フォルクスワーゲン & パサートオールトラックプジョー & 308SW

VWパサートとプジョー508は果たしてライバルなのか – 欧州Dセグメントの両雄に見る世界観の違い

VWパサートとプジョー508は果たしてライバルなのか

フランス車からドイツ車へと乗り継いでみて思うのは、両国の車についてよく言われるような違いはそれなりに有りつつも、しかしそれにも増して共通点が多い、という事である。

その点に関して筆者は以前このように申し上げた事がある。

結局の所「違い」よりも「ヨーロッパ車に共通するロングドライブ志向」という共通点の方をより強く感じてしまっているというのが正直なところなのだ。そしてそれは、日本では絶滅危惧種となりつつある「ステーションワゴン」というボディタイプを今でも愛するヨーロッパの車づくりに通底する思想なのかも知れないな、などと感じている。

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このように森全体を見るような視点で見ればそうなのだが、特定の車種にスポットライトを当てて比べてみるとやはり違いの方が浮かび上がってくる。今回着目したのは、ドイツとフランスの大衆ブランドのDセグメントを代表する2台のステーションワゴン、つまり筆者の愛車であるフォルクスワーゲンパサートオールトラック(ヴァリアント)と、プジョー508SWだ。

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野尻湖での508SWとパサートオールトラックの並びは壮観だった、が。

508SWにスポットライトを当てようと考えた直接的なきっかけは、先日の信州野尻湖でのプチオフ会だ。そこでブログ仲間であるくるすぺさんの508SWを拝見・試乗して、単純に

「ああ、プジョーとフォルクスワーゲンのDセグワゴンがこうして並ぶなんて壮観だな」

と悦に浸った体験が筆者に508SWという車の存在をハイライトしてくれたという訳だが、しかし筆者は一方でこうも感じたのだ。

「いや待てよ、確かにこの2台は『プジョーとフォルクスワーゲンのDセグワゴン』だけど、これらは本当にライバルなのか?」

と。どういう事なのか、筆者自身も自分の頭を整理しながら紐解いていきたい。

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プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (28mm, f/8, 1/500 sec, ISO100)

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盲点:実は今までパサートと508を比較したことが無かった

共に欧州の非プレミアムブランドであるプジョーおよびフォルクスワーゲンの、Dセグメントにカテゴライズされる2車種なのだから、多くの点で共通しており、お互いにライバルであるという印象をお持ちの方も多いかも知れない。しかし、自分でも非常に意外なことに、パサートオールトラックの購入検討時を含めてこれまで508を真剣に比較対象として検討した事がなかったのだ。

パサートオールトラック(ヴァリアント)の対抗馬たり得たのは5008であり、308SWだった

ではパサートオールトラック購入検討時にプジョー車における最有力候補は何だったかと言うと、5008とリフターだったのだ。

この理由は単純で、近い将来中学〜高校生になっていく子供達を含む家族4人キャンプや雪山などのアクティビティを重視する上で、荷室容量や居住性を重視したからに他ならない。

そして、そうした観点で次に候補たり得たのは308SWだった。荷室容量や後部座席の居住性において、5008やリフターの次に位置するのが308SWだったからだ。(ただ個人的に「2列目が40:20:40可倒もしくは3座独立」という非常にマニアックな条件が存在したため検討から外れてしまった。余談だがパサートオールトラックの前の愛車は先代のT7型308SWであり、それは2列目が3座独立だった。)

当時の検討内容は下記記事に詳しい。

4人家族でキャンプ、雪山を楽しむ車種をとことん考える | アウトドアと車
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では、当時筆者は508SWに関心が無かったのか?

とんでもない。最初に現行508が発表された時に一瞬で一目惚れし、さらに508SWが登場して完全に心奪われてしまったほどだ。

しかし、タイミングがその恋の障壁となった。下記が当時導き出した結論である。

子供達が中学高校に上がる事を考えるとこの居住性は筆者にとってややネック。スタイルだけで憧れていた508SW ですがこの時点で買い替え候補から落ちることになりそうです・・・が、同時に悩みも一つ減った感じです(笑)

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つまり、もし子供たちがまだ幼児のタイミングで出会っていたなら、一も二もなく508SWを迎えていたかも知れない。

という事で、決して誤解しないで頂きたいのだが、筆者はプジョー508/508SWを貶めようとして本記事を書いている訳ではない。今回野尻湖で久しぶりに、そしてパサートオールトラックオーナーになってから初めて508SWをじっくり目の辺りにして、改めて508SWの「パサートが持ち合わせていない、全く違う世界観の魅力」に改めて惚れ直したというのが実情なのだ。

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パサートヴァリアントと508SWの比較

では改めて2台のスペックを比較しておきたい。何しろ、自分でもちゃんと比較したことがなかったのだから(汗)。なおここでは、パサートオールトラックではなくベースモデルのヴァリアントで比較したい。

パサートヴァリアント 508SW
全長 4,785mm 4,790mm
全幅 1,830mm 1,860mm
全高 1,510mm 1,420mm
車両重量 TSI: 1,500kg

TDI: 1,610kg

PureTech: 1,540kg

Blue HDi: 1,670kg

荷室容量(5乗) 650L 530L
駆動方式 FF FF
サスペンション ストラット(前)

マルチリンク(後)

ストラット(前)

マルチリンク(後)

排気量 TSI: 1,497cc

TDI: 1,968cc

PureTech: 1,598kg

BlueHDi: 1,997kg

最大出力 TSI: 150ps/5000~6000rpm

TDI: 190ps/3500~4000rpm

PureTech: 180ps/5500rpm

BlueHDi: 177ps/3750rpm

最大トルク TSI: 250Nm/1500~3500rpm

TDI: 400Nm/1900~3300rpm

PureTech: 250Nm/1650rpm

BlueHDi: 400Nm/2000rpm

本体価格 449~584万円  456~566万円

(2021年5月時点)

価格帯は非常に似通っているが、プロポーションなどを見ると少し違う側面が見えてくる。

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官能美の508と機能美のパサート

このイメージ自体は既に多くの人が何となく抱いているかも知れないが、実際にスペックを比較してみると裏付けることが出来る。

まずボディプロポーションだが、全長はほぼ変わらないが、508SWの方がよりワイドで、よりローなプロポーションを持っていることが分かる。正直なところ508SWの1860mmという幅には少々驚いた。個人的には508という車はDセグにしてはコンパクトなイメージを持っていたのだが、なんのその、ランドクルーザープラドに肉薄するワイドさではないか。

低さについても、実際に写真で見てみるとよく分かる。508SWの屋根の低いことよ。なお、写真はパサートオールトラックなのでヴァリアントより更に約3cm高い1,535mmだが、この10cm強の低さというのは実車に近づいてみると想像以上に大きく、身長178cmの筆者でもパサートオールトラックのルーフの中央部には手が届かないが、508SWなら届かせることが出来た。隣に身長150センチ超の人と140センチくらいの人が立っているのを想像して貰えば、割と違うってのが想像しやすいかも知れない。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (75mm, f/8, 1/320 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (40mm, f/2.8, 1/2000 sec, ISO100)

そして特筆すべきはこの508SWのリアビューのセクシーさである。まるで女性の肉体美を表したかのような腰回りのくびれには、眺めながら無意識に嘆息を漏らしてしまったほどだ。

そう、1860mmという意外なほどの全幅はこの曲線美と低重心プロポーションを実現するために必要な数値だったのだ。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (75mm, f/2.8, 1/400 sec, ISO100)

一方のパサートオールトラックの腰回りは実直そのものであり、お世辞にも「セクシー」という表現は当てはまらない。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (75mm, f/2.8, 1/1000 sec, ISO100)

では荷室容量については、ローな分をワイドで取り戻しているかと言うとそうではなく、なんとパサートヴァリアントの方が120Lも大容量となっている。

また、居住性についても冒頭で触れた通り508SWの後部座席は成人男性には少々手狭だが、パサートオールトラックのそれには有り余る余裕がある。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (31mm, f/3.5, 1/1600 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (28mm, f/2.8, 1/500 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (44mm, f/3.2, 1/2000 sec, ISO100)

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プジョー508はスペシャリティカーになるために「Dセグサイズ」を利用したに違いない

こうして見ると、パサートシリーズが正攻法で全方位的にサイズを大きくするという従来的なDセグメントの発想で生み出されたのに対し、508シリーズは違うアプローチを取ってきたのではないかと思うのだ。

つまり、パサートと変わらない全長、パサートよりも広い全幅と、サイズだけ見れば明らかにしっかりDセグメントであるにも関わらず、それによって実現したのは荷室容量や居住性ではなく、見るものの心を奪う美しいデザインとプロポーションなのだ。

逆にパサートは1830mmという、508SWとは逆に意外にも小さな全幅をキャビンセクションにも余すこと無く使い切ることで(セクシーなデザイン性を諦めてでも)サルーンのごとき居住性や広大な荷室を選びとったように思える。

つまり、この2台はこれほどまでに方向性を異にする2台であり、単純に「Dセグメントのステーションワゴン」というカテゴリーだけでこの2台を同類と見ると、設計者の意図を大きく読み間違えてしまう事になるだろう。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (44mm, f/2.8, 1/1600 sec, ISO100)

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では508、パサートそれぞれの真のライバルやいずこ?

特段ライバル車種など無理にこしらえる必要などないのだが、上記のように書いてしまうと「ではプジョーというブランドは実用性を犠牲にしており、フォルクスワーゲンというブランドに対してはセクシーさを求められないのか」と思われるかも知れないので、あえてこの話をしたいと思う。筆者は、両ブランド共に、508とパサートそれぞれに足りない部分はちゃんと別の車種で実現しようとしているように思うのだ。

パサートヴァリアントの真のライバルは5008

これは冒頭でも触れた話だが、筆者がパサートオールトラックの購入検討時にプジョーで最右翼だったのは5008であり、改めて両者の特徴や方向性を考えてみてもやはりそのように思えてならない。

5008はカテゴリー的に言えばSUVらしいが、筆者からすれば「そんなの関係ねえ(古語)」である。プジョー5008はそもそも非常に「SUV離れした」という印象を持っている。ステーションワゴンの様に非常に伸びやかなサイドビュー、アクティブと言うよりは上質なインテリア、駆動方式は(現状)FFのみ、と言った点などからそう感じさせるのだろう。そしてそれらはパサートヴァリアントにも通じる特徴であり、さらにプジョー車最大を誇る(日本導入車の中で)の702Lという広大な荷室や居住性も、パサートヴァリアント/オールトラックとの比較対象としての資質を備えている。

エクステリアの造形的にも、508が低重心な曲線美を強調しているのに対し、5008は無骨でスクエアな形状が昨今の丸っこいSUVへのアンチテーゼのようで、これもまた実直でプレーンなデザインのパサートヴァリアント/オールトラックと同じ層への訴求力を持っているように思う(←何のことはない、筆者の事である)。

また価格的にも400万円台後半から500万円ちょっとと、パサートヴァリアントと大きく重複する価格帯にある。

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プジョー 5008 Apple iPhone XS, (4.25mm, f/1.8, 1/2000 sec, ISO25)

パサート オールトラック ヴァリアント 外装 エクステリア 外見OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (18mm, f/3.2, 1/6400 sec, ISO200)

また、Cセグメントではあるが、居住性や荷室容量と言った実用性と伸びやかなステーションワゴンスタイルの両立という意味では308SWも視野に入ってくる。

プジョー 308Sw

出典:308SW乗りのブログ仲間まこまちさんのブログ、monogress

ただ、今年3月に発表されたブランニュー308はかなりワイド&ローに振ってきているため、実用性がどうなっているのかは注目されるところだ。

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VWの色男は間違いなくアルテオン・・・508のライバルかはともかく

一方、プジョー508のようなセクシーどころをフォルクスワーゲンの中に求めるのなら、それは間違いなくアルテオンだ。わざわざパサートをベースとして別の車種を仕立て上げたのだから、その商品的な性格は当然パサートとは大きく差別化されている。

何と言ってもそのデザインである。今回筆者は野尻湖で久々に見た508SWについてセクシーだの曲線美だのと騒ぎ立てたが、実はアルテオンに試乗した際にも同じ様な事をやたらとまくし立てた。

そして、やはりその美しさと引き換えに実用性や居住性の優先順位を落としている点も508と同じだ。

アルテオンと508の関係はちょっと面白くて、先に登場したのがアルテオンで、ファストバックスタイルのみで2017年に欧州で発売された。そして翌年の2018年に508のファストバックが本国で発売、さらに1年遅れて2019年にシューティングブレークの508SWがラインナップに加わっている。そして今度は翌2020年に、アルテオンがシューティングブレークを追加している。

まるでお互いが刺激し合い、競い合っているようにも見えるが、単なる偶然だろうか。

そうそう、大事な事を忘れてはならない。アルテオンの価格帯は600万円台前半スタートだ(日本)。この点において、508とは(そしてパサートとも)一線を画しており、やはり単純にライバルとは言えないだろう。パサートと食い合うわけには行かないから、当然の戦略だとは思うが、こうして見ると508のコスパは凄まじい。

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アルテオンApple iPhone XS, (6mm, f/2.4, 1/800 sec, ISO16)

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プリンスエンジンの508SWはやはり爽快だった

最後に少しだけ508SWの試乗インプレッションをお伝えしたい。

これまで508についてはディーゼルモデルしか試乗したことが無かった。その時にはこの様なインプレッションを残していた。

この車にはガソリンエンジンの方が向いているのではないかと個人的には思いました。上で、ものすごい加速感だと書きましたが、逆に言うと楽しむ間もなくあっという間に頭打ちになってシフトアップしちゃうんです。SUVだったらそれでもいいと思うんです。でも新型508のようなスポーツクーペ感満点の雰囲気の車では、やっぱり初速の力強さよりもパーシャル領域での粘り強い中間加速を楽しみたいと思うんです。

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そしてこの野尻湖オフで、ついに念願のガソリンエンジンの508SWのステアリングを握ることが叶った。くるすぺさんに深謝である。

コックピットに身を収めると、そこはやはりスペシャリティカーの世界だった。せり上がったセンターコンソールによる囲まれ感、傾斜の強いAピラー、そしてレーシングカーのようなi-Cockpitの小径ステアリング。非日常感が溢れている。

使用されている素材などから感じる上質感はパサートと共通だが、パサートのそれが落ち着いた空気感を醸し出すものだとするなら、508は高揚感をももたらす特別な空間だ。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (38mm, f/2.8, 1/640 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (47mm, f/2.8, 1/500 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバル

OLYMPUS E-M1MarkII, LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S. (12mm, f/3.2, 1/200 sec, ISO200)
パサートオールトラック

駐車場の出口でアクセルを少し踏み込み、ステアリングを右に切る。鼻先が軽い。それはガソリンエンジンである事に加え、この小径ステアリングも一役買っているのだろう。わずかな動作でボディがスッと向きを変える。

さらにアクセルペダルを踏み込むと、聴こえてくるのは懐かしいプリンスエンジンの音色だ。この508SWの心臓部である1.6L Pure Techは、チューニングこそ当時と変わったが紛れもなく筆者の前愛車、T7型308SWから脈々と受け継がれている名機だ。2500rpmから4000rpm辺りの中回転域がもっともスポーティな音色と加速を奏でてくれるスイートスポットだというのも変わっていない。闇雲に回さなくとも楽しめるのがこのエンジンの美点だ。

サウンド自体は508の方が少しだけ官能性を増しているような気もするが、それはこのスポーツカーの様に包み込むようなコックピットの形状によるところもあるのかも知れない。

総じて、やはりこの車のセクシーでスタイリッシュなキャラクターには、この伸びやかで爽やかなガソリンエンジンの方がしっくりくるのではないかという個人的な仮説が、ようやく確認できた。もちろん個人的な嗜好に過ぎないので、異論は大いに認める。

筆者としてはこの事が確認できたことだけお伝えできれば満足なので、それ以外のインプレッションは他のもっとインプレが上手な方々に委ねたい。

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (35mm, f/2.8, 1/125 sec, ISO100)

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さいごに

「508とパサートはライバルではない」などと乱暴な論を振りかざしてしまったが、もしかしたら508の開発者は思いっきりパサートをライバルと想定しながら508をデザインしたかも知れないし、508とパサートを大いに比較検討した末にどちらかを購入された方もいるかも知れない。

それはさておき、「○セグメント」あるいは「ワゴン」「SUV」といったメーカー都合のカテゴライズに惑わされず、広く視野を持ち発想を転換しながら車を比べることも割と面白いかも知れない、というのは一つのものの見方としてお伝えできるのでは無いかと思っている。

いやむしろ同じDセグメントなのに比べるのを忘れるほどのうっかりさんだった、というところから本記事は端を発しているのだがそれはここだけの話にしておいて頂ければ幸いです・・・。

くるすぺさんによるパサートオールトラック試乗記(5月30日追記)

くるすぺさんが先日の野尻湖オフでのパサートオールトラック試乗インプレ記事をアップされました。オーナーの筆者以上にこの車の魅力を発見して書き起こして下さっているのでぜひ合わせて御覧下さい。

パサートオールトラックよ【君は車界随一の紳士[Gentleman]だ】
どうも、くるすぺです。 野尻湖オフ第三弾記事ですよー! 今回は乗りたくて乗りたくて仕方がなかった「パサートオールトラック」の試乗レポートをお届けします! ”旅恋写”というブログを運営されている10maxさんがちょうど1年前ほどに購入したパサ...

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (75mm, f/2.8, 1/1000 sec, ISO100)

プジョー508SW パサートオールトラック 比較 ライバルSONY ILCE-7M2, TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) (75mm, f/2.8, 1/6400 sec, ISO100)

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コメント

  1. ちびゴル より:

    初めまして。我が家もパサバリ(FF,TDIハイライン)なのですが、年に数回のキャンプとスキーのためにこの車を選んだと言っても過言ではありません。同じ目的で車を選んでいる方がいたとは!我が家は車庫の高さに制約があるため、最初からステーションワゴン一択です。しかも、積載容量が大きい車で自動的にパサバリに決まりました。キャンプでは、4人+1匹分の荷物を積んでパンパンですが、それでもトルクがあるので余裕ですね。でも、4駆は羨ましいです。

    • 10max より:

      ちびゴルさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます^^
      ちびゴルさんもスキーとキャンプのためにこの車を選ばれたのですね!
      やはり目的を突き詰めると同じ到達点に辿り着く人は多いのかも知れませんね。

      なるほど、車庫の高さ制限でステーションワゴンですか。
      しかしそれ以外にもやはりSUVやミニバンにはない走行安定性や低重心フォルムのカッコよさもありますよね!

      四駆については正直なところ必須ではありませんでした。
      以前8年間FFのプジョー308SWでキャンプやスキーに通い続けて、さほど致命的なトラブルもありませんでしたので^^;

      いずれにしてもお互いこの機能美のワゴンでアクティブライフを楽しみましょう♪