MTBで野山を駆け回るのが大好きなチビ怪獣たちのために、最高のフィールドであるキャンプ場にもMTBを持って来たいと兼ねてから考えて先日導入したルーフトップサイクルキャリア「INNO INA389 タイヤホールド2」、このGW含め既に3回ほどキャンプで使用して使い勝手などが大分分かってきたため、詳細なレビューをまとめたいと思います。結論から申し上げると色々考えた末このキャリアを導入してかなり満足しています。
一方、それまでに別のタイプのサイクルキャリアを使用していたり、買い替え検討の中で色々なタイプのサイクルキャリアについて調査・考察したので、その検討経緯含めてご紹介したいと思います。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (46mm, f/3.9, 1/640 sec, ISO200)
今回重視したポイント
上記の通り最終的にINNO INA389 タイヤホールド2を選んだわけですが、その結論に至る中で重視したポイントを最初にご紹介しておきます。
用途:オートキャンプ場まで主に高速道路を使ってMTBを運搬
具体的にサイクルキャリアに求める条件
- MTBを積載した状態でもリアハッチの開閉が出来ること
- 高速道路での長距離移動も安心して任せられる固定力
- MTBに傷が付かないこと
では一つ一つ詳しく見ていきたいと思います。
リアハッチ積載タイプのメリットとデメリット
実はこれまでもサイクルキャリア自体は所有していました。リアハッチに積載するタイプ、いわゆるリアサイクルキャリアです↓
リアハッチ積載タイプのメリット
まずルーフトップタイプと比較すると、価格が比較的お手軽です。ルーフトップタイプの場合、キャリアそのもの以外にベースキャリアやアタッチメントが必要になりますが、リアハッチタイプなら不要です。
そして、高さ制限を気にせずに積載する事が出来ます。ルーフトップタイプのサイクルキャリアを使っていると、うっかり軒に擦ってしまったりといった場面がありました。
また、自転車の積み下ろしに関しては、身長が高くなくても、あるいは腕力が無くても行いやすいというメリットがあります。
加えて、車の後部に載せるので走行中に虫などが付着しにくいというのもメリットですね。
また、そもそもルーフキャリアを取り付けられない車種もあるので、そういう車種の場合にはこのタイプになります。
リアハッチ積載タイプのデメリット
やはり最大のデメリットは、自転車を載せた状態でハッチの開閉が出来ない点ですね。なのでキャンプには頗る不便です。
また、自転車はバンドで固定するので、高速道路での長距離移動にはやや不安です。
あと、積み下ろし時のメリットとして身長が高くなくても簡単、と書きましたが、実は脱着自体はバンド固定式なので、面倒です。筆者の場合踏み台を活用する事で高さをクリアすれば、自転車の脱着自体はルーフトップ式の方が簡単だと感じました。
※このリアハッチ用サイクルキャリアについては下の記事をご参照下さい↓

いずれにしても、リアハッチが開けられないのはキャンプでは致命的なので今回ルーフトップタイプへの買い替えに至りました。
ルーフトップサイクルキャリアのメリット・デメリット
主に前述のリアハッチ積載タイプとの比較になりますので、まあ簡単に言えば上のメリデメの逆ですね(笑)
メリット
- 自転車積載状態でリアハッチが開閉できる
- しっかり固定できる
- 自転車の脱着が速い(ただし踏み台と腕力必要)
最後の脱着については下で詳しく見ますが、バンド固定というよりはアタッチメントでガチっと固定する感じなので、バンドの締め具合の塩梅を気にせずバシッと固定できるのでリアハッチ式よりは総じて簡単だと感じます。ただし、自転車を持ち上げる必要があるので、腕力のない女性などは厳しいでしょう。
デメリット
- 価格が(ベースなど含めると)高額になる
- 高さ制限を気にする必要がある
- 自転車の積み下ろし時に踏み台と腕力が必要
- 虫が付きやすい
高さ制限、というとトンネルなどの公道での高さ制限を思い起こす方が多いと思いますが、そういうところで引っ掛かる事は稀です(筆者はそういう制限に引っ掛かったことはない)。むしろ、キャンプ場のバンガローの軒とか狭い路地の木の枝とか、そういった地味なところで注意が必要です(笑)
ただいずれにしろ、自転車を載せたままでラゲッジルームを柔軟に使いたいような場合はルーフトップタイプ一択になります。
ルーフトップ積載タイプの3つのバリエーション
一言でルーフトップと言っても主に3つほどのタイプがあります。
ダウンチューブ固定タイプ
上の写真の通り、ダウンチューブの一点とホイール下部で固定するタイプです。
◼︎メリット
-
- 大概の自転車を積載できる汎用性
- 比較的安価
◼︎デメリット
-
- フレームに傷が付く可能性
- ほぼ一点固定なので高速などでは不安
- 汎用的と書いたがフレームの形状によっては対応出来ない
クイックリリース固定タイプ
前輪のクイックリリースで固定するタイプです。
◼︎メリット
-
- 積載時の全高を低く抑えられる
- 比較的安価
◼︎デメリット
-
- クイックリリース部の強度が不安。カーボンフレームは非推奨
- ほぼ一点固定なので高速などでは不安
- 当然クイックリリース以外は非対応。筆者のCannondale cujo3もそうですが、最近増えてきているディスクブレーキに適したスルーアクスル方式にも非対応
で、これらのデメリットをほぼ払拭してくれるのが今回導入したこちらです。
前後ホイール固定式:今回選んだのはこれ!
フレームの形状や強度に左右されませんし、クイックリリースかどうかといったホイールの固定方式にも依存しません。
しかも前後2点を比較的広範に渡って固定するので固定力も抜群で自転車へのダメージも殆どありません。
まあ、唯一のデメリットとしては・・・価格ですね^^; 上の二種類はカーメイトのinnoブランドだと一万円前後ですが、このタイプは二万円代です。
ただ、やはりビクビクしながら旅をしなくて済むメリットというのは大きいです。しかも1万円程度の差額なんて、10回使えば一回当たりたったの千円ですからね(笑)
INNO INA389 タイヤホールド2 レビュー
では、この前後ホイール固定タイプで現在ほぼ唯一の選択肢であるINNO タイヤホールド2(INA389)と共に3回ほどキャンプに行ってきたので、詳しいレビューをご紹介したいと思います。
外観
プジョー308SW、所謂ステーションワゴンに載せたところはこんな感じです。
OLYMPUS E-M1MarkII, (15mm, f/3, 1/1600 sec, ISO200)
無意識に
ワイルドだろう?
という死語が漏れ出てしまいそうなアウトドア感満載な外観です。
キャンプ場でも、他のキャンパーさん達から
「うわあ、すごい!ああやって自転車載せられるんだ」
と言う感嘆の声が聞こえてきて、ニヤニヤが止まらないのに無理矢理クールを装おうとして、とても怪しい表情を晒していたことを白状します。
ちなみに自転車を載せていない時はこんな感じ。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (22mm, f/3.3, 1/320 sec, ISO200)
固定力
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (40mm, f/3.9, 1/400 sec, ISO200)
このように前後輪をガッチリと固定するので、想像通りビクともしない固定力です。それに押さえつけるのがフレームではなくタイヤなので、自転車へのダメージという点でも心配ありません。
この状態で往復200〜300kmのキャンプ場までの高速移動を三回こなしましたが、全く問題はありませんでした。
高速時の風切り音
気になるような音は殆ど生じません。
高速道路において、まず制限速度内では全く風切り音はしません。
また、一般的にお巡りさんに捕まらないとされる範囲内での上の方の速度での巡航もしましたし、追い越し時には一時的にそれを超えることもありましたが、強風時にたまに「シュー」と言う音が聞こえるくらいで、通常は積載していることも忘れる程でした。
セキュリティ(盗難防止)
このように鍵が掛けられるので安心です。また、積載中に何かのはずみでロックが外れてしまうリスクも、鍵を掛けることで防ぐことが出来ます。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (46mm, f/3.9, 1/100 sec, ISO250)
自転車の積み下ろしのしやすさ
積載時は、下の写真のようにまず前輪を前のタイヤホールドにはめ込み、それから後輪側を持ち上げてレールの上に載せます。それで一旦固定されるので、最後に後輪側のタイヤホールドをガチャンとはめ、ロックします。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (17mm, f/3.1, 1/640 sec, ISO200)
他のタイプと比べていないので比較はできませんが、どのタイプにしても車の屋根に自転車を持ち上げて載せるという作業は身体の小さい方や非力な方には結構きついでしょうね。筆者は身長178センチですが、それなりに億劫に感じますし、少し手が滑ってペダルあたりで腕に擦り傷を負いそうになったこともありました。
ですが、車の横に踏み台を用意することで格段に安全かつ楽になります。
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/2.8, 1/1600 sec, ISO200)
上の写真ではRVBOXを使っています。キャンプ場には必ず持っていくものなのでわざわざMTB積載のためだけに出すという手間はありません。そうでない場合でも、百円ショップでも(400円とかで)売っている簡易的な折りたたみ式のチェアを車の荷室に放り込んでおくなど、やり方はいくらでもあります。
汎用性・対応するタイヤ幅 – 2.8インチセミファットも大丈夫!
このタイプで対応・非対応があるとすると、タイヤのサイズです。
カーメイトのHPによると、
適応タイヤ:20-29インチ, 幅:18C-2.7インチ
とあります。ビーチクルーザーのような明らかなファットバイクは無理でしょう(まあ、それはダウンチューブ固定タイプやクイックリリース固定タイプでも無理ですが・・・)。
では最近流行りのセミファットタイヤ(幅2.8インチ)はどうなのか・・・筆者が購入をためらっていたのはこの点でした。
実は筆者のcujo3も、長男坊のSpecialized Riprock24も、2.8インチ幅のセミファットタイヤなんです。カーメイトに問い合わせたこともあったのですが、使えるかもしれないが保証はできない、とのこと。
ところがひょんなきっかけでこの課題はクリアされました。先日のGWの水上でのダウンヒルツアーにて、主催者のMTB JAPANさんが使っていたのがまさにこのINNOタイヤホールド2で、2.8インチ幅のセミファットバイクをたんまりと載せていたのです。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/800 sec, ISO25)
品番である「INA389」の文字が!
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/1200 sec, ISO25)
念の為スタッフの方にセミファットでも制約なくそのまま使えるのかを訊いてみましたが、
「innoがスポンサーとして提供してくれてるので全然大丈夫ですよ〜」
とのこと。
と言う訳で、晴れて懸念が晴れて導入に至ったのでした♪
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (60mm, f/4, 1/400 sec, ISO200)
実際に使ってみても、バーで上からギュッと固定するので全くグラつきなどはありませんでした。
ちなみにもう一つの個人的な懸念として、次男坊のMTB好きが本物かどうかまだ分からない、というのがあったのですが、それもこの水上ダウンヒルツアーで確定しました。
次男坊はこれまで年齢・身長制限もあり本格的なMTBツアーには参加したことはなかったのですが、次男坊にこのGWで一番楽しかった事は何かと訊いてみたところ、キャンプ(この記事のキャンプです)や「ゴジラじゃない方展」などの並み居る競合を押さえ、水上ダウンヒルツアーが堂々の一位に輝いたのです^^
上で書いたとおり、価格的には他の製品より高めなので、買ってもすぐにホコリをかぶってしまうというのではという不安があったのですが、これで吹っ切れました。
その他の留意点
他に気に留めておいたほうが良いポイントとしては以下のようなことがあります。
車庫入れやちょっとした軒に注意
屋根があるタイプの車庫の場合、そのまま車庫入れすると大変なことになります。→はい、気を付けますw
あとは上での触れたように、キャンプ場のバンガローの軒や木の枝などに気を付けて下さい。→一度擦りましたw
洗車機に注意
洗車機によりますが、そのままでは洗車できない場合があるので注意。→はい、気を付けますw
とりあえず最近は手洗いしてます。
トンネルはほぼ大丈夫?
よく分かりませんが、国土交通省が定める車両の高さ制限というのがあって、かつては3.8m、今は4.1mだそうです。つまり一般道では基本的にこの高さの車は通行できるということなんじゃないかと思います。
ただ、都内の田町あたりにあった山手線の下を通る以上に低いトンネルなど特殊なトンネルもあるので、そういう場合に掲げられているトンネルの高さ制限標識には注意した方がよいでしょうね。
もちろん筆者の場合、今まで関東甲信の数多くのキャンプ場へ行きましたが、そのような際どいトンネルには遭遇したことはありません。むしろ気を付けるべきは街中の高架下なんかでしょうね。
まとめ:INNO INA389タイヤホールド2はちょ距離高速移動でも安心のサイクルキャリア
ということで、都内からキャンプ場までのMTBを載せての長距離移動を安心して任せられるかどうか、荷室が自由に使えるかという観点でサイクルキャリアを検討してきました。
今回導入して使用してみたINNO INA389 タイヤホールド2は、長距離の高速移動で安全に自転車を固定したい人におすすめ、という事になるかと思います。
決して安くはない投資(筆者の場合二台のタイヤホールド2とベースアタッチメントで計6万円近く・・・)ですが、チビ怪獣たちの楽しそうな姿を見るにつけ、そして他のキャンパーさん達の視線を感じるにつけ(笑)、本当に良い買い物をしたと思っています。
こうしてガラスルーフ越しにチャリンコを眺めてはニヤニヤする日々が続きそうです^^
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/8, 1/160 sec, ISO200)
2021年5月追記:開閉式パノラマガラスルーフへの対応について
その後車をフォルクスワーゲンパサートオールトラック(電動パノラマスライディングルーフ付)に乗り換えました。
それに当たり、INA389タイヤホールド2を載せたままパノラマルーフの開閉を行うためにはルーフとキャリアの間にクリアランスを確保するためにベースキャリアを他社製に載せ替える必要がありました。詳細は下記記事を御覧下さい。

OLYMPUS E-M1MarkII, (12mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO200)
OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/8, 1/500 sec, ISO200)
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