フォルクスワーゲン & パサートオールトラック

【代車インプレ】ティグアンTDI 4MOTIONは物理法則を無視した軽快さと静粛性 – パサートオールトラックとの比較も

先日パサオ君ことパサートオールトラックが1年点検で入庫して参りました。

パサートオールトラック1年点検 - Volkswagen Service Camはいいぞ
花粉症自主点検を20年近く続けてるのに全く症状が無くならない10maxですこんにちは。昨年(2020年)4月5日に我が家にやってきたパサオ君ことB8型パサートオールトラックが法定12ヶ月点検を迎えたので、その結果や交換した消耗品などをまとめ...

点検と言えば「代車ガチャ」ですね!「何が出るかな、何が出るかな、チャララチャンチャンチャラララン♪」。気分はすっかり「ごきげんよう」です。

そしてスタッフの方が回してくれた代車はこれです。「R-Line」の文字が!これは一体・・・!!

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (6mm, f/2, 1/50 sec, ISO160)

はい、記事タイトルに書いてあるのに勿体ぶっても意味ないだろ!というツッコミはアドブルーを補充してからお願いしますw

ということで、ティグアンTDI 4MOTION R-Line をせっかくまる1日お借りしたので軽くインプレッションを纏めておきたいと思います。ちなみに、さらに「ブラックスタイル」という特別仕様車のようですね。

なお、以前よりお伝えしている通りティグアンは2021年にADAS、インフォテイメント系を中心にアップデートを控えています。一方パワートレイン等ドライブフィール面に関わる大きな変更はない予定です。

ということで本記事では簡易インプレということで、簡単なドライブフィールとパッと見て気づいたユーティリティについてまとめておきたいと思います。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (6mm, f/2, 1/70 sec, ISO200)

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パサートオールトラックとのスペック比較

主な比較観点としては、やはり愛車であり同じTDI×4MOTIONを備えるパサートオールトラックとの違いが気になるところです。いずれも高めの最低地上高を持ち、広い荷室と高いユーティリティ性能でアウトドアユースを指向するアクティブ派に訴求したミドルサイズのクロスオーバー車というのも共通です。

でもこの2台、購入時に比較検討する人ってどの程度いるんでしょうね。ティグアンは今や最も売れているフォルクスワーゲン車ですが、パサートオールトラックは東京でも全く見かけません。しかも昨年T-Rocも出たし、ますますパサートオールトラックの影は薄くなりそう(笑)今度営業さんに状況を訊いてみよう。

ともあれ、まずは主な仕様の比較です。R-Lineは内外装の差別化のみで、パワートレインや寸法などは通常のTDI 4MOTIONモデルと同じです。

ティグアンTDI パサートオールトラック
全長 4500mm 4780mm
全幅 1840mm 1855mm
全高 1675mm 1535mm
最低地上高 180mm 160mm
重量 1730kg 1680kg
エンジン EA288型2.0ℓ直4ディーゼル
最高出力 150ps/3500-4000rpm 190ps/3500-4000rpm
最高トルク 340Nm/1750-3000rpm 400Nm/1900-3300rpm
変速機 7速湿式DSG 6速湿式DSG
JC08燃費 17.2km/L 17.3km/L
価格 456~592万円 532~594万円

まずボディサイズについては、全長と全幅はパサートオールトラックの方が長く、全高はティグアンの方が高いということで、SUVらしい力強い塊感のティグアンと、ロー&ロング&ワイドなパサートオールトラックという感じ、まあイメージ通りですね。

最低地上高についても、パサートオールトラックはベースのパサートヴァリアントに対して30mm高く設定されていますが、それでもティグアンの方がさらに20mm高い180mmとなっており、よりSUV的なキャラクターが強くなっています。

エンジンは共にEA288という、今日フォルクスワーゲンおよびアウディの多くの車(少なくとも日本正規輸入車については全て、だと思う)のディーゼルエンジン車に採用されているTDIユニットを搭載しています。が、チューニングが異なってます。

最大トルクについて見ると、ティグアンは340Nmを1750~3000回転、パサートは400Nmを1900~3300回転で発生するため、結果として最高出力もティグアンの150psに対してパサートが190psとなっています。

後で詳しく書きますが、この出力特性の違いがドライブフィールにも分かりやすく現れており、両者のキャラクターに非常に絶妙にマッチしています。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ

Apple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/75 sec, ISO125)
ブラックスタイルなのでブラックホイール。しかも19インチ。ルーフレールも黒い

パサート オールトラック ヴァリアント 外装 エクステリア 外見

OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (18mm, f/3.2, 1/6400 sec, ISO200)
パサートオールトラック

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ドライブフィール:重量と高さを全く感じさせないVWマジック

では早速ドライブインプレッションです。実はティグアンTDI 4MOTIONが日本に導入された2018年頃に一度試乗したことがあり、当時その軽快さと静粛性が非常に印象的だった記憶が今でも残っているのですが、その感覚は今改めて乗っても全く変わらないものでした。

ディーゼル離れした静粛性

3年前も驚きましたが、今回もやはり同じ感想です。アイドリング時の静粛性は、、ぼんやり乗っているとディーゼルであることを忘れさせるほどのものでした。音量で言えばパサートオールトラックよりも静かだと感じます。

この感覚で思い出すのは、アウディQ5です。友人がQ5に乗っていて何度か試乗させてもらったことがあるのですが、実は1回目の試乗では最初ガソリンモデルだと勘違いし、メーターパネルを見て始めてTDIだと気づいたほどでした。ティグアンの静粛性もそれに近いものがあります。おそらく両者ともMQBベースのミッドサイズSUV、構造上遮音性能も似ているのかも知れません。

ちなみにティグアンと同じ150ps版TDIのゴルフTDIに試乗した際にはそこまでの静粛性は無かったので、エンジンそのものというより遮音の違いなのだと思います。

一方踏み込んだ時には中々勇ましいサウンドを奏でます。しかし、トラックのようなガラガラした音ではなく、もう少しきめ細やかで気持ち良いフィーリングです。

なお、音質についてですが、これもQ5に乗った時と同じ印象なのですが、この音質自体はどちらかというと乾いた音で、トラックのような音ではないものの割とカラカラ成分が聞き取れます。ここは角の丸い重低音を発するパサートオールトラックの方がディーゼル離れしている印象です。

ついでに一点書き添えておくと、パサートオールトラックの購入検討時に3台のパサートヴァリアントに試乗したのですが、走行距離が多いものほど音量と音質のカラカラ感が少なくなっていました。ディーゼルサウンドを評価する際には走行距離も気にしてみると良いかも知れません。

TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)

SONY ILCE-7M2, (28mm, f/8, 1/60 sec, ISO1000)
友人のQ5と

物理法則を疑うほどの軽快さ・パワフルさ

アクセルを踏んだ瞬間、グイッと前方に押し出されます。感覚としてはより軽く出力の大きいはずのパサートオールトラックよりも元気な出だしの軽さ、パワフルさがある印象です。

そして街なかでは中間加速から追い越しまでスイスイと意のままに加速でき、まるでコンパクトカーを運転しているかのような実に不思議な感覚。ひとまわり小さなT-Rocだったっけ?と錯覚しそうです。フォルクスワーゲンは魔術師なのか?

パサートオールトラックよりも重量で50kg重くエンジンパワーでは60Nmトルクが小さいにも関わらずここまで軽快かつパワフルなフィーリングには、一つには恐らくDSGの7速化が効いているのでしょうね。減速比を比較してみます。

ティグアンTDI パサートオールトラック
1速 3.562 3.461
2速 2.526 1.904
3速 1.586 1.125
4速 0.937 0.755
5速 0.722 0.763
6速 0.687 0.622
7速 0.574

やはり発進の1速の減速比がより大きくなっており、そこから上もパサートオールトラックと比べてクロースレシオになっています。これは軽快な訳ですね。

重量が重いのにJC08燃費が0.1km/L上回っているのも、排気量に加えてハイギヤードな7速が寄与しているのでしょう。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/25 sec, ISO1250)

コシのある脚は重さと背の高さを帳消しにする

軽快感をもたらしているのは上記の加速のパワフルさだけではありません。脚がめちゃくちゃ健脚です。健脚ってなんだっけ?要は、フラフラせずしっかりと重量を支えてくれ、ロールは最小限にとどめ、揺り返しも殆ど感じさせません。パサートオールトラックよりも背が高く重量も重いにも関わらず、筆者の一切合切凡庸な五感では殆ど差を感じませんでした。

なので、1700kgを超える中々の巨体にも関わらず思った以上にスイスイと回頭させることが出来、おそらくワインディングもそこそこ楽しめることでしょう。これは凄い。御三家やポルシェなどの高級SUVクーペなどならいざ知らず、フォルクスワーゲンクラスにおいてももはやフラフラするという理由でSUVを敬遠する必要は無くなってしまった訳です。

ただしそのトレードオフか、突き上げはやや強く感じます。恐らく上記の通りしっかりした脚に加え、R-Line故の19インチホイールが要因でしょうね(パサートオールトラック(Advance)は18インチ)。路面の凹凸は如実に拾います。しかし決して不快ではなく、丸く包まれたものなので乗員が嫌がることは無いでしょう。上で書いたとおり凹凸を拾った後も揺り戻しが続くことは皆無です。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/40 sec, ISO1250)

高回転の頭打ちには目をつぶろう

低〜中回転域でのキビキビした力強さと引き換えになっているのは高回転域の粘り強い伸びですね。ここはパサートオールトラックの高回転寄りのチューニングとの差が現れる部分で、3000回転も半ばを超えると急速にトルク感が細くなっていきます。

エンジンのスペックを比較すると、ティグアンの150ps版は340Nmの最大トルクを1750〜3000回転で発揮するのに対してパサートオールトラックは400Nmを1900〜3300回転で発生させるので、上下共に300回転ほどティグアンの方が低回転寄りの特性に設定されている事が分かります。実際の感覚としてはパサートオールトラックの場合4000回転を少し超えるくらいまでは背中を押し付けられるような伸びのあるトルクを感じるので、最大トルクからの落ち込み方にも違いがあるのかも知れません。

これはティグアンにとってはネガというよりも、特性によく見合ったセッティングだと見るべきでしょう。同じアクティブなクロスオーバー指向でも、ロー&ロング&ワイドなパサートオールトラックはよりオンロードでのロングツーリングに振っており、一方のティグアンは低速域や悪路でのグイグイ進む力強さを重視しているということなのではないでしょうか。非常に上手いキャラクターの棲み分けだと感じます。

実際のところ、4000回転近くまで回す様な場面はそうそう訪れないので大抵の局面では十分に速いと感じるでしょう。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO125)

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ユーティリティはさすがSUV

「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」と言うくらいですから物入れなどのユーティリティは色々面白いものがありますね。

まず運転席の目の前のダッシュボードの意外なところが開きました。パサートオールトラックではここにスピーカーがあるので、ティグアンもDYNAUDIOモデルなどグレードによってはスピーカーが入るのかも知れません。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ ユーティリティApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO160)

あと「ティグアンと言えばこれ」と個人的に思っているのがこの豪華なサングラスホルダー(笑)4人ともサングラス掛けてる場合はもちろん、そうでなくても色々入れられそうです。ここは電動パノラマスライドルーフオプションとのトレードオフですね。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ ユーティリティApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/7 sec, ISO800)

あと羨ましいのが前席シートバックのテーブル。しかもドリンクホルダー付き!これは便利です。前愛車のプジョー308SWには付いていたのですが、パサートオールトラックには付いてないのです(肘掛けのドリンクホルダーはありますが)。

作りもしっかりしてて、レッツノートとかの軽いノートPCなら置けるかも。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ ユーティリティApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/30 sec, ISO640)

荷室は615Lと十分以上。床は2段底になっており、後部座席も40:20:40可倒なので使い勝手も非常に優秀です。この辺りはパサートオールトラックと共通で、フォルクスワーゲンの実用性へのこだわりを感じる部分です。

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ ユーティリティApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/25 sec, ISO2500)

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まとめ:ティグアンTDI 4MOTIONはスペック離れした高い運動性能とユーティリティを兼ね備えた非の打ち所のないSUV

はい、上の見出しの通りです。以上(笑)

3年前にも感じましたが、改めて乗ってみてもほんとよく出来た車だな〜と感じました。2019年にゴルフを抜いて世界で最も売れたフォルクスワーゲン車となった訳も分かります。

一方昨年登場したT-Rocも相当魅力的な内容なので、少しサイズ感は違うもののお互いが強力なライバルとなるケースもあるでしょう。言い方を変えれば、筆者はT-Rocについてもよく出来た車だと感じたのですが、兄貴分のティグアンという完成されたモデルがあるのだからT-Rocの優秀さは必然だったと言えるでしょうね。

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さて、冒頭でも触れた通り2021年はティグアンもモデルチェンジを控えています。最新の情報だと、最初に来るのが4月くらいのパサート、その後ゴルフが来て、ティグアンは少し遅くなるようで、アルテオンとどちらが早く来るか、という感じのようです。

どんな進化を魅せてくれるのか、楽しみですね^^

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フォトギャラリー

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/2100 sec, ISO32)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (6mm, f/2, 1/100 sec, ISO160)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (6mm, f/2, 1/120 sec, ISO125)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (6mm, f/2, 1/55 sec, ISO200)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/60 sec, ISO1000)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/25 sec, ISO800)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレ

Apple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/30 sec, ISO2000)
シフトノブの前方のトレイの奥にUSBが2つと12Vのパワーアウトレット1つ

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (1.54mm, f/2.4, 1/40 sec, ISO1250)

ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗 インプレApple iPhone 12 Pro, (4.2mm, f/1.6, 1/55 sec, ISO500)

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