Apple iPhone XS, (6mm, f/2.4, 1/160 sec, ISO16)
我が家のパサオ君ことパサートオールトラックのDiscover Proの地図データのアップデートのためにディーラーへ行って来ました。地図データのアップデートにはWindows PCが必要なのですが、筆者宅にはMacしか無いので^^; でもこんな用事でもディーラーへ行く機会が増えるのは車好きとしては嬉しいですね(笑)
パサートやプジョー、マツダ等とゴルフの150ps版TDIのディーゼル比較をしたかった
さて、せっかくだから何か試乗をさせて頂こうという事ですぐに乗れるモデルを訊いてみたところ、T-crossとゴルフTDIならあるという事で、少し迷った末にゴルフTDIに乗せてもらうことにしました。
どちらも昨年秋に日本で販売開始されたモデルですが、現行ゴルフ7に試乗できるチャンスはもうあまり無いかも知れないというのと、パサオ君の190ps版のTDIエンジンとの乗り比べをしたかったと言うのが理由です。
というのも、以前プジョーリフターに試乗した際に、5008などに搭載されている2LのBlue HDiエンジンと1.5Lのそれとでフィーリングが結構違ったのが面白かったのです。
ということで、エンジンフィール等を中心にレビューをお伝えしたいと思います。
ゴルフTDIの基本情報
成熟期、というよりモデル末期のゴルフ7に載ってきたTDI
今回の試乗車は既にモデル末期にあたるゴルフ7のディーゼルエンジン搭載モデルです。現行ゴルフ7が2013年にデビューしてはや幾年・・・ようやく昨秋になってゴルフTDIが日本導入された訳ですが、その後間髪置かずにゴルフ8が既に本国では発表されるという不思議なタイミングではあります。
欧州でディーゼル、更には内燃機関への逆風が強まりVW自身も電動化に舵を切る中、日本市場でディーゼル需要が見込めるうちにTDI版のゴルフを投入できる最後のチャンスと判断したのかも知れません。いずれにしても1990年代のゴルフ3以来のディーゼルゴルフという事で、日本では待望されていたモデルという訳です。
グレード展開と価格帯
カタログ上は以下の4グレードです。
- TDI Comfortline (受注生産): ¥3,230,000
- TDI Comfortline Merster : ¥3,539,000 ←今回の試乗車
- TDI Highline (受注生産): ¥3,620,000
- TDI Highline Merster : ¥3,910,000
上記の通りマイスター以外は受注生産なので、実質354万円始まりになります。マイスターはアダプティブ・クルーズ・コントロールなどの先進運転支援機能ADAS関連やデジタルメータークラスタであるActive Info Displayなどがまるごとパッケージになっているので、Cセグメントの輸入車ディーゼルハッチバックとしては結構お買い得かなと言う感じがします。
エンジンは1種類、パサート、シャランのTDIと同型式チューニング違い
パサートとゴルフ両者のTDIエンジンの形式は同じ「EA288」と呼ばれる2.0L直4直噴ディーゼルターボユニットですが、チューニングによって以下のようにスペックが差別化されています。VWの他のモデルも含めてまとめておきます。全てEA288です。
車種 | 最高出力 | 最大トルク |
パサート(含ヴァリアント、オールトラック) | 190PS/3500-4000rpm | 400N・m/1900-3300rpm |
シャラン | 177PS/3500-4000rpm | 380N・m/1750-3250rpm |
ゴルフ(含トゥーラン、ヴァリアント)、ティグアン | 150PS/3500-4000rpm | 340N・m/1750-3000rpm |
同じユニットなら全て出し惜しみ無く190psにしておけばいいじゃないか、とも思うのですが、営業さん曰く、いたずらに出力を上げることで燃費面が不利になったり、強度を上げるためのコストが上がったりという面もあるので、ボディサイズに適した出力に調整している様です。その方がエンジン開発コストも抑えられるし、全体的に効率的かつ合理的と言えるかも知れません。
ただ営業さんも、ティグアンについてはパサートオールトラックより重いのになぜ150psを選んだのかは若干疑問なようでした。強いて言えば、ティグアンで190psを支えるためのコストを掛けると価格帯が上がってしまうからかもしれない、という話もあったので、マーケティング上の理由かもしれません。確かに強豪ひしめくミドルクラスSUVゾーンですからね。AWDだと燃費も不利だし。
もっとも以前試乗した感じではティグアンTDIもパワー不足は全く感じませんでした。
Apple iPhone 7, (3.99mm, f/1.8, 1/125 sec, ISO20)
外装:TSIゴルフ7との違いはエンブレムくらい
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/300 sec, ISO25)
まあ当然ながら外見は至って普通のゴルフ7です。サイズなど詳細は他の記事に譲ります。
ただし上記の通りTDIは基本的にはマイスターグレードなので外観上のアクセントとしてはマイスターには通称ゴルフ7.5と言われるようになったMCで追加されたLEDポジショニングランプが付いており、目元を引き締めています。このポジショニングランプは派手すぎるという意見もあり賛否両論のようですが個人的には好きですね。
どちらにしてもすぐにTDIだと分かるような特徴はありません。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/320 sec, ISO25)
リアセクションには「2.0 TDI」のエンブレムがあります。これが唯一パッと見の外観でTDIだと分かるポイントのはずです。
マイスターなので流れるウインカーになっているはずですが、確認するのを忘れました^^;
内装:同じくゴルフ7そのもの。居住性高し
前席周り
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/60 sec, ISO100)
やはりマイスターなのでActive Info Displayが搭載されます。回転系の数字からTDIだと分かります。
シートはコンフォートラインなのでファブリックになります。肌ざわりもよく、包み込む感じがファブリックの良さですね♪でもコシがあるのでフワフワしたりはしていません。サイドの張り出しも大きくありませんがしっかりサポートしてくれます。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/60 sec, ISO125)
インパネも普通のゴルフです。超スタンダードで目立った特徴が無いのに何となく質感が高い、というのが特徴でしょうか。
それでも、Discover Proのセンターディスプレイも9.2インチとしっかり大画面、オートブレーキホールドも付くなど、基本的な装備に抜かりが有りません。
ただ、ハイラインには付いてくるドライビングプロファイル(ステアリングやアクセルレスポンスなどのスポーツ、コンフォートなどを選べる機能)はコンフォートライン・マイスターには付いてきません。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/40 sec, ISO400)
ここにスマホを置けそうなUSBポート付きトレーがあります。なにげにパサートより深くて使い勝手が良さそう。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/60 sec, ISO320)
加飾プレートはコンフォートラインなのでヘアライン加工のシルバーになります。ハイラインだとピアノブラックなので見た目の上質感を重視する場合はハイラインかも知れません。ただ、ヘアラインシルバーは手垢やホコリが目立たないというのがメリットですね。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO800)
グローブボックスは十分実用的な容量。パサートと同じくらいです。起毛処理が変なところで手を抜いていない感じで好感が持てます。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/55 sec, ISO400)
ドア周り。左上にドアミラーの操作部があります。最初ちょっと操作方法に戸惑いましたが、慣れれば問題ありません。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO50)
ドアミラー。パサートではミラーの付け根(この写真でいうと内側の白い塗装の部分)にレーンチェンジアシストの警告灯が付きますが、ゴルフではミラーの先端に表示されます。
ところでこのVWのミラー、パサートオールトラックでも気になってるんですが、やや見づらいんです。先端寄りに縦に点線入ってるの見えますかね。実はここから外側は見える範囲を広げるために湾曲してるんですが、これが直感的に見づらくて、特に雨の日に水滴がついたりすると特に見えないんですよね・・・
前愛車のプジョー308SWでは最初、「ミラーでかッ」と思いましたが、その方が実用的です。
後席とラゲッジ周り
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO100)
ゴルフの後席、サイズの割に結構余裕があるんです。
下の写真は運転席を身長178センチの筆者に合わせた状態なのですが、膝前に拳二個ほど入ります。つま先も前席下に収まるので、窮屈さは感じません。
ゴルフの全長は4,265mmなんですが、これって実はCセグハッチのライバルの中で比べると一番小さい部類なんですよね。なんとカローラスポーツ(4,375mm)よりも短いんです!
その全長でこの居住性は特筆ものかと思います。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/60 sec, ISO250)
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/30 sec, ISO800)
ドリンクホルダーも装備されます。真ん中の仕切りは取り外すことも出来ました。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/50 sec, ISO64)
荷室容量はVDA方式で380L。先程全長でゴルフより長かったカローラスポーツが352Lなのでこのセグメントとしては十分と言えるでしょう。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/25 sec, ISO640)
トランクスルーも備えるのでスキーなどの長尺物も積載可能です。
居住性と実用性に優れたハッチバックであることはやはり間違い無さそうです。
エンジンサウンドとドライブインプレッション
さて、前置きが長くなりましたが、ここからゴルフTDIのエンジンフィールを中心としたインプレです。都内の一般道を1時間ほど借り出して運転できました。
ディーゼルサウンドやフィーリングの比較においては、主に筆者の愛車であるパサートオールトラックや試乗車のティグアンTDI、これまでに試乗してきたプジョー5008やリフターのBlue HDi、マツダCX-8やCX-5のXDエンジン辺りが比較対象になります。
Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/120 sec, ISO80)
アイドリング時のサウンド:音量は抑えられているが音質はそこそこガラガラ
まず音量を図ってみます。まず比較のために、こちらが愛車パサオのアイドリング音量。いずれもエンジン始動間もないタイミングで揃えています。
50dBを少々超えるくらい。
次にゴルフTDI。
音量的にはパサオより静かなようです。それぞれ何度か計測しましたがこの傾向は変わりませんでした。
ところが、体感的にはゴルフTDIの方がディーゼル特有の音が耳についたと言うのが実感です。
乗り込んでエンジンを始動した瞬間に「音が大きいな」と感じた程です。
一番違いがあったのは音質で、パサートヴァリアントやパサートオールトラックの音質が角が取れた丸い重低音なのに対し、ゴルフTDIのそれはカラカラ部分の周波数が除かれていない感じでした。
実はゴルフと同じ150ps版のTDIを積んだティグアンに試乗した時には非常に静かだった印象があるので、おそらく遮音性の影響だと思われます。
ちなみに絶対的な音量に関して、プジョー5008等の2Lディーゼルに対してリフターの1.5Lディーゼルは非常に静かだったのですが、今回当てはまらなかったのは、プジョーの両モデルは排気量が違ったのに対しTDIの2ユニットは排気量は同じであるためかもしれません。
ついでに言うと、プジョーの2リットルディーゼルは胸のすくような豪快な加速フィールと引き換えに結構ガラガラ音を聞かせていて、まるで「俺ディーゼルだけど、何か?」と言っているかのような潔さまで感じましたが、リフターの1.5Lディーゼルは知らない人が乗ったらディーゼルだと分からない程の静粛性で、トルクで押し出すよりも伸びでスピードに乗る感じが気持ちいい印象でした。(なお、プジョーも508では同じ2リットルHDiでも静粛性にかなり磨きを掛けています。)
ということで、筆者がこれまで乗ってきたディーゼルモデルの中でアイドリング時の感覚的な音量の順位を付けると、こんな感じになりました。
CX-8 ≦ CX-5 = リフター < ティグアン = パサオ < ゴルフ ≦ 5008
ゴルフはiPhoneで測った絶対的な音量ではパサオより静かでしたが、耳に入ってくる印象では大きかったので逆転させています。そういう意味ではそれ以外の車種についても測ったわけではなく乗った時の瞬間的な印象で書いているので、ちゃんと比べたら違うかもしれません。あくまでも参考程度に見て下さい^^;
ただ今になっても言えるのは、マツダのディーゼルはやっぱりすごく良かった!ということです。特にCX-8の最新XDの遮音性・静粛性とスムーズな回転フィールは今でもすごく印象に残っています。
アイドリング音については録画しているので、よければ下の動画をご覧ください。空ぶかしもしていますが、回転はとても軽やかで「ヒュンッ」と言う感じで吹け上がるのはTDIエンジン共通の美点です。
ドライブフィール:エンジン
発進時の極低回転でややもたつくのは、パサオと同じ傾向ですが、パサオよりもやや低い回転数でピークトルクを迎えるのと車重が200kg以上軽い(1700kgと1430kg)ためかゴルフTDIの方がラグは小さく感じます。街中ではゴルフTDIの方が扱いやすいかもしれません。
回転の吹け上がりが非常によく、高回転まできっちり回って頭打ち感が少ないというのもTDIに共通する美点ですね。中回転以上でも非常にレスポンスよく、ガソリンエンジンの様な特性を見せるので、バイパスなどで速度を乗せたり追い越したりする際も実ににパワフルですし、実際そこそこ速いと思います。
この点についてはティグアンよりも力強いと感じました。ティグアンの場合、ディーゼル離れした静粛性とスムーズな中~高回転フィールの方に驚きを感じましたが、さすがに1700kgを超える重量に150psのエンジンでは相対的には不利になります(あくまでも相対的に、なので十分以上なのですが)。それに対して丁度300kg軽量なゴルフTDI、さすがに豪快な中間加速を見せます。なので、パサートの190psに対して150psという事で、重量差とプラスマイナスでどんな感じかと興味津々でしたが、少なくとも常用域では十分以上のパワーを発揮します。
ただし、細かいことを言えば最大トルクは190ps版よりも300rpm分ほど早く落ちるのでよりスポーティさを感じられるのは190ps版かと思いますが、そう言った、回して楽しい方面を求める場合はガソリンエンジンのTSIの方が良いと思います(筆者はパサートTSIに試乗しました)。
またスポーティさという話で行くと、音質は極めて実用エンジンらしい風情で、スポーティな味付けはやや弱い様に感じました。例えばパサオやマツダCX-8などのXDは上手く音質の角が取れるチューニングと遮音をしていて、回していくと「フォロロロ!」と言うまるで大排気量V8エンジンの様な実にかっこいい音がするのですが(注:大排気量V8エンジンに乗ったことはありませんw 動画などで見たイメージです^^;)、ゴルフTDIのそれは実用的なガソリンエンジンに近い音質です。
なので、高揚感という面はやや控えめかも知れませんが、動的な性能自体は高いので、ある程度速くて実用的な(かつ内外装の基本的な質感が高い)車というニーズには十分に答えられるはずです。
ドライブフィール:足回りやハンドリング
まず感じたのは軽快さでした。
まるでガソリンのハッチバックを思わせるような鼻先の軽さでした。ものすごくクイックという訳ではありませんが、ステアリングを切るとスッと向きを変えてくれます。街中での運転が楽しいと感じさせてくれます。この楽しさは特に普段パサートオールトラックに乗っていると際立ちますね。
やはりMQBという車台の基本的な剛性の高さと優秀なパワーステアリングが寄与しているのかも知れません。
一方で今度はディーゼルエンジンの重量も良い方に効いているのか、乗り味に重厚感があります。広い幹線道路でスピードを乗せると、安心してステアリングに手を預けていられる安定感を感じます。
この軽快さと重厚感の両立が、ゴルフの乗り心地への評価が高い所以でしょうか。
本当はADASなども試せれば良かったのですが、それらの優秀さはパサートオールトラックで実感済みなので、追々オーナーズレビューの方でご紹介していきたいと思います。簡易的なレビューはこちらをご覧ください。
まとめ:実用的なパワーと居住性が欲しい方にはおすすめ
まとめるとこんな感じですかね。
- 内外装の質感は派手さは無いもののVWらしい高い質感を感じられ、
- マイスター仕様であれば先進安全機能に抜かりはなく、
- 居住性や積載性も、セグメントの中では比較的小さなボディサイズをを越えたものがあり、
- スポーティさや官能性は高くは無いものの十分パワフルで扱いやすいディーゼルユニット
- 輸入車としてはコストパフォーマンスも十分高い
という事で、魅力的に感じる層は多いのではないでしょうか^^
しかし試乗すると毎回思うのですが、どんなに魅力ポイントの多い車に試乗しても、終わって自分の車に戻ってくると、
「あ~やっぱりこれだよ、これ!」
と思うのは不思議なものです^^;
やっぱり沢山試乗を重ねたうえで自分の中での感性と目的について熟考した上で決めた車なので、そうそう他の車にお株を奪われては困りますからね(笑)
試乗って大事だなあ、と思います^^
オマケ:ゴルフGTE、e-Golfはお役御免?
実は今回本当に試乗したかったのはPHVのゴルフGTEやe-Golfでした。以前日産NOTE e-Powerをレンタカーで借りて中々面白かったので、それ以来欧州メーカーの作る電動車に興味津々だった上に、ちょうど今回のディーラー訪問の前日にプジョーのe-208の日本でのお披露目が有ったのもあり、乗れたらぜひ乗りたいと思っていたのです。
ところが営業さん曰く、試乗車が無いだけでなく、今の所今後日本にそれらが入ってくる見込みは当分無いとのこと。理由は、単純にあまり売れなかったから・・・時期尚早だったのか、マーケティングが難しい商品だったのか、いずれにしても残念です。
一方、ID.3の方は日本にも上陸する見込みらしく、来年本国で発売され、再来年には日本にもやって来るのでは、とのこと。楽しみです!
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