬間だ。(中略)そこで理想のエンジントルクに目覚めたエンジニアは、ガソリンエンジンにもそれを実現しようとした。その結果が、TSI他の過給ダウンサイジング・エンジンの登場である。

(Source:Motor Fan

つまり、ガソリンのダウンサイジングターボはTDIエンジンのファントゥドライブ特性をガソリンエンジンでも実現しようとして採られた手法だと言う訳です。

これは実に頷ける話ですね。実は以前より、低速トルクに秀でると言われるTDIに比べても、TSIモデルの出だしの加速は決して劣らないか、むしろ鼻先が軽い分感覚的にはよりトルクフルだと感じていました。それもそのはず、TSIがTDIの低速でのパワフルな特性を実現するために作られているのだとしたら当然のことですね。

う〜ん、全然知りませんでしたが、知れば知るほど納得です。

さいごに

この度パサートオールトラックに乗り換えて、ディーゼルも初めてならフォルクスワーゲンも初めてという事で、まだまだ知らない事が多々ありますが、調べてみると実に面白いですね。エンジンは奥が深い。

しかし内燃機関の歴史はすでに終盤に差し掛かっています。これからの10年で一気に動力源は入れ替わっていくでしょう。

モーター・・・どうなんでしょうね。トランスミッションもない、音もない。楽しいのかな。メーカーごとの味はどうなるのかな・・・そんなネガティブな考えも浮かんできます。

しかし、内燃機関の歴史を振り返れば、ディーゼルエンジンはかつては非力で乗用車には向かないとまで言われていたのが、過給という技術を極めることでガソリンエンジンの直噴化やダウンサイジングターボのお手本になるまでに進化し、今日実に楽しい運転体験をもたらしてくれるまでに変貌を遂げたのだから、電動車だって将来どうなるのかなんて全く分かりません。

未来の車がどうなっていくのか、楽しみで仕方がありません^^

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