写真/撮影機材

【スペック比較】シグマ20-200mm F3.5-6.3、タムロン25-200mm F2.8-5.6、タムロン28-200mm F2.8-5.6

Comparison-Sigma20-200-Tamron25-200-Tamron28-200

2025年10月23日更新:タムロン25-200mm F2.8-5.6 G2 (Model A075)正式発表を受けて更新。また、焦点距離ごとのF値変化比較も記載

こんにちは、10max(@10max)です。レンズを買うことにしました。

 

・・・すみません、前につんのめり過ぎました。順を追って話しましょう。

先日9月9日、シグマとタムロンが同日に新型の高倍率ズームレンズに関する発表をするという、かつてない激アツ展開が勃発しました。

それを受けて、現在タムロン28-200mm F2.8-5.6を常用している筆者の脳内AIが、「新しいレンズのどっちか分かんないけどどっちかを買う」という適当な結論を勝手に導き出したのです。

そこで、AIに頼ってはいられないので、シグマとタムロンの新型高倍率ズームレンズおよび先代タムロン28-200mmのスペック等を比較、最終的にどちらを買うのかの結論に至る経緯を記しておく、というのが本記事の主旨です。

今回比較の俎上に上げるのは以下の3本。

  • (新)シグマ 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary
  • (新)タムロン 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2 (Model A075)
  • タムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)

ただし、今回発表されたうちタムロン25-200mm F2.8-5.6(Model A075)は現時点で未発売(11月20日発売予定)であるため、実機情報等随時更新していきたいと思います。

また参考までに、筆者が使用しているボディはα7Cで、メイン用途はストリートスナップや旅行です。

タムロン 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071), ソニーα7C

OLYMPUS E-M1MarkII, OLYMPUS DIGITAL CAMERA (36mm, f/3.9, 1/80 sec, ISO1000)
現在常用しているα7C+タムロン28-200mm F2.8-5.6 (A071)

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シグマとタムロンが超広角端高倍率ズームでガチンコ対決!

改めて、2025年9月9日はフルサイズEマウント界隈にとって衝撃的な一日になりました。なんとシグマとタムロンが同日に、新型のフルサイズ対応高倍率ズームレンズに関する発表をぶっ込んできたのですからね。

▼Sigma 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary 発表および発売日決定のお知らせ

Sigma 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary 発表および発売日決定のお知らせ | ニュース | Sigma
SigmaのSigma 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary 発表および発売日決定のお知らせに関するページです。

▼広角端25mm F2.8はじまり。光学・AF性能も向上した高倍率ズームレンズ。25-200mm F2.8-5.6 G2 (Model A075)ソニー Eマウント用2025年11月20日より発売

広角端25mm F2.8はじまり。光学・AF性能も向上した高倍率ズームレンズ。25-200mm F2.8-5.6 G2 (Model A075)ソニー Eマウント用2025年11月20日より発売 | ニュース | TAMRON(タムロン)
タムロン写真用レンズのニュース「広角端25mm F2.8はじまり。光学・AF性能も向上した高倍率ズームレンズ。25-200mm F2.8-5.6 G2 (Model A075)ソニー Eマウント用2025年11月20日より発売」です。タムロ...

(タムロンのリリースは10月21日の発表に後日差し替え)

しかも激アツなことに、タムロンの25-200mmの方は、「開発発表」です。まだ発売が決まっていない段階でのリリースをあえてして来た辺りに、シグマの発表の同日に意地でぶつけて来た感がムンムンです!(他社のニュースリリース情報は本来知り得ないはずですがそこはチョットヨクワカラナイ)

そしてこれらの2本のレンズには、両社のある共通の目論見が透けて見えます。

名玉タムロン28-200mm F2.8-5.6の唯一の泣き所を突いてきた

筆者はこの3年余り、タムロン28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)を付けっぱなしレンズとして常用しています。下の記事で「大三元お蔵入り覚悟」と書きましたが、それまで常用していたタムロン28-75mm F2.8 (A036)が本当にお蔵入りしてしまいました。A071はそれほど文句の付けようがないレンズです(メイン用途が作品づくりと言うより旅やストリートスナップ用というのもあり)。

【大三元お蔵入り覚悟】タムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071) | レビューと作例
こんにちは。α7Cにタムロン28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)を付けっ放しにし始めてから約1年が経った10max(@10max)です。もう付けっ放しにし過ぎてボディと癒着して外せなくなってしまった程です。すみません...

しかし、A071にはほぼ唯一、泣き所があります。それは広角端が28mmであり、あとちょっと足りないな・・・という、A071ユーザー鉄板の悩みです。そのため、旅行などの際は20mmの単焦点をポケットに忍ばせることでカバーしており、ある意味これで最強の旅レンズコンビとしておりました。

【最強旅レンズ】タムロン28-200mm F2.8-5.6(A071)と20mm F2.8(F050) | 作例とレビュー
こんにちは。主にソニーα7Cと共にベトナム生活を過ごしている10max(@10max)です。海外赴任に当たり筆者にとって最大の悩みの一つが、α7Cに装着する眼として「どのレンズをベトナムに持っていくか(買うべきか)」でした。他にもっと大事な...

そこに飛び込んできた今回のシグマとタムロンの発表。シグマは20mm、タムロンは25mmと、ワイド端を超広角域まで広げることで、フルサイズ向け高倍率ズームの可能性をまた一つ次の上の次元に押し上げてきた格好です。

が、両者の推しポイントが少しずつ違うように見受けられるのが、我々沼の住人を悩ませます。

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スペック比較:シグマ20-200mm、タムロン25-200mm、タムロン28-200mm

では今回発表の新製品およびライバルとなる高倍率ズームのスペック比較を見ていきます。最も優れたスペックを緑でハイライトしています。

シグマ

20−200mm

F3.5-6.3*

タムロン

25-200mm

F2.8-5.6

(A075)

タムロン

28-200mm

F2.8-5.6

(A071)

焦点距離 20-200 25-200 28-200
開放F値 F3.5-6.3 F2.8-5.6 F2.8-5.6
最大径×全長 77.2×117.5mm 76.2×121.5 74×117mm
フィルター径 72mm 67mm 67mm
重量 540g 575g 575g
最短撮影距離 16.5-65cm 16-80cm 19-80cm
最大撮影倍率 0.5倍

(28-85mm時)

0.53倍 0.32倍
AF駆動方式 リニアM リニアM ステッピングM
防塵防滴
発売時期 2025年9月25日 2025年11月20日 2020年6月
実勢価格* ¥128,700 ¥115,830 ¥66,280

*シグマ20−200mmはEマウントの仕様を記載

*実勢価格は本記事執筆時点の価格コム最安値

シグマの「20mm」とタムロンの「25mm」から察する思想の違い

両社のスペックから見え隠れする推しポイントの違いを見ていきましょう。

脅威の20mmスタートでF値控えめ・・・だけじゃないシグマ!?

まず、シグマの方は何と言っても広角端20mmが尊い。28mmはもちろん24mmでも足りない、20mmでないと撮れない世界は確実に存在します。特に旅先では重宝します。

SONY ILCE-7C, (20mm, f/13, 1/100 sec, ISO100)
タムロン20mm F2.8による20mm作例イメージ

SONY ILCE-7C, (20mm, f/2.8, 1/30 sec, ISO320)
タムロン20mm F2.8による20mm作例イメージ

ものすごく雑に言えば、シグマはこの広角端20mmという尖りまくった武器を、ライバルであるタムロン製品と同等のサイズ・重量およびハーフマクロ性能で実現するために、F値を犠牲にした形と見受けられます。

ところがどっこい(古語)、それだけでは無さそうなのです。

シグマの仕様表で一点、とんでもないことが極めて地味にサラッと記載されているように思いました。それは、「最大撮影倍率 1:2(焦点距離28-85mm時)」という一言です。これって、標準ズームレンジの全域でハーフマクロ撮影出来るっていう意味ですよね?

通常最大撮影倍率を発揮できる焦点距離はピンポイントだと思うので、これって鬼すごいことなんでは・・・?対抗するタムロンのハーフマクロ性能がどう仕上がってくるか、大変気になるところです・・・!

一方で気になるのはやはり暗いF値ですね。後ほど焦点距離ごとのF値変化の比較を見ていきます。

ワイド端焦点距離を控えめにしてF2.8にこだわるタムロン

まず、タムロンが今回発表した25-200mm F2.8-5.6 (A075)は、現行28-200mm F2.8-5.6 (A071)のG2(第2世代)という説明がされているので、まずは先代からの主な進化点をおさらいします。

  1. 広角端を25mmに拡大
  2. AF駆動系をステッピングモーターのRXDからリニアモーターのVXDに変更
  3. 最大撮影倍率が0.32倍から0.53倍に向上
  4. TAMRON Lens Utilityに対応 – AF/MF切り替えも簡単に
  5. 描画性能の向上

重量については先代と同値、サイズは数mm大きくなっているもののほぼ変わっていません。新型A075では、ワイド端をあえて「25mm」(24mmではない)にしている辺りに、最大の武器である開放F値2.8を保ちつつサイズ・重量を妥協したくない(かつハーフマクロ性能も強化したい)というこだわりが見て取れます。

このF2.8という明るさ性能は、実際に使っていると、広角側の数mmだけでもF2.8でよかったと思うことが実によくあります。やろうと思えば星空撮影さえもこなします。

SONY ILCE-7C, (28mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO100)
タムロン28-200mm F2.8-5.6の広角端開放

また28-200mmの場合、広角端だけでなく80mm近くでもまだF4を保つ驚異的な明るさなので、その余裕たるや。この余裕の明るいF値レンジが第2世代の25-200mmでも受け継がれるとすると、やはり惹かれるものがあります。

SONY ILCE-7C, (74mm, f/4, 1/200 sec, ISO10000)
タムロン28-200mm F2.8-5.6の74mm開放

また、最大撮影倍率は0.32倍から0.53倍に大幅に改善されていますが、上記のシグマ20-200mmの28-85mm域でハーフマクロという鬼がかった仕様に対してどうなのか、続報を待ちたいです。

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シグマ20-200mmとタムロン25-200mm、どっちを選ぶ?

大まかなスペックと思想の違いを見たところで、じゃあどっち買うのよ、って話です。

少し(個人的な興味にもとづいて)論点を絞って考えてみたいと思います。

論点①:広角端20mmってどのくらい必要?

まずは何と言ってもこれです。

そこで、タムロンの28-200mmと20mm単焦点の2本で運用してきたここ数年で、20mmを使用した枚数を調べてみます。Lightroomの検索機能を使えば簡単にわかります。

  • 2023年:479枚/10,655枚=4%
  • 2024年:781枚/6,596枚=12%
  • 2025年:362枚/4,133枚=9%
  • 計:1,622枚/21,384枚=8%

ということで、20mmでの撮影は10枚に1枚行かないくらい、ということが分かります。

もちろん、もしズームの広角端が20mmであればもっと使用頻度は上がったのかも知れませんが、レンズ交換が億劫になるほどの頻度かというと、そうでも無いかも知れません。

シンプルに考えれば、開放F値の方はISOを上げるなどしてカバーできなくもないが、焦点距離の広さはカバーしようがない・・・と思われるかも知れません。もちろんレンズ単体で考えればそのとおりなのですが、実際の撮影シーンでは広角端をカバーする解決策はいくつかあります。

  1. 20mm単焦点でカバー
  2. スマホでカバー

1つ目は上でも触れた通り、安価でコンパクトな20mm単焦点をポケットに忍ばせればよいのです。

【最強旅レンズ】タムロン28-200mm F2.8-5.6(A071)と20mm F2.8(F050) | 作例とレビュー
こんにちは。主にソニーα7Cと共にベトナム生活を過ごしている10max(@10max)です。海外赴任に当たり筆者にとって最大の悩みの一つが、α7Cに装着する眼として「どのレンズをベトナムに持っていくか(買うべきか)」でした。他にもっと大事な...

もちろんその場合のデメリットは、レンズが2本必要なことと、何より交換の手間がかかることが挙げられますが、タムロンの20mm単焦点F050あたりなら安価でポケットに入りますし、10枚に1枚も撮らないなら交換も耐えられそう。

次に、これは賛否両論あるでしょうけど、超広角の風景はスマホでカバーできるという話もあります。筆者の場合、晴天時の風景ではiPhone 15 Proで代用していたケースも多いです。特に風景写真の場合、48MPをクアッドピクセルで運用するiPhone 15 Proの画質は、作品に使えるかどうかは別として、筆者の用途では十分いい仕事をしてくれます。

【カメラ作例・レビュー】iPhone 15 Proが写活的QOLを爆上げしてくれた件
こんにちは。iPhone 12 ProからiPhone 15 Proに乗り換えて2ヶ月弱が経とうとしている10max(@10max)です。まあまあ想像以上に、とんでもなく素晴らしい買い物でした(主にカメラとして)。筆者はフルサイズデジタルミ...

Apple iPhone 15 Pro, (2.2200000286119mm, f/2.2, 1/3500 sec, ISO50)
iPhone 15 Proで撮影

論点②:焦点距離毎のF値変化比較

次の論点は、ズーム域の中での開放F値の変化。広角端・望遠端だけで比べるとF2.8-5.6とF3.5-6.3と、それぞれたった0.5段の違いに思われますが、ズームレンジ内の焦点距離による変化が実用上結構ポイントになります。

焦点距離 シグマ20-200 タムロン25-200 タムロン28-200
20mm F3.5
21mm F4
25mm F2.8
28mm F4.5 ?? F2.8
35mm F3.5 F3.2
50mm F5.6 F4 F3.5
70mm F4.5
78mm ?? F4
82mm F6.3 ??
100mm F5.6 F4.5
135mm F5
146mm F5.6
200mm

こうして見ると、シグマ20-200mm F3.5-6.3は正直かなり暗いと言わざるを得ません。F3.5は本当に広角端のみですぐF4になり、82mmでF6.3に達してしまいます。

一方のタムロンの新型25-200mmは、やはり広角端が広がった分全体的に先代よりは暗くなった印象。それでもシグマが50mmでF5.6に突入するのに対して100mmまでF4.5で粘っているので、高倍率ズームとしては依然として十分明るいと言えます。

そして、やはりこうして見ると、先代タムロン28-200mmの明るさにはちょっと驚かされますね。なんと80mm近くまでF4、145mm付近でようやくF5.6と、高倍率ズームとは思えないほど出血大サービスの明るさです。

で、実は焦点距離よりもF値をカバーする方が難しいという見方もあって、ISOやシャッタースピードを上げにくいケースやボケが足りないケースでは、大口径ズームをもう1本持って補うしかありません。

「そんなケースあるのか」と思われるかも知れませんが、例えば旅スナップでは咄嗟のシャッターチャンスを捉えようとするとISOを上げる間もなく、そこでタムロン28-200mmの明るさに助けられるケースもあります。上のF値変化比較で分かる通り、シグマ20-200mmとタムロン25-200mmでは、焦点距離によっては1段以上の違いがあります。

※上記焦点距離ごとのF値については以下の動画を参照させて頂きました。

論点③:描写性能比較

あとは描写性能の比較も気になります。下記アルファホビー部のレビューでは、タムロンの先代28−200mmとシグマの新作20-200mmの比較(下記動画参照)では、設計の新旧からか、特に中望遠域では明らかにシグマの方が良好でした。そこが、5年の時を経たタムロンの新作でどこまで改善しているかにも注目したいと思います。

 

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総評

ということで、シグマの気合が全身に込められた20-200mm F3.5-6.3、そしてタムロンの代表作とも言える高倍率ズームの第二世代、25-200mm F2.8-5.6(A075)、実に甲乙つけ難い内容になっています。

今のところ個人的にぼんやり見えてきているのは、

  • 20mm広角端までレズン交換せずミラーレス一眼で撮りたい→シグマ20-200mm
  • 超広角は単焦点やスマホでいいから明るさを重視したい→タムロン25-200mm

という考え方も、一つの指針としてあり得るかも知れないな、と思っています。

まあお気付きの通り、今のところタムロン推しがにじみ出てます・・・かね・・・?

しかし、まだ全ての情報が出きったわけではないですし、タムロン25−200mmについてはまだ発売すらされていないので、じっくり検討したいと思います。また、現状ベトナム在住なので、数カ月に一度の一時帰国時に実機に触りたいですね。

 

さて、今年は暑い秋冬になりそうです。

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